断片|赤い飲み物

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/3 📚 シリーズ: にくゑ-断片 📝 574文字 ✅ 全年齢

あらすじ

episode - 断片|赤い飲み物

本文

【メモ帳より】

 清音が小さな瓶をくれた。

「これ、よかったら」

 手のひらサイズの丸い瓶。

 蓋に巻かれた布、夕日に透かすと血みたいに赤い。

 清音の指が触れた瞬間、氷みたいに冷たかった。

「村の子はみんな、これを飲んで育つの」

 なんの説明もなし。

 でも断る理由もない。

 家に帰って、瓶をまじまじと眺めた。

 なんでだろう、見覚えがある気がする。

 母の遺品を整理してた時、似たような瓶を見た気がする。

 でも思い出せない。

 夜、瓶を開けた。

 甘い匂いがふわっと立ち上がる。

 でもその奥に、鉄の匂い。生臭い匂い。

 液体はあめ色で、とろり濃厚。

 ひとくち口に含んだ瞬間──

 舌がしびれた。

 甘いのに、苦い。温かいのに、冷たい。

 のどを通る時、何かがざらざらした。

 体が重くなって、こたつで眠ってしまった。

 夢の中で声が聞こえた。

「やっと来てくれたのね」

「待ってたの、ずっと」

「今度こそ、最後まで」

 誰の声かわからない。

 でもすごく懐かしく感じた。

 母の声に、似ていた。

 朝起きたら、なぜか冷蔵庫に瓶がしまってあった。

 私がやったのかな。覚えてない。

 でも不思議と「毎日少しずつ飲まなきゃ」って気持ちになった。

 その日から体調が劇的に良くなった。

 東京にいた頃の貧血、頭痛、すべて消えた。

 でも、なんで母の遺品に似た瓶があったんだろう。

【メモ帳の隅に走り書き】

 母、何か隠してる

 この液体、普通じゃない

 でも体調いいから、まあいいか

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作者について

カクナ・ノゾム

カクナ・ノゾム

カクナノゾムと申します。 趣味の小説を細々と書いてます。 面白いことは間違いないので是非是非ご一読くださいませ。

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