長月 空という人生について語ろう
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
キャッチコピーは 「ポンコツ社畜なアラサー女性の平凡な日常。実は彼女も知らぬ秘密があって…」 「おはようございます!」と元気に出勤する空。 変化が苦手で「安定」「安寧」、「普通」「平凡」をこよなく愛する彼女の日常はそうやって始まる。 いつもの様に出勤、帰宅。 そんな毎日が来ると信じてやまない彼女には、自身も知らぬ「ある秘密」があった。 秘密とどう出会い、向き合い、共に生きると決めるのか、そんな彼女の葛藤や人生を「友人」である私が小説に。 長月 空の周りには「笑顔」と「頼れる仲間」が。 笑顔が会社の空を、頼れる仲間が家での空を大切に護ってくれる。 舞台は神奈川県。 名前等の一部名称は特定されない範囲で変更するが、全て実際の出来事を書いていく。 その処女作、物語が始まる。
本文
(喉、凄く乾いてる?…痛い?カサカサな気がする…)
カーテン越しに差し込む光。
夏場のそれは、レースカーテンというフィルターを通してもなお、明るかった。
きっとそれは未来の暗示。この頃の空にはとても信じられない話だが。
蒼のグラスに水を注ぎ、飲み込む空。
さながら全てを受け入れるが如く。
口当たりの良いガラスから唇へと伝わるは温くも、空の喉に潤いをくれた。
少しずつ少しずつ鮮明となる感覚はまだ少し遠い。
時計を見れば十四時過ぎだった。
寝起きは良いのに、今の身体は重く、布団へ戻ろうとする。
三分の一捲れた布団に疑問を抱き、更に捲る。
そこにあったモノは無慈悲に空へと突き刺さる。
よくある出刃包丁。
一瞬にして理解する空。瓦解する自身。
記憶が、その奔流が、心を体を糾弾してくる。
その悍ましさは今まで経験したことのない暴力だ。
「わ、たし…なんて、ことを…!会社を…それも、無断で!」
自分を殺そうとした事では無く、会社を休んだ事の方が辛いのか。
まともな精神状態では無いのは誰でも分かるだろう。
「どう、しよう…私は、どうしたら…」
続く言葉は「赦されるの?」
赦される事なんてこの先無い。そもそも会社は心配こそすれ、空の様に責める者等居ないのだから。
寝ている間に母親が会社に連絡をしてくれていた。
後に聞かされた言葉は
「兎にも角にも今はゆっくり休ませる様に」
だったそうだ。
空と周りとで空への評価や対応が著しく解離しているのは、何故なのか。
性格?気質?根本的な原因に対して、それらは霞む。
しかし理由を空は知らない。
この約10年後に空は自嘲の笑みを浮かべ
「知らない方が幸せだったかも。私」
確かにその通りだ。
「長月」の名を持つ私達を空が知らなければ、あんな事にはならなかった。
しかし同時にそれは、この物語の静止を意味する。
社内事故、無断欠勤、自殺未遂…
これらはこの物語の肝では有るが序章も序章。
ここから空は復職に向けて多くに出会い多くを学ぶ。
得たモノから空は強くなっていく。
後に会う尊敬する先輩からは
「大人になってもズル休みってして良いんだよ」
ずっとお世話になる心理士からは
「それは空さんが今迄築いて来たモノでもあるのですよ」
多くの言葉を始め、沢山の【縁】が空も周りも助けてくれるようになる。
そして尊大なる、ある【野望】を抱いた少年【冬馬】と出会い、【長月 空】として自身も大きくなる。
その名に籠められた願いに相応しく【自身を保ったまま全てを受け入れ、やがては大空へと羽ばたける大きな存在】へとなる為に。
これはそんな【長月】の名を持つ者達の壮大な闘いの物語である。
作品統計
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