第10話 食糧危機と「カップ麺」の奇跡、そしてエルウィンの疑惑の表紙画像

第10話 食糧危機と「カップ麺」の奇跡、そしてエルウィンの疑惑

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

あらすじ

【小説家になろうで週間ラインクイン、合計16000PV超】異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~ - 第10話 食糧危機と「カップ麺」の奇跡、そしてエルウィンの疑惑

本文

花子の「たこ焼き」屋台は、瞬く間に王都の名物となった。

王宮の門前広場は、毎日がお祭りのような賑わい。

老若男女が列を作り、笑顔があふれる。

(みんなの笑顔、嬉しいな……! こんなにもたくさんの人が、私の料理で幸せになってくれるなんて……!)

故郷で一人食べ歩いていた日々とは、まるで違う満たされた感覚。

花子の心は温かい喜びに包まれていた。

魔力がないと蔑まれたあの日の絶望が、遠い過去のようだ。

しかし、その成功を快く思わない者たちもいた。

王都の食料流通を牛耳る商人ギルドだ。

豪華な応接室で、幹部たちが不機嫌な顔を突き合わせていた。

「あの聖女とやらが、我々の商売を邪魔している!」

「利益が減少の一途だ! このままでは、王都の食料流通は我々の手から離れてしまうぞ!」

焦りと怒りが渦巻く。彼らは水面下で画策を始めていた。

ある日の朝。

花子が屋台の準備をしようと市場へ向かうと、異変に気づいた。

普段は賑やかな市場が、異常なほど閑散としている。

活気ある声は聞こえず、商人の呼び声も沈んでいる。

「どうしたんですか?」

馴染みの八百屋が、疲労と絶望の顔で答えた。

「ああ、聖女フローラ様。困ったもんです。数日前から、大手商人ギルドが根こそぎ買い占めていくもんで、品物が全然入ってこないんですよ」

八百屋の声は、途中で途切れた。

「このままだと、街中が食料不足に陥っちまいます……」

空っぽになった棚が並ぶ。

花子は愕然とした。

(商人ギルドの仕業だ!)

計画的な妨害だと直感した。

このままでは、せっかく芽生え始めた人々の笑顔が消えてしまう。

飢えは、人々の心を荒ませ、暴動すら引き起こしかねない。

故郷のニュースで見た光景が、脳裏をよぎる。

胸の奥に、冷たい不安が広がっていく。

通販サイトを開くが、連日のたこ焼き販売で銀貨はほとんど残っていない。

画面に表示される残金は、わずか数枚の銅貨だけだ。

(どうしよう……これじゃ、何も買えない……)

花子の手から、小銭入れが滑り落ちそうになる。

絶望が再び、花子の心を覆い始める。

(待って……! この状況で、すぐに、多くの人に行き渡る食べ物を……! 安価で、手軽で、しかも温かいもの……!)

花子の脳裏に、非常食として備蓄されていた故郷の記憶が蘇った。

災害時や、急な来客時に重宝した、あの手軽な食べ物。

熱いお湯を注ぐだけで、温かくて美味しい食事が完成する、奇跡のような食品。

あの、カップに入った麺。

「そうだ、あれなら……! カップ麺だ!」

花子は有り金全てを叩き、通販サイトで「カップ麺(インスタント麺)」を大量に召喚した。

一人分の銀貨で買える量が少ないため、数を揃えるのに必死だった。

醤油味、味噌味、塩味、豚骨味……故郷のコンビニの棚が、そのまま目の前に現れたかのようだ。

段ボール箱いっぱいのカップ麺が、小部屋に山と積まれる。

「皆さま! 食料不足で困っている方はいませんか! 私が作った温かい食事をどうぞ!」

広場の一角で、花子は集めた小枝で焚き火を熾し、大鍋で湯を沸かした。

パチパチと炎が燃え上がる。

熱い湯気が濛々と立ち上る。

湯気は、冷え切った人々の心に、温かい希望の光を灯すかのようだ。

そこに召喚したカップ麺を次々と投入し、熱々のスープと麺を、簡素な器で配っていく。

蓋を開け、湯を注ぎ、三分待つ。

人々は期待に満ちた目で鍋を見つめる。

香ばしい匂いが広がるたびに、人々の胃袋が鳴る音が聞こえるようだ。

「な、なんだこれは……!?」

「こんなに美味しいものが、一瞬で!?」

「この香りは……! 嗅いだことのない、でも、たまらなく食欲をそそる香りだ!」

香ばしい醤油ベースのスープと、ツルツルとした麺。そして、フワフワと湯気を立てる具材。

一口食べれば、温かいスープが弱った体に染み渡り、空腹を満たす。

ツルツルとした麺の喉越し、そして具材の旨味。

彼らがこれまで口にしてきたどんな食事とも異なっていた。

「うまい! 温まる!」

「飢えが癒える……!」

「こんな奇跡の食べ物があったなんて!」

カップ麺は、手軽に温かく、そして空腹を満たせる奇跡の食べ物だった。

一人で大量に食べることはできないが、飢えをしのぐには十分だった。

広場は、カップ麺の香ばしい匂いと、人々の「美味しい!」という歓声で満たされていく。

子供たちは目を輝かせ、大人たちは涙を流しながら、夢中でカップ麺をすすっていた。

飢えに苦しんでいた彼らにとって、それはまさに「命の味」だった。

その光景を、遠巻きに観察していたのは、騎士団の兵士を従えたエルウィンだった。

彼の視線は、花子がどこからともなく取り出す「奇妙な器に入った食べ物」に集中していた。

彼の瞳は、真理を探求する魔術師特有の、鋭い光を宿している。

知的好奇心は、すでに限界に達していた。

(まさか……あの聖女は、魔力なしだと聞く。だが、この王都にこれほどの規模で食料が不足している中で、次々と物質を具現化しているとしか思えない……!)

エルウィンの脳内で、思考が高速回転する。

(これは、私が研究してきたどの魔法の理論とも合致しない。しかし、目の前で起きている現象は、紛れもない事実だ!)

エルウィンは、花子の屋台の時にも感じた疑惑が、確信に変わりつつあった。

彼は数人の兵士に、花子の元からカップ麺を受け取るように指示した。

兵士たちは、エルウィンの指示に従い、カップ麺を感嘆の声を上げて食べる様子を冷静に分析する。

「エルウィン様、これは、一体……!」

兵士の一人が震える声で尋ねる。

その顔は、カップ麺の美味しさに打ちのめされたかのように、呆然としている。

エルウィンは、不敵な笑みを浮かべた。

彼の瞳には、未知のパズルを解き明かす前の、興奮に満ちた輝きが宿っている。

それは、まるで新たな魔法の法則を発見したかのような、純粋な歓喜だった。

「……やはり面白いことになりそうだ。この世界の理を覆す、新たな真理が、目の前にあるのかもしれない」

ジャンル・タグ

, , , , , , ,

作品統計

👁️ 閲覧数: 1 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

ざつ

ざつ

ファンタジーxSFxラブコメ 生成AIゴリゴリ使いますが、丸投げじゃないですよ。まずはフォローいただける嬉しいです。

👥 フォロワー: 11人

作者ページを見る