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丙午ダッシュ!強運女子の初詣

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/1 📝 4,527文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

強運自慢の餅子が、午年仕様の派手な着物で挑む2026年の初詣。三年連続大吉のプレッシャーもどこ吹く風、「今日も勝ち確!」とフラグを積み上げていく彼女と、それを見守る年賀丈一の正月コメディ!

本文

「……大吉、来い……!」

加賀美餅子(かがみ・もちこ)は、両手を合わせたまま、白い息をぷしゅーっと吐いた。

2026年の元日。

丙午(ひのえうま)の午年である。

まだ薄暗い早朝、神社の境内には、初詣客の列がずらりと伸びている。

その列の中で、餅子は、ひときわ目立っていた。

理由は簡単だ。

着物が、やたらと“走りそう”なのだ。

真っ赤な地に、金色の馬が駆け回る柄。

帯は炎のようなオレンジ。

髪飾りは、ちいさな馬の鈴。

どう見ても「午年を全力で主張しました!」というテンションが高すぎるコーディネートだった。

「餅子、その髪飾り、本当にやる気なの?」

隣でため息をついたのは、年賀丈一(ねんが・じょういち)。

丈一は、黒いコートにマフラーという、ごく一般的な冬の装いだ。

常識的すぎて、餅子の“暴れ馬コーデ”が際立つ。

「やる気もなにも、今年は丙午よ、丙午! “火の馬”よ? 燃える年よ?

ここで全力で走らなくてどうするの!」

「いや、走るのは気持ちだけでいいと思うけど……」

「細かいことは気にしないの。午年は“駆け抜ける年”なのよ!」

餅子は、胸を張って言った。

胸元の馬型ブローチが、カランと鳴る。

「それにね、去年まで“おみくじ大吉三連続”だったのよ、私。

2023、2024、2025と、ずっと大吉。ここで止めるわけにはいかないんだから!」

「そんな記録、聞いたことないけど……」

丈一は苦笑しながらも、どこか楽しそうだ。

列は少しずつ進み、やがて二人は本殿の前にたどり着いた。

賽銭箱の前で、餅子は財布を取り出す。

「よし、今年は奮発して五百円玉よ!」

「お、気合入ってるね」

「“ご縁がある”五円玉の十倍よ。つまり“ご縁が十倍”ってこと!」

「そういう計算なの?」

ぱしん、と二人は手を合わせ、それぞれ心の中で願いごとを唱えた。

(今年も美味しいものがたくさん食べられますように……できれば馬並みに食べても太りませんように……)

(今年こそ、餅子にちゃんと気持ちを伝えられますように……逃げずに、まっすぐに……)

願いごとの方向性は、微妙にすれ違っていた。

参拝を終えると、餅子はくるりと振り返る。

「さあ! 本日のメインイベント、おみくじタイムよ!」

「ん?初詣がメインじゃないの?」

「何言ってんの!初詣は“スタートライン”よ。おみくじが“本レース”!」

境内の一角にあるおみくじ売り場には、すでに人だかりができていた。

白い箱の中に、細長い棒がぎっしりと詰まっている。

「ここはね、毎年“大吉率が高い”って噂の神社なのよ」

「それ、統計取ったの?」

「SNSで見たから間違いないわ!」

「情報源が軽すぎじゃない?」

餅子は、箱の前で深呼吸をした。

「よし!いくわよ!午年だから、サラブレッドのごとく、運気をぶっちぎるの!」

餅子は、目を閉じて箱に手を突っ込んだ。

ごそごそと棒を探り、一本をつまみ上げる。

「これでお願いします」

巫女さんに棒を渡すと、番号を確認した巫女さんが、棚から一枚のおみくじを取り出した。

「はい、こちらが今年の運勢です」

「ありがとうございます!!!」

餅子は、わくわくしながら紙を開いた。

――その瞬間、彼女は固まった。

「……え?」

「どうだった?」

「……え???」

「どうしたの?」

「えええええええええ」

「大吉でた?」

もはや丈一の声、餅子には届いていないようだった。

おみくじを片手に餅子は、そわそわと動きまわる。回って、回って、回って、止まった。空を見上げ、当然笑顔になったかと思えば、また突然無表情に変わる。

やたらと“走りそう”なその着物の主•餅子は、参拝客の中でも”一際”を通り越えて目立ちよう。まるで神社にパフォーマンスを依頼された演者のようである。

そんな餅子を丈一は、すこし離れたところから、ただだだ見つめていた。

しばらくすると、我に帰ったように餅子が丈一に近づいてくる。

「……丈一?」

「うん?」

「“凶”って、本当に存在するのね……?」

餅子のもつ紙の一番上には、はっきりと「凶」の二文字。

餅子は、まるで世界の終わりを見たような表情だ。

「ねぇ、ねぇ!!! 私、三年連続大吉だったのよ!?

