消えるメッセージ

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/3 📝 1,753文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

三が日限定のメッセージ。

本文

第一章 新年の通知

 元旦の夜、遠藤隼人のスマホが静かに震えた。

 家族との夕食を終え、自室でゴロゴロしていた隼人は、面倒くさそうに画面を覗き込んだ。通知の内容を見て、彼は息を呑んだ。

『**エフェメラルメール**から新着メッセージがあります』

 エフェメラルメール――正月限定で流行している、1月3日の23時59分に自動消滅するメッセージサービスだ。年賀状の代わりに、儚いデジタルメッセージを送り合う。そんな風変わりなサービスが、今年は若者の間で話題になっていた。

 隼人自身は使ったことがなかった。周囲の友人たちが「エモい」「余韻がやばい」と盛り上がっているのを横目で見ていただけだ。

 それなのに、誰かが自分に送ってきた。

 隼人はアプリを開いた。

 送信者の名前を見た瞬間、心臓が跳ねた。

**川村咲希**

 三年前、別れた元恋人の名前だった。

 指先が震える。タップするべきか、それとも――

 いや、もう開いてしまった。

 画面に浮かび上がったのは、シンプルな一文だった。

『あけましておめでとう。元気にしてる?』

 それだけだ。

 隼人は画面を見つめたまま、動けなくなった。

第二章 三年前の記憶

 川村咲希。

 大学時代の同級生で、二年間付き合った恋人。

 別れたのは、就職のタイミングだった。咲希は地元の福岡に戻り、隼人は東京に残った。遠距離は無理だと、二人とも分かっていた。泣きながら笑って、「またいつか会えたらいいね」と言い合って別れた。

 あれから三年。

 隼人は仕事に追われ、何人かと付き合ってはみたものの、どれも長続きしなかった。咲希のSNSはとっくにフォローを外していたから、彼女が今どうしているのかは知らない。

 知らないはずだった。

 なのに、どうして今、メッセージを?

 隼人はスマホを握りしめた。返信すべきだろうか。いや、でも何を書けばいい? 「元気だよ」なんて素っ気ない返事でいいのか? それとも、もっと何か――

 いや、待て。

 隼人はふと気づいた。このメッセージ、1月3日に消えるんだ。

 つまり、あと二日しかない。

 返信するなら、今日か明日のうちに。

 隼人は深く息を吐いた。

 咲希は何を思って、このメッセージを送ってきたんだろう。未練? それとも、ただの新年の挨拶?

 隼人の指は、返信ボタンの上で迷い続けた。

第三章 儚い言葉

 1月3日、23時50分。

 隼人はようやく決心した。

 この二日間、何度もメッセージを開いては閉じ、開いては閉じを繰り返していた。咲希の「元気にしてる?」という問いかけが、隼人の胸に突き刺さったまま抜けなかった。

 もう逃げるのはやめよう。

 返信しよう。素直に、今の気持ちを。

 隼人はキーボードを開いた。

『元気だよ。咲希は?』

 いや、これじゃ素っ気ない。消して、もう一度。

『久しぶり。咲希も元気そうで良かった』

 違う、これじゃまるで他人行儀だ。

 隼人は何度も文章を打っては消し、消しては打った。

 そして、ようやく決まった。

『あけましておめでとう。元気だよ。咲希のこと、ずっと忘れてなかった。また会えたらいいね』

 送信ボタンを押そうとした瞬間――

 画面がフラッシュした。

 咲希のメッセージが、音もなく消えた。

 23時59分。

 時間切れだった。

 隼人は呆然と、真っ白になった画面を見つめた。

 消えてしまった。

 咲希の言葉も、自分が打ち込んだ返信も、全部。

 しばらくして、隼人はゆっくりとスマホを置いた。

 部屋は静まり返っていた。

 でも不思議なことに、隼人の胸には、怒りも後悔もなかった。

 ただ、切なさと、温かさが入り混じった、不思議な感覚だけがあった。

 咲希は、もしかしたら返信を期待していなかったのかもしれない。

 ただ、新年の挨拶を送りたかっただけ。

 三年前の思い出を、少しだけ蘇らせたかっただけ。

 そして、隼人も――

 彼女のことを、まだ忘れていなかったんだと、確かめられた。

 それだけで、十分だった。

 隼人は窓の外を見た。

 新年の夜空には、冷たい星が瞬いていた。

 メッセージは消えた。

 でも、咲希の最後の言葉だけは、確かに心に残っていた。

『また会えたらいいね』

 そうだね、咲希。

 いつか、また――

 隼人は静かに微笑んだ。

 儚いメッセージは消えたけれど、その余韻だけは、ずっと残り続けるだろう。

(了)

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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