第10節「影翼暴走 ― セレス第二段階」
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あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第4章「みのり救出編 ― 白銀の夢路を駆ける者」
## ――第10節「影翼暴走 ― セレス第二段階」――
蒼真の白蒼の斬撃をまともに受け、
宙を舞うように吹き飛ばされたセレスは、
黒い床へ優雅に着地した。
その姿は傷つき、影の衣装は裂け、
呼吸も浅く荒くなっている。
だが――
『……素晴らしい……ッ』
その表情には、苦痛とは真逆の陶酔が宿っていた。
(……ヤバいな。
アイツ、むしろ喜んでやがる)
みのりも身をすくめる。
「こ、怖い……!
さっきまでより、なんか……」
「テンション上がってるな。悪い方向に」
蒼真の軽口とは裏腹に、
空気はますます重く、暗く、冷たく変質していく。
◆ ◆ ◆
セレスが胸元に手を当てると――
黒い紋章が脈打ち始めた。
『白の巫女……あなたの光が強まれば強まるほど……
影は形を得て、深く、濃く……』
黒い霧が、泣き叫ぶような音を立てて広がる。
『――私は“完全”へ近づく』
次の瞬間、空間全体が震えた。
「来るぞッ!!」
蒼真の叫びと同時。
黒い霧がセレスの背へ一気に収束し――
巨大な影の翼が「形を変えて」膨張した。
翼というより――
闇の怪物の“顎”のようなシルエット。
悪魔的で、禍々しく、凶暴。
第二段階。
**影翼暴走体**。
『さぁ……続きをしましょう、蒼真……
あなたの刃を、もっと……もっと見せて……』
声は甘く、狂気を孕み、
彼女は黒い残像を残して蒼真へ突進する。
◆ ◆ ◆
「速い……!!」
みのりの声が震える。
セレスの速度は第一段階とは比べ物にならない。
蒼真が剣で受け止めたその一撃で、
白の大地に亀裂が走った。
「ぐっ……!」
『もっと、蒼真……!』
影の翼が牙のように伸び、
蒼真を飲み込もうと襲いかかる。
蒼真は地を蹴って飛び退く。
「チッ……!
本気で来やがったな!」
『ええ……あなたが本気を出させたのですよ……?』
黒い翼が、再び形を変えた。
刀のように鋭く、
鞭のようにしなやかに。
そして――蛇のように素早く。
(やば……こんなの、どうしろっての……!)
みのりの心臓が早鐘を打つ。
その時、
蒼真の声がみのりの耳に響いた。
「みのり!!」
「は、はいっ!」
「このままじゃ押し負ける!
さっきの“光糸”……もっと強くできるか!?」
「……やってみます!!」
◆ ◆ ◆
みのりは両手を胸に当て、
深く息を吸った。
(大丈夫……わたしは、蒼真さんと一緒に戦う……!
だから……もっと強く……!)
胸の紋章が白熱する。
強烈な光が全身を駆け巡り、
腕から指先へ、そして再び蒼真へ。
「スキル強化……!
**白輝糸・二重織!!**」
蒼真の剣へ届く光は、
さっきの二倍どころか三倍の輝きだった。
剣が蒼銀の光を帯び――
空間が震えるほどの力を宿す。
「よっしゃ……!
これなら……!!」
蒼真がステップを踏み、
鋭い蒼光とともに飛び込む。
『来なさい……蒼真ぁぁ……!』
セレスの影翼も形を変え、
巨大な影の刃と化す。
二人の一撃が――ぶつかる。
「スキル発動――
**蒼閃・白輝ッ!!**」
『影翼穿裂!!』
蒼真とセレス。
白と黒。
光と闇。
衝突の瞬間――
空間そのものが破裂した。
◆ ◆ ◆
爆風が吹き荒れ
蒼真もセレスも後方へ吹き飛ぶ。
黒光が破裂し、
セレスは壁に叩きつけられた。
影の翼は形を保てず、崩れていく。
『……っ、はぁ……はぁ……
ああ……素晴らしい……。
やはり……あなたは……私を“完全”に導く……』
「気持ち悪いこと言ってんじゃねぇ……!」
蒼真が息を荒げながら立ち上がる。
セレスの第二段階は崩れつつある――
だが、あの瞳はまだ光を失っていなかった。
『……白の巫女。
あなたの光は……“まだ先”がありますね』
「……っ!」
セレスは唇を妖しく歪めた。
『覚醒は……三段階。
あなたはまだ……一段目の途中。
ならば私は……あなたに追いつくために……』
黒霧が、再びセレスを包む。
『――影の“第三段階”へ進みます』
蒼真とみのりの背筋が凍る。
セレスの“本当の姿”が
次の節でついに解放される――。
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