俺の無勇伝

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/7 📚 シリーズ: 俺の無勇伝 📝 901文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

平凡なサラリーマン、坂本浩二。 毎日リモコンのボタンを押すように繰り返すだけの人生。 これはそんな彼の無勇伝(ぶゆうでん)。 彼は新任の美しい秘書・結城美咲と出会う。 完璧に見えた彼女が抱える“秘密”に触れた瞬間、坂本の世界は静かに軋み始めた。 ――社長室のパソコン、消せない契約ファイル、そして「見られている」という警告。 操作されるのは、会社か、自分か。 日常が音もなく壊れていくオフィス・サスペンス。 ※こちらは友人の作品を代理で投稿しています※

本文

第四章 終わらない1日

夜、オフィスの灯りがひとつ、またひとつと消えていく。

エレベーターホールの奥、最上階だけがまだわずかに明るい。

坂本はその光を見上げたまま、息を飲む。

リモコンで動いているかのように、足が勝手に進む。

もう誰もいないはずのフロア。廊下の蛍光灯が、彼の影を細く伸ばした。

社長室のドアノブに手をかけた瞬間、金属が冷たく指に張りつく。

鍵は――開いていた。

中は静まり返っていた。

厚いカーペットが足音を吸い込む。

デスクの上には整然と並んだ書類と、まだ湯気を残すコーヒーカップ。

ついさっきまで、誰かがここにいたような気配。

「……なんで、俺、こんなこと……」

喉の奥でつぶやいた声が、やけに響いた。

探しているのは証拠か、それとも自分の気持ちか。

わからないまま、引き出しに手を伸ばす。

そのとき――

背後でエレベーターの到着音が鳴った。

坂本の心臓が跳ねる。

鼓動が耳の奥で鳴り続け、喉が乾く。

息を殺しながら、坂本は引き出しをひとつずつ開けていった。

中には整然とした書類と、見慣れない封筒。

社長の名前の下に、見覚えのある筆跡があった。

それを見た瞬間、手が震える。

――結城。

ペンの跡がまだ新しい。

何かを確かめるように、封筒を胸ポケットへ滑り込ませると、坂本は静かにドアへ戻った。

振り返ると、薄闇の中に社長の革張りの椅子がぼんやりと浮かんで見える。

まるでそこに誰かが座って、彼の一部始終を見ているような錯覚。

カチリ――。

ドアが閉まる音がやけに大きく響いた。

その瞬間、全身から力が抜け、足がもつれそうになる。

翌朝。

いつも通りの朝礼、いつも通りの空気。

だが、結城秘書の目が一瞬、坂本のポケットのあたりをかすめた。

気づかれたのか、それとも偶然か。

何も言わずに書類を差し出す彼女の手が、いつもより冷たく感じた。

そして数日後――。

社長室に呼び出された坂本の机の上には、あの封筒とまったく同じ封筒が置かれていた。

それを見た瞬間、背中を冷たい汗が伝う。

「坂本くん、少し話がある」

その声は、いつもよりずっと穏やかで、ずっと怖かった。

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作者について

文月 澪

文月 澪

「シリアスもラブコメも、すべては“人”の物語。」 はじめまして、文月澪(ふづき みお)と申します! SFやファンタジーを舞台に、恋とアイデンティティの物語を書いています。 異世界転生...

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