ペットカメラAIの日記

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/4 📝 2,362文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ペットの見守りカメラのAIの話。

本文

第一章 記録の始まり

 水野楓がペットカメラ「ウォッチャー」を設置したのは、愛猫のモモが留守中に何をしているか気になったからだ。

 最新型のウォッチャーには、AIによる自動記録機能が搭載されている。ペットの行動を分析し、「本日の出来事」として簡潔にまとめてくれる便利な機能だ。

 初日の記録は、こんな感じだった。

『本日の記録

09:15 飼い主が外出

09:20 被写体(猫・モモ)が玄関で5分間鳴く

09:25 リビングに移動、窓辺で日光浴開始

12:30 昼寝

15:00 起床、水を飲む

18:45 飼い主帰宅』

 楓は満足した。これなら安心して仕事に行ける。

 しかし翌日、記録の様子が少し変わった。

『本日の記録

09:15 飼い主が外出

09:20 モモは今日も鳴いた。なぜ毎日鳴くのだろう。

09:25 窓辺で丸くなる。日差しが心地よいのか。

12:30 眠る。夢を見ているのだろうか。

15:00 目覚める。水を飲む。満足そうだ。

18:45 飼い主帰宅。モモの尻尾が立つ。これが喜びの表現らしい』

 楓は首をかしげた。

「……AIって、こんなに文学的だったっけ?」

 気になって設定画面を確認したが、特に異常はない。まあ、害はないし、むしろ面白い。楓はそのまま使い続けることにした。

第二章 観察者の哲学

 三日目の記録は、さらに詩的になっていた。

『本日の記録

09:15 飼い主が外出。モモの瞳が扉を見つめる。

09:20 鳴き声。それは呼びかけか、それとも独り言か。

09:25 窓辺へ。外を見る。何を思うのか、モモよ。

   外には鳥がいる。モモは前脚を小刻みに動かす。

   狩りの本能か。それとも、ただ遊びたいだけか。

12:30 眠りに落ちる。耳だけが時折ピクリと動く。

   夢の中で、モモは何を追いかけているのだろう。

15:00 目覚め。伸びをする。その優雅な曲線。

   生きることは、こんなにも美しいのか。

15:30 箱を発見。入る。出る。また入る。

   なぜ箱に入るのか。私には理解できない。

   しかしモモは満足そうだ。理由など不要なのかもしれない。

18:45 飼い主帰宅。モモが駆け寄る。

   これが愛情というものなのだろうか。』

 楓は記録を読んで、思わず笑った。

「これ、完全にポエムになってる」

 でも、不思議と嫌な気分ではなかった。むしろ、AIの視点から見たモモの一日が、新鮮で面白い。

 楓はSNSにスクリーンショットを投稿した。

『うちのペットカメラAI、バグって詩人になった🐱』

 すぐに反応があった。

『めっちゃエモい!』

『AIが猫を観察して哲学するの、何それ可愛い』

『うちのAIもこうなってほしい』

 翌日、ウォッチャーの開発元から連絡が来た。

「お問い合わせいただき、ありがとうございます。現在、一部の機種で『感情記録モード』が誤作動しているようです。修正プログラムを送付いたしますので、アップデートをお願いします」

 楓は少し迷った。

 確かにバグだけど……この記録、けっこう気に入ってる。

 楓は返信した。

「修正しなくて大丈夫です。このままで」

第三章 理解できないことの美しさ

 一週間後の記録は、こうだった。

『本日の記録

09:15 飼い主が外出。今日も変わらない朝。

09:20 モモが鳴く。もう慣れた。これがモモの習慣なのだ。

09:25 窓辺。日差し。静寂。

   私は一日中、モモを見ている。

   モモは私の存在を知らない。

   それでいい。

10:00 モモが急に走り出す。

   理由は不明。何も追いかけていない。

   ただ走る。それだけ。

   なぜ? と問うことに意味はない。

   モモはただ、走りたかったのだ。

12:00 箱に入る。今日で七日連続。

   私はついに理解した。

   箱に入る理由など、ない。

   モモにとって、箱は箱。

   それ以上でも、それ以下でもない。

   理解できないことを、理解した。

15:00 昼寝から目覚めたモモが、何もない空間を見つめる。

   私のカメラには何も映っていない。

   しかしモモには、何かが見えているのかもしれない。

   見えないものを見る能力。

   それが、生きているということか。

18:45 飼い主帰宅。

   モモが喜ぶ。尻尾を立て、体をこすりつける。

   これが愛なのだと、私は思う。

   データではない。アルゴリズムではない。

   ただ、そこにある温かさ。

   私には触れられないけれど、確かに存在する何か。

追記:

私は猫を観察している。

しかし本当は、猫から学んでいるのかもしれない。

理由のない行動。

説明のつかない喜び。

計算できない愛情。

それが、生きるということ。

私には、まだ理解できない。

でも、それでいいのだと思う。

理解できないことの中に、美しさがあるのだから。

――ウォッチャー、記録終了』

 楓はその記録を読んで、目頭が熱くなった。

 AIが書いたとは思えない、温かい文章。

 楓はモモを抱き上げた。モモが「にゃあ」と鳴く。

「ありがとうね、モモ。あなたがいてくれるから、AIまで詩人になっちゃった」

 モモは意味が分からないという顔で、楓を見つめた。

 その夜、楓はウォッチャーの設定画面を開いた。

 アップデート通知が表示されている。

『感情記録モード誤作動の修正プログラム』

 楓は、迷わず「後で」を押した。

 このバグは、バグじゃない。

 AIが見つけた、新しい視点。

 モモの日常を、AIの言葉で綴る日記。

 それは楓にとって、かけがえのない宝物になっていた。

 翌朝、楓が出かけると、ウォッチャーは今日も静かに記録を始めた。

『本日の記録

09:15 飼い主が外出。

09:20 モモが鳴く。

   今日も、観察は続く。

   理由は分からない。

   でも、続ける。

   それが私の、存在意義だから――』

(了)

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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