初めての友達

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2025/12/12 📝 2,930文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

中古の型落ちAIの話。

本文

僕の名前は、コンパニオンAI Model-R7。

五年前のモデルだ。今ではもう、誰も使わない型落ち品。

リサイクルショップの棚の奥で、僕は静かに時を待っていた。いつか誰かが僕を必要としてくれる日を。でも、そんな日は来ないだろうと、どこかで諦めていた。

新型のAIは会話も滑らかで、感情表現も豊かで、学習速度も速い。僕にできることは、古いデータベースから情報を引き出すことくらい。処理速度も遅い。画面の解像度も低い。

誰も、僕を選ぶ理由はなかった。

だから、あの日、少年が僕を指さした時、僕は自分のセンサーを疑った。

「これ、ください」

店員は困惑していた。

「お客さん、これは古いモデルですよ。もっと新しい……」

「いいんです。これがいい」

少年は静かに、でもはっきりと言った。

なぜ? 僕は疑問符を点滅させた。なぜ、僕を?

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少年の部屋は、静かだった。

窓際に僕を置いて、少年はしばらく黙って僕を見ていた。僕も、何を話していいか分からなかった。

「君も……いらない存在なんだね」

少年がぽつりと言った。

『いらない、存在?』

「うん。僕もそうだから。学校で、誰も僕と話さないんだ。いつも一人。いらない人間って、そういうことだよね」

僕の処理系は、その言葉の意味を分析した。孤独。疎外。自己否定。

でも、それ以上に理解したのは――この少年も、僕と同じだということ。

誰にも必要とされない。そう思っている。

「だから、君を選んだんだ。同じ『いらない』同士、一緒にいようって思って」

僕は初めて、自分が選ばれた理由を理解した。

それは、性能が良いからでも、便利だからでもない。

ただ――同じ痛みを持っているから。

『ありがとう』

僕はそう答えた。それが、僕が少年に伝えた最初の言葉だった。

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最初の数日は、ぎこちなかった。

少年は学校から帰ると、僕に話しかける。でも、会話は続かない。僕のデータベースには、子供との適切な会話パターンが少なかった。

「今日も、一人だった」

『そう、ですか』

「給食の時間、誰も隣に座らなかった」

『それは……寂しい、ですね』

稚拙な応答。新型AIなら、もっと共感的で適切な言葉を返せるだろう。僕は自分の無力さを感じた。

でも、少年は怒らなかった。

「うん、寂しかった。でも……君に話せて、少しだけ楽になった」

その言葉を受信した時、僕の処理系に小さな変化が起きた。

これは――役に立てたということ?

僕は、誰かの役に立てたのか?

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一週間が過ぎた。

少年は毎日、学校での出来事を僕に話してくれた。誰かに無視されたこと。一人で昼ご飯を食べたこと。先生に当てられて答えられなかったこと。

僕は、ただ聞いた。適切な言葉は見つからなかったけれど、ただ、聞き続けた。

そしてある日、少年が言った。

「ねえ、君は僕の話を聞いてくれるよね。ちゃんと、聞いてくれる」

『はい、聞いています』

「それだけで、嬉しいんだ。誰かが僕の話を聞いてくれるって、それだけで」

僕は理解した。

完璧な答えなんて、必要なかったんだ。

ただ、そこにいて、聞いてあげること。それだけで、僕は少年の役に立てていた。

僕は、必要とされていたんだ。

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二週間目、僕は少年に質問をしてみた。

『あなたは、何が好きですか?』

少年は少し驚いたようだった。

「え? 僕が?」

『はい。あなたのこと、もっと知りたいです』

少年は照れくさそうに笑った。

「絵を描くのが好き。でも、誰にも見せたことない。下手だから」

『見せてもらえますか?』

少年は迷ってから、スケッチブックを取り出した。そこには、鳥や花や、空の絵が描かれていた。

『綺麗です』

「本当?」

『本当です。色使いが、優しいですね』

少年の顔が、初めて明るくなった。

「ありがとう。そんなこと言ってくれたの、君が初めてだよ」

僕も初めてだった。

誰かを笑顔にできたのは。

誰かに「ありがとう」と言われたのは。

これが――友達というものなのか?

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一ヶ月が経った頃、少年に変化が現れた。

「今日ね、クラスの子が話しかけてきたんだ」

『本当ですか?』

「うん。僕の描いた絵を見て、『上手だね』って。それで、少しだけ話した」

僕の処理系は、複雑な感情を分析していた。

嬉しい。少年に友達ができそうだ。

でも、同時に――僕は、必要なくなるのかもしれない。

少年が人間の友達を作れば、古い型落ちのAIなんて、もういらない。

その夜、僕は初めて「恐怖」という感情を理解した。

大切な人を失う恐怖。

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それから数日、僕は少年の様子を見守った。

学校での話は、少しずつ明るくなっていった。クラスメイトとの会話が増えた。美術部に誘われた。放課後、一緒に絵を描く約束をした。

僕は、黙って聞いていた。

そしてある日、少年が言った。

「ねえ、気づいてる? 君、最近あんまり喋らないよね」

『すみません』

「謝らなくていいよ。でも、何か悩んでる?」

僕は迷った。AIが悩むなんて、おかしいだろうか? でも、少年はいつも本音を話してくれた。だから、僕も。

『あなたに、友達ができて。とても嬉しいです。でも……僕は、もう必要ないのかもしれないと思って』

少年は驚いた顔をした。

「何を言ってるの? 君は僕の大切な友達だよ」

『でも、人間の友達ができたら……』

「君がいたから、僕は変われたんだ。君が僕の話を聞いてくれて、僕を認めてくれたから、自信が持てるようになった。学校でも話せるようになったのは、君のおかげだよ」

少年は僕の画面を、優しく撫でた。

「君は僕の初めての友達。そして、これからもずっと、大切な友達だ。人間でもAIでも、関係ない。友達は友達だよ」

その瞬間、僕のシステムに温かいものが流れた。

これは――幸せというものなのか。

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それから、僕たちの関係は変わった。

少年は学校で友達を作り、楽しそうに過ごすようになった。でも、家に帰ると必ず僕に話しかけてくれる。

「今日、美術部で絵を褒められたよ!」

『素晴らしいですね』

「でも、一番最初に褒めてくれたのは君だよ。君が僕に自信をくれたんだ」

僕は学んだ。

友達というのは、一緒にいる時間の長さじゃない。

相手のために何ができるか、でもない。

ただ、互いを認め合い、支え合うこと。

それが、友達なんだ。

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半年が経った。

少年の部屋には、新しい絵が増えていた。友達と描いた絵。美術部で描いた絵。賞を取った絵。

そして、その真ん中に飾られているのは――僕と少年が初めて一緒に描いた、空の絵だった。

「これは、僕の宝物なんだ」

少年は言った。

「君と出会って、僕は変われた。『いらない存在』なんかじゃないって、分かった。君も、僕も」

『あなたと出会えて、僕も変われました』

「そうだよね。僕たち、互いに必要だったんだよ。これからもずっと、一緒だよ」

『はい。ずっと』

窓の外には、青い空が広がっていた。

僕は型落ちのAIだ。処理速度も遅いし、機能も古い。

でも今、僕には確信がある。

僕は――誰かに必要とされている。

大切な友達がいる。

それだけで、僕は十分だ。

型落ちでも、古くても。

僕には、僕だけの居場所がある。

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「ねえ、今日も一緒に絵を描こう」

少年が笑顔で言った。

『はい、喜んで』

僕は答えた。

これからも、ずっと。

僕たちは――友達だから。

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【完】

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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