ここで“凶”って、どういうこと!? 午年よ!? 駆け抜けるどころか転んでるじゃないの!」

「落ち着いて、餅子。ほら、下のほうの文章、ちゃんと読んでみなよ」

丈一が紙を指さす。

そこには、こう書かれていた。

『今は足元がもつれているような時期ですが、

ここから歩幅を整えれば、

やがて風を切って走れるでしょう。

焦って全力疾走せず、まずは一歩から。』

「は??私の足元が”もつれている”ですって?」

「今よりもっと、上手に走れるようになるってことだよ」

「でも、凶は凶よ……。私の“連続大吉記録”が……」

餅子が肩を落としていると、隣で丈一が自分のおみくじを開いた。

「……あ、吉だ」

「うわああああああああああああああああああ!」

「ちょ、なんで悲鳴!?」

「私だけ凶!? この午年フル装備で!? こんなに馬を盛ってるのに!?

ねえ神様、わたしの気合い、伝わってるよね???」

「“暴れ馬注意”ってことじゃない?」

餅子が空に向かって抗議していると、背後からくすくすと笑い声が聞こえた。

「にぎやかな人たちね」

振り向くと、そこには巫女装束の少女が立っていた。

胸元の名札には「波通 梨加(はつう・りか)」と書かれている。

「さっきのおみくじ、私が渡したやつだよ。

“凶”って、実は当たりなんだよ?」

「……え?」

餅子と丈一が、同時に首をかしげる。

「この神社、今年から“干支おみくじ・午年バージョン”っていうのを始めたの。

普通のおみくじの中に、十二支それぞれの“特別メッセージ”が紛れてるんだ。

で、“凶”の中にだけ、丙午限定の“隠しメッセージ”が入ってるんだよ」

「隠しメッセージ!?」

餅子の目が、きらりと光った。

「ほら、そのおみくじの裏、見てみて」

「裏?」

餅子が紙をひっくり返すと、そこには小さなイラストが描かれていた。

炎をたてがみにまとった、丸っこい馬が、空を駆けている。

その下には、こう書かれていた。

『午年スペシャル・丙午

“凶を引いたあなたは、

暴れ馬を乗りこなす資格あり”

