『さんぽ』
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
つなの一次創作、R18GBL▶︎BOXシリーズをAIに二次創作してもらい、気に入ったモノを保管していきます。 【BOX】 不器用で愛が痛いシュートと、包容力MAXの茶太郎のスラムでのドタバタな日常の記録。
本文
澄んだ秋の空気が、京都嵐山の竹林を通り抜けていく。
「シュート、シド、行くぞ」
茶太郎の声は低い。しかし、シドニーという名のゴールデンレトリバーの穏やかな吐息と、シュートが発する小さな頷きに、そのぶっきらぼうな響きはかき消された。
茶太郎はいつものデニムに、古着のざっくりとしたニット。シュートは茶太郎が選んだ落ち着いた色のパーカーに身を包んでいる。シドニーはシュートの隣を、その大きな体をゆったりと揺らしながら歩いていた。
二人が暮らすのは、この竹林から少し離れた、古い京町家を改装した家だ。茶太郎がデザイナーの仕事を自宅でフリーランスとして請け負うようになってから、東京の喧騒を離れ、この静かな場所を選んだ。シュートのためだ。
「ちゃた、きれい」
シュートが竹林を見上げながら、短くつぶやく。
「そうだな」
茶太郎は、スマートフォンで仕事のメールをチェックし終えたばかりで、すぐにポケットにしまい込んだ。
二人はシュートが14歳の時に東京で出会った。シュートは養護施設育ちで、茶太郎はボランティアとして施設を訪れていた。茶太郎のぶっきらぼうな優しさは、孤独を知るシュートに初めての安らぎを与えた。18歳で茶太郎に引き取られ、養子縁組こそしなかったが、里親と里子の関係になった。そして、今は恋人だ。
シュートは虐待の後遺症で、人混みや大きな音が苦手だ。だから、この静かな田舎の暮らしが心地いい。シドニーは、そんなシュートのサポートをするために、家族に迎え入れられた。
シドニーはシュートの足元から少しも離れず、時折シュートの手の甲に鼻先をこすりつけてくる。
「シド」
シュートはしゃがみ込み、シドニーの頭を優しく撫でた。シドニーは嬉しそうに尻尾を振る。
「ちょっと、腰を上げるぞ」
茶太郎はシュートに手を差し伸べる。シュートは茶太郎の手に自分の手を重ねた。その手がぎゅっと握られただけで、シュートは安心したように微笑む。
竹林を抜けて、二人は渡月橋へと向かう。桂川の流れは、秋の日差しを浴びてキラキラと輝いている。
橋のたもとにある茶屋の前に着くと、シュートが立ち止まった。
「ちゃた、おれ、みたらしだんご、すき」
茶太郎は財布を取り出すと、ぶっきらぼうに言った。
「わかってる。買ってやるよ」
団子を頬張りながら、シュートは嬉しそうに笑った。その顔は、竹林の静けさにも、川の流れにも負けないくらい、穏やかな光を放っていた。茶太郎はその様子を、黙って見つめていた。
「ちゃた、これ、おいしい」
シュートは茶太郎に団子を差し出す。
「お前が食え」
茶太郎は、そう言いながら、シュートの手にそっと口づけを落とした。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。