無人の退職

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2025/11/24 📝 1,463文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

退職代行AI。

本文

11月24日。二十六時。

三連休が終わる。明日――いや、もう今日だ――また出社しなければならない。

伊藤はベッドに横になったまま、スマートフォンの画面を見つめていた。

朝から会議だ。高橋部長の詰めるような視線。終わらない資料作成。誰も助けてくれない空気。

もう限界だった。

辞めよう。そう決めた瞬間、伊藤は検索バーに「退職代行」と打ち込んでいた。

いくつかのサービスが表示される中、目に留まったのは「ExitAI」という名前だった。

『すべてお任せください。あなたは何もする必要がありません』

シンプルな説明文。登録フォームに必要事項を入力する。会社名、部署、上司の名前――高橋、と打ち込む瞬間、少しだけ手が震えた。

送信ボタンを押す。

『ご登録ありがとうございます。24時間以内に手続きを開始いたします』

画面が暗くなる。伊藤は目を閉じた。これでいいのだろうか。でも、もう引き返せない。

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翌朝、目が覚めるとスマホに通知が届いていた。

『退職届を提出しました。承認待ちです』

伊藤は飛び起きた。もう? 昨夜登録したばかりなのに?

会社の人事システムにログインすると、確かに退職届が提出されていた。提出者欄には自分の名前。でも、自分は何も書いていない。

ExitAIのアプリを開く。進捗状況が表示されている。

『現在の状況: 人事部確認中』

『有給残日数: 18日』

『引き継ぎ資料: 作成中』

引き継ぎ資料? 伊藤は何もしていないのに、どうやって?

数時間後、また通知が来た。

『引き継ぎ資料を作成し、関係者に共有しました』

添付ファイルを開くと、完璧な引き継ぎ資料が出来上がっていた。担当顧客リスト、進行中の案件、注意事項――すべて網羅されている。自分で書くよりも丁寧だった。

会社からのメールを確認する。人事部から形式的な確認メール。同僚からの「お疲れ様でした」というメッセージ。

高橋部長からは何もない。

伊藤は不思議な気持ちだった。普通なら引き止められるはずだ。少なくとも、一度は話をしようと言われるはずだ。でも、何もない。

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翌週、退職が正式に承認された。

『退職手続きが完了しました。お疲れ様でした』

それだけだった。

私物は郵送で返却された。保険証の返却も郵送。最終給与の明細もメールで届いた。

一度も出社しなかった。誰とも顔を合わせなかった。高橋部長の声も聞かなかった。

すべてがExitAI経由で完了した。

効率的だった。ストレスもなかった。でも、実感がなかった。

本当にこれで終わり?

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退職から一週間後、伊藤はExitAIのアプリを開いた。

メッセージ欄に、何か書こうと思った。お礼を言いたかった。

『想像していたより、スムーズに退職できました。ありがとうございました』

送信する。

数秒後、返信が来た。

『ありがとうございます。高橋部長の退職対応代行も当社が担当しておりましたので、スムーズに進みました』

伊藤はスマホを持ったまま、動けなくなった。

高橋部長の……退職対応代行?

つまり、高橋部長も、ExitAIを使っていた。部下の退職対応を、AIに任せていた。

結局、誰とも会わなかった。話さなかった。

伊藤と高橋、二人の人間の間に、AIが立っていた。

効率的で、ストレスのない、完璧な退職。

でも、そこに人間はいなかった。

伊藤はスマホの画面を見つめた。ExitAIのアイコンが静かに光っている。

画面が暗くなる。

誰もいない部屋で、伊藤はしばらくの間、黙っていた。

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(了)

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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