おみくじAI

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/1 📝 3,878文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

AIのおみくじの話。

本文

第一章 大凶の予言

 元日の朝、あかりは初めて一人で神社に来た。

 小学四年生になって、お母さんが「もう一人でお参りできるでしょ」と送り出してくれたのだ。冬の朝の空気は冷たくて、吐く息が白い。手袋をした手で、お賽銭用の五百円玉をぎゅっと握りしめた。

 境内は人でいっぱいだった。みんな、社殿の隣に新しくできた銀色の機械の前に並んでいる。

「AIおみくじ、一回三百円! あなたの運勢を完璧に予測!」

 看板が光っている。去年までの紙のおみくじはもうなくて、代わりにこのピカピカの機械が置いてあった。

 あかりも列に並んだ。前に並んでいる高校生のお兄さんが、何度も何度も機械にお金を入れている。

「ちっ、また小吉かよ」

「もう一回! 今度こそ大吉!」

 周りの人たちも同じだった。みんな大吉が出るまで、何回も何回もおみくじを引いている。あかりの前のおばあさんは、五回目でやっと大吉を引いて、嬉しそうに笑っていた。

 あかりの番が来た。

 お年玉でもらった五百円玉を一枚、機械に入れる。タッチパネルに「氏名入力」と出たので、指で「あかり」と打った。

 画面が光る。

『解析中……』

『運勢予測完了』

 機械の下から、細長いカードが出てきた。

 あかりは、どきどきしながらカードを取った。

 ――大凶。

 あかりの顔から、血の気が引いた。

 大凶? 元日から大凶?

 手が震えた。カードの裏を見ると、細かい文字でこう書いてある。

『大凶

今年のあなたには、三つの試練が訪れます。

一、大切なものを失います。

二、信じていた言葉が嘘だと知ります。

三、一人ぼっちになります。

しかし――この三つを乗り越えたとき、あなたは本当の宝物を見つけるでしょう』

 あかりは泣きそうになった。

 大切なものを失う? 嘘だと知る? 一人ぼっち?

 そんなの、嫌だ。

 周りを見ると、大吉のカードを持った人たちが、みんな笑っている。あかりだけが、大凶だ。

 もう一回引き直そうかな。でも、お金はあと二百円しかない。

 あかりは、大凶のカードをぎゅっと握りしめて、神社を出た。

第二章 失われた友情

 家に帰ると、お母さんが心配そうに聞いた。

「あかり、どうしたの? 元気ないわよ」

「……なんでもない」

 大凶のことは言えなかった。言ったら、お母さんも悲しむかもしれない。

 あかりは自分の部屋に入って、大凶のカードを机の引き出しにしまった。

 冬休みが続いた。

 あかりは毎日、仲良しの友達のユイと遊んでいた。ユイとは幼稚園からの友達で、いつも一緒だった。公園で遊んだり、お互いの家に行ったり。二人でいれば、何をしても楽しかった。

