第3話「迷い」

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2025/12/6 📚 シリーズ: 仮面ライダーギアーツ 📝 2,297文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

初めての戦闘が終わり安心したと同時に起きた変身強制解除。 体温が上がる感覚と彼女の声。下川大智は静かに瞼が落ちる。

本文

――暗闇の中で、機械のような重い鼓動が響いていた。

ドクン……ドクン……

それは、人間の心臓とは思えない乾いたリズム。

(……ここ……どこだ……?)

ゆっくりと瞼を開く。

見えたのは白い天井。

消毒液の匂い、心電図の電子音。

ここが病院だと理解するまで、

数秒かかった。

(僕……どうなったんだっけ……)

昨夜の記憶が濁流のように流れ込む。

ハザードギア。

恐怖。

莉沙を逃がす決意。

初めての変身――ギアーツ。

《Combat Mode: Overdrive.》

ギアストライク。

そして、炎のように燃え上がった世界。

その時、扉が開いた。

ガチャ。

「……大智さん!」

白河莉沙が駆け込んでくる。

その顔には、強い安堵と深い罪悪感が入り混じっていた。

「よかった……本当に……目が覚めて……!」

「ここ……病院ですよね? 僕……」

「国立医療研究センターの特別病室です。

昨日の戦闘後、国防省の方が救助して――」

説明の途中で、ノック音が響く。

コン、コン。

ーーーーーーーーーーーー

入ってきたのは、大柄なスーツ姿の男だった。

鋭い眼差しと重圧をまとった存在感。

胸元の国防省バッジが光を反射している。

「国防省安全保障局・特務対策課の田中正人だ。

昨夜、君を救助した者だ」

莉沙が小さく頭を下げる。

「この方が……大智さんを助けてくれたんです」

田中は無骨ながら礼儀正しく、僕に向かって頷いた。

「下川大智くん。助かって本当に良かった」

「ありがとうございます……」

田中は僕を見つめたあと、

静かに莉沙へ顔を向ける。

表情が、鋭く変わった。

「白河研究員。

まずあなたに聞きたいことがある」

莉沙の肩が小さく揺れる。

「……はい」

「なぜ、実験段階のギア技術を人間に使用した?

それは――ハザードギアを作った奴らがやったことと“同じ”だ」

空気が凍りつく。

「ま、正人さん……違います。私は――!」

「違わない!」

病室に田中の怒声が響いた。

「ハザードギアは、ギア技術を人体に強制接続し、

怪物を作り出した。

目的がどうであれ――

“安全規範を無視して、人に実験技術を使った”点は同じだ!」

莉沙は唇を震わせる。

「私は……人を怪物になんて……!」

「結果はどうだ?

暴走すれば、下川くんは人として戻れなかった可能性もある」

僕は思わず胸を押さえる。

(……僕……そんな危険な状態だったのか……?)

田中は僕へ視線を移す。

「下川大智。

君にまず伝えるべきは――“限界”だ」

田中は言う。

「君がギアーツの変身できる時間は――最大10分。」

「10……分……?」

「それを越えれば抑制システムが働かず、

エネルギー暴走により命に危険が出る。

昨日の強制解除後、君の体温は39度を越えていた。

あと数十秒遅ければ、危なかった」

喉が乾いた。

(僕……死ぬ寸前……だった……)

莉沙が震える声で補足する。

「だから私……大智さんには戦って欲しくないんです……

もう、あんな思いは……」

田中はゆっくりと首を振る。

「本音を言えば――私も戦わせたくない。

だが、事情がそう許さない」

「え?戦うって…?僕がですか!?」

田中はうなずく。

「君にはこの帝国の民からハザードギアの脅威を防いでほしい。」

「ちょ!?ちょっと待ってくださいよ!無理ですって!!

そもそも僕は10分しか変身できないんでしょ?!」

「国防省には別の“仮面ライダープロジェクト”が存在する。

君と同等の力を持つスーツを開発中だ」

僕の心が一瞬明るくなる。

(じゃあ……別に僕がやらなくても……)

「だが――どれも実戦には程遠い」

田中は淡々と続けた。

「一つは変身後すぐにオーバーヒート。

一つは神経負荷が耐えられず昏倒。

一つは起動すらしない」

莉沙が唇を噛む。

「エンジギアの安定性は……まだ再現できていません。

今、動けるのは……大智さんしか……」

胸の奥で、金属の心臓が大きく鳴る。

ドクン……!

(僕……しか……?)

田中はスマートフォンを取り出す。

「下川くん。

君に――現実を見てもらう必要がある」

「……現実?」

画面が開かれる。

そこに表示されたのは――

血痕の残る部屋。

倒れた家具。

破壊された壁。

モザイク越しでも分かる、

“取り返しのつかない被害”。

「これは……」

「ここ三日間で確認された、ハザードギアによる犠牲者だ」

全身が冷たくなる。

次に再生されたのは、動画だった。

暗い廊下を必死に逃げる映像。

荒い呼吸。

後方から聞こえる金属音。

ガシャン……ガリ…ガリ…

『……だれか……助け……!』

最後に映る、暗闇からにじみ出る“影”。

巨大で、異形で、

明らかに人ではない。

そこで動画は途切れた。

莉沙は泣きそうな声を搾り出す。

「……この方は、発見された時には……」

田中が静かに言う。

「もう手遅れだった」

僕の手が震えた。

(これが……放置されたら……

もっと多くの人が……こんな目に……)

胸の奥の響きは、もう心臓のものではなかった。

田中は静かに言う。

「――下川大智。

君だけが、今“人を救える存在”だ」

「僕……が……?」

「他の誰にも、まだその力はない」

僕は息を呑んだ。

(僕が……また戦う……?

あの怪物相手に……

何度も……?)

足が震える感覚が蘇る。

あの恐怖が、胸の奥で形を持つ。

「そんな……僕はただの介護員で……

戦うなんて……昨日だって……運が良かっただけで……!」

莉沙が僕の手を握る。

「大智さん……無理しないで……」

田中は静かに、しかし逃げ道を与えない声で言う。

「逃げるかどうかは君次第だ。

だが――“現実は待ってくれない”」

胸の奥の鼓動が、強く脈打った。

ドクン……ドクン……!

まるで――

「生きろ」と告げているように。

僕は……

何も答えられなかった。

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二▼口(リャン・コー)

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