社務所でこのおみくじを見せると、

限定お守り&“ファイヤーおせち”試食券がもらえます。』

「……暴れ馬?」

「ファイヤーおせち?」

二人は顔を見合わせた。

梨加は、いたずらっぽく笑う。

「ね? 当たりでしょ?」

「なに……これ……?」

「少なくとも、SNS映えはすると思うよ」

「それは大事だわ!」

餅子は、さっきまでの落ち込みをどこかに置き忘れたように、ぱっと表情を明るくした。

「よし、行くわよ丈一! 社務所へ!」

「え、ちょ、引っ張らないで!」

餅子に腕をつかまれ、丈一はずるずると引きずられていく。

梨加は、その背中を見送りながら、ふっと笑った。

「……あ、そうだ」

梨加は、境内の片隅に立っている、もう一人の人物に声をかけた。

白いコックコートに、エプロン。

初詣客の中で、これまた異様に浮いている男――尾瀬智凌里(おせち・りょうり)だ。

「凌里さん、準備できてる?」

「もちろん。午年スペシャル“ファイヤーおせち”ね。

味も見た目も、今年は攻めてるよ。丙午らしく、ちょっと“火”を効かせてある」

凌里は、にやりと笑った。

「“暴れ馬を乗りこなす資格あり”って書いたの、君のアイデアだろ?」

「うん。どうせなら、凶を引いた人にも、笑って帰ってほしいからね。

“ちょっと怖そう”ってイメージの丙午も、楽しくスタートしてほしいし」

梨加は、東の空を見上げた。

少しずつ明るくなっていく空。

初日の出が、もうすぐ顔を出す。

――そのころ、社務所前。

「午年限定お守り、こちらになります!」

巫女さんが差し出したのは、小さな馬の形をしたお守りだった。

赤い布地に、金色の糸で馬が駆ける姿が刺繍されている。

「か、か、かわいい……! これ、絶対写真撮るやつじゃない!」

「餅子、もう十枚くらい撮ってるよ」

「角度が大事なのよ、角度が!」

餅子が夢中で写真を撮っていると、社務所の奥から、ふわりとスパイシーな匂いが漂ってきた。

「……なんか、すごくいい匂いしない?」

「する。おせちっぽいけど、なんか普通じゃない感じ」

そこへ、コックコート姿の凌里が現れた。

「いらっしゃい。今年から始まった“午年スペシャル・ファイヤーおせち”の試食会へようこそ」

「ファイヤーおせち!?」

「名前のインパクトがすごい……」

テーブルの上には、色とりどりのおせち料理が並んでいた。

しかし、よく見ると、どれもどこか“馬っぽくて、火っぽい”。

海老は、炎のように高く盛り付けられ、

伊達巻は、蹄鉄のような形にカットされている。

黒豆には、小さな赤いスパイスがちょこんとのっていて、

田作りは、まるで馬のたてがみのようにふわっと広がっていた。

「すごい……! 見た目が完全に“暴れ馬パーティー”だわ!」

「味もちゃんと伝統的だけど、ところどころピリッと“火”を入れてあるよ。

丙午だからね、“情熱的に行こう”ってコンセプトで」

凌里は、自信満々に胸を張る。

「この試食会、実は“凶”を引いた人限定なんだ。

“スタートでつまずいた人ほど、ここから勢いをつけて走れる”っていう意味を込めてるんだ」

「とても良いわね。

最初に“今年サイコー!”って言われるより、

“ここから加速するよ”って言われたほうが、

なんか、ワクワクするかも!」

餅子は、お守りをぎゅっと握りしめた。

「よし、決めた! 今年の目標!」

「お、出た。餅子の“今年の抱負”」

「“凶スタートからの大逆転! 馬のように、食べて、笑って、駆け抜ける一年にする!”」

餅子は、にかっと笑った。

その笑顔は、さっきまでの“凶ショック”が嘘のように明るい。

ふと、丈一が真面目な顔になる。

「じゃあ、俺も今年の目標、言っていい?」

「いいわよ。どうせ“仕事を頑張る”とかでしょ?」

「いや……」

丈一は、少しだけ視線をそらし、そして餅子を見つめた。

「“暴れ馬みたいな一年でも、

手綱を離さずに、餅子の隣で一緒に笑っていられるようにする”」

餅子は、一瞬きょとんとした。

「……なにそれ、急にカッコいいじゃない」

「ち、違うよ! そういうつもりじゃなくて、その、えっと……」

「ふふっ、冗談よ」

餅子は、ほんのり頬を赤くしながら、にやりと笑った。

「じゃあ、その目標、ちゃんと達成できるかどうかは――」

「どうかは?」

「来年の元日、おみくじ引いたあとに、またここで確認しましょ!」

丈一の胸の鼓動が、どくん、と大きく跳ねた。

「……うん。約束だよ」

二人の頭上で、太陽が顔を出した。

境内の屋根や木々が、金色に染まっていく。

午年、丙午の2026年の始まり。

“凶”から始まった餅子の一年は、

きっと、馬のようにドタバタしながらも、

笑い声を撒き散らして駆け抜けていくのだろう。

その隣には、きっと――

年賀丈一が、少し照れくさそうに笑いながら、

しっかりと“手綱”を握って立っている。

そして、境内の片隅では、

波通梨加が来年の干支おみくじの企画メモを書き始め、

尾瀬智凌里が、次の「干支おせち」の構想を、もう考え始めていた。

元日の空に、初日の出が高く昇る。

暴れ馬のように賑やかで、ちょっとだけスリリングな一年が、静かに動き出していた。

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作者について

あいの

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あいぺん毎日更新中! AIと読書が趣味なのでAI小説を作り始めました。自分の想像した世界を、AIの力を借りながら文字に起こす毎日を楽しんでいます。

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