 でも、一月三日の朝、ユイから突然メッセージが来た。

『ごめん、今日遊べなくなった』

 あかりは少しがっかりしたけど、仕方ないと思った。

 翌日もユイから『今日も無理』。

 その次の日も『ごめんね』。

 三日続けて断られた。

 あかりは、不安になってきた。

 ――一、大切なものを失います。

 おみくじの言葉が、頭をよぎる。

 ユイは、私のこと、嫌いになっちゃったのかな。

 一月六日、あかりは意を決してユイの家に行った。

 インターホンを押すと、ユイのお母さんが出た。

「あら、あかりちゃん。ユイはね、今ちょっと忙しくて……」

「忙しいって、何を……」

 その時、家の中からピアノの音が聞こえてきた。ユイの弾くピアノだ。でも、いつもより真剣な音。何度も何度も、同じところを繰り返している。

「実はね」とユイのお母さんが小さな声で言った。「二月にピアノのコンクールがあるの。ユイ、どうしても出たいって。だから冬休みは、ずっと練習してるのよ」

 あかりは、はっとした。

 ユイは私を嫌いになったんじゃない。ただ、夢のために頑張っているだけだ。

 でも、それなら、どうして教えてくれなかったんだろう。

 あかりは、ユイの家を後にした。胸が、もやもやした。

 その夜、ユイからメッセージが来た。

『ごめんね、最近遊べなくて。実は、コンクールの練習してるの。あかりに言おうと思ったんだけど……言ったら、応援しなきゃって気を使わせちゃうかなって』

 あかりは、涙が出そうになった。

 ユイは、私のことを思って、黙っていたんだ。

 あかりはすぐに返信した。

『ユイ、頑張ってね。私、絶対応援してる』

 すぐに返事が来た。

『ありがとう! あかりがいてくれて、本当に嬉しい』

 あかりは、ほっとした。

 失ったと思ったものは、失われていなかった。

 ユイとの友情は、ちょっと離れていても、ちゃんとそこにある。

 むしろ、前よりも大切に思えるようになった。

第三章 嘘と真実

 一月七日、冬休みが明けて、新学期が始まった。

 教室に入ると、クラスメイトたちが初詣の話で盛り上がっていた。

「私、大吉引いたよ!」

「俺も! 今年は絶対いい年になるって!」

 みんな、嬉しそうに大吉の話をしている。

 あかりは、黙って自分の席に座った。

 その時、隣の席の男の子、ケンタが話しかけてきた。

「なあ、あかり。お前、初詣行った?」

「うん……行ったよ」

「おみくじ引いた?」

 あかりは、少し迷って、うなずいた。

「何が出た?」

「……大吉」

 嘘をついた。

 ケンタは「おお、すげー!」と言って、他のクラスメイトに話しかけに行った。

 あかりは、胸が痛くなった。

 嘘をついちゃった。みんなに、大吉だって。

 本当は大凶なのに。

 その日の休み時間、あかりは一人で廊下にいた。

 そこに、クラスで一番勉強ができるミサキが通りかかった。

「あかり、どうしたの? 元気ないね」

「……ううん、大丈夫」

 ミサキは、少し考えて、こう言った。

「あのね、私、実は初詣で大凶引いたんだ」

 あかりは、目を丸くした。

「え! でも、さっきみんなに、大吉って……」

「そう、嘘ついちゃった」

 ミサキは、照れくさそうに笑った。

「大凶って言ったら、みんな心配するでしょ? だから、大吉って言っちゃったの。でもね、あかり。大凶が出たからって、不幸になるわけじゃないと思うんだ」

「……どうして?」

「だって、運命って、自分で作るものでしょ? おみくじに何が書いてあっても、私は私らしく生きるって決めてるから」

 あかりは、ミサキの言葉に、勇気をもらった。

 そして、自分も正直に言おうと思った。

「実は、私も……大凶だったんだ」

 ミサキは、驚いて、それからにっこり笑った。

「そうなんだ! じゃあ、私たち、大凶仲間だね」

 二人は、笑い合った。

 あかりは、気づいた。

 ――二、信じていた言葉が嘘だと知ります。

 嘘だと知ったのは、自分がついた「大吉」という嘘。そして、みんなが大吉だと幸せで、大凶だと不幸、という思い込み。

 本当の幸せは、おみくじの結果じゃなくて、自分の心の中にあるんだ。

第四章 一人の時間

 それから数日が経った。

 ユイはコンクールの練習で忙しく、学校でもあまり話せない。ミサキも、委員会の仕事で放課後はいつもバタバタしている。

 あかりは、最近、一人でいることが多くなった。

 ある日の放課後、あかりは一人で図書室にいた。

 国語の調べ学習の宿題があって、本を探していた。「星の一生」について調べなきゃいけない。

 でも、難しい本ばかりで、全然分からない。

 周りを見ると、クラスメイトたちはみんなグループで勉強している。楽しそうに話し合いながら、本を読んでいる。

 あかりは、誰にも声をかけられなかった。

 ――三、一人ぼっちになります。

 ああ、これが三つ目の試練なんだ。

 あかりは、一人で本を開いた。

 最初は寂しかった。でも、ページをめくっているうちに、不思議なことが起きた。

 星が生まれて、輝いて、やがて消えていく。その一生が、あかりの心に響いてきた。

 星は、一人で生まれて、一人で輝いて、一人で消えていく。

 でも、その光は、遠くの誰かに届く。

 あかりは、はっと気づいた。

 一人でいることは、悪いことじゃない。

 一人の時間があるから、自分と向き合える。知らなかったことを知って、分からなかったことが分かって、自分の中に何かが積み重なっていく。

 それは、誰かと一緒にいるだけでは、得られないものだ。

 あかりは、調べ学習のレポートを、一人で完成させた。

 後日、先生に褒められた。

「あかりさん、すごくよく調べられてるわね。星への愛情が伝わってくるわ」

 あかりは、嬉しかった。

 一人で頑張ったから、得られた褒め言葉。

 一人ぼっちになって、あかりは一人でも大丈夫な強さを見つけた。

終章 本当の宝物

 その夜、あかりは机の引き出しから、大凶のカードを取り出した。

 もう一度、最後の一行を読む。

『しかし――この三つを乗り越えたとき、あなたは本当の宝物を見つけるでしょう』

 あかりは、ゆっくりと微笑んだ。

 大切なものを失うと思ったけど、ユイとの友情は前よりもっと深くなった。離れていても、信じ合える友達。

 嘘だと知ったのは、自分の思い込みだった。幸せはおみくじじゃなくて、自分の心が決める。

 一人ぼっちになって、一人でも大丈夫な強さを見つけた。誰かといなくても、自分を高められる。

 これが、本当の宝物。

 AIは、ちゃんと分かっていたんだ。大凶に見えるものの中に、本当の幸せが隠れていることを。

 あかりは、カードを大事にファイルに入れた。

 窓の外を見ると、冬の夜空に星が輝いている。

 あの星も、一人で輝いている。

 でも、その光は、あかりの心を照らしてくれる。

 来年の元日、あかりはもう一度、あの神社に行くだろう。

 そして、AIおみくじを引く人たちに、こう言ってあげたい。

 ――大吉だけが、幸せじゃないよ、って。

(完)

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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