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第20話:浮遊要塞ガウス、襲来

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/27 📚 シリーズ: 《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド―― 📝 2,292文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド―― - 第20話:浮遊要塞ガウス、襲来

本文

里の「偽聖女」たちは、文字通り塵となって消えた。

 カイの『論理眼(タクティカル・アイ)』によって導き出された「掃除の最短ルート」を、リゼとゼロが物理的な暴力で踏み抜いた結果である。住民たちは解放され、エルナは両親との再会に涙を流していたが――その喜びを、天を裂くような重低音が断ち切った。

「……計算より早いな。里の放棄ではなく、里ごとの『消去』を選んだか」

 カイが空を見上げる。雲を割り、夕闇を押し退けて現れたのは、全長一キロメートルを超える帝国の移動要塞――『浮遊要塞ガウス』。

 それは、弟であるカイの名を冠した、ゼノンからの最悪の執着の象徴だった。

「ひ、ひぃぃ……! あれは本国の第一艦隊旗艦じゃないですか! 閣下、あれが出てきたってことは、もう交渉の余地なんてゼロですよ!」

「わかってるわよハンス! 義兄様は、私をカイと一緒に消すつもりなのね……。いいわ、だったら正々堂々と『心中』してやるわ! カイ、私を見なさい! 散り際まで美しくあってあげるから!」

「心中は困ります! せめて私の有給申請書を本国に送信してからにしてください!!」

 絶望に叫ぶヴァネッサたちをよそに、要塞の底面から無数の魔導砲門が展開される。

『――美しい里だ。燃え盛るスパイスの火は、きっと帝国を照らす灯火になるだろう』

 上空から響くゼノンの声。直後、里の周囲に無差別の爆撃が降り注いだ。

「リゼ、ゼロ! 地上戦はピノとヴァネッサに任せろ。お前たちはワゴナー号のブースターを直結し、あの要塞の『喉元』を突くぞ!」

「承知いたしましたわ、ご主人様! ――ゼロ、ついて来られますか? 掃除の範囲が少し広いですよ!」

「……。……了解、お姉様。……お姉様の挙動を100%エミュレートし、戦域全体をクリーンにします」

 二体のドールが、ピノの魔改造した『超音速冷却ブースター・ツイン』を背負い、垂直に飛び上がった。

◇◆◇◆◇

 空域は、要塞から放たれた数千の迎撃ドローンで埋め尽くされていた。

 だが、リゼの動きは相変わらず「非論理的」だった。

「えいっ、あいたたたっ! 急旋回しすぎて、スカートの裾がブースターに……!」

 リゼが空中でバランスを崩し、不格好に回転する。だが、その不規則な回転運動が、敵ドローンの精密射撃をすべて紙一重で回避していた。

「……。……なるほど。お姉様、あえて重心を不安定にすることで弾道を予測させない『カオス回避術』……学びました。私もわざと足を滑らせます」

「ちょっと、恥ずかしいから、やめなさい! ゼロ、あなたはもっとエレガントに飛びなさいな!」

 カイの論理眼が、そのハチャメチャな光景をスキャンし、最適解を叫ぶ。

「……リゼ、そのまま回転を止めるな。ゼロ、リゼの遠心力を利用して加速しろ。エルナ、スパイスの霧で光学迷彩を張れ!」

「は、はいっ! ――『聖女のスパイス・スモーク』!!」

 エルナが祈りを捧げると、空中を漂う魔導粒子が芳醇なスパイスの香りと共に七色に輝き、要塞のレーダーを麻痺させた。

「ハンス、要塞の第4ブロックの障壁をハックしろ! ヴァネッサは地上からの対空砲火で、敵の注意を右舷に逸らせ!」

「了解ですよ! 辞表の代わりに、サーバーを熱暴走させるトロイの木馬を叩き込んでやります!」

 ハンスが胃を抱えながら、端末を猛烈な速度で叩く。彼の執念――「働きたくない」という情熱が魔導回路を逆流し、要塞の制御システムを次々とデッドロックに追い込んでいく。

「カイ! ――あなたが私を避けるのは、帝国に戻るのが怖いから!? それとも、私と一緒にいるとあの男を思い出すから!? ……いいわ、全部まとめて私が斬り伏せてあげる!」

 ヴァネッサがボロボロになりながら、大剣を振るい対空砲火をなぎ払う。彼女の真剣な眼差しが、一瞬だけカイの論理眼を射抜いた。

「あとね、カイ! ――地上のハエ共は私が一匹残らず叩き落としてあげるわ! あなたは前だけ見てなさい!」

 ヴァネッサが地上からの対空砲火を大剣一閃で薙ぎ払い、カイへの愛を叫びながら道を切り拓く。

 要塞の障壁がわずかに揺らいだ一瞬。

 黄金の光を纏ったリゼと、銀色の軌跡を描くゼロが、要塞の主砲口へと到達した。

「トドメですわ! ――『極点貫通・姉妹(シスターズ)の逆鉾』!!」

「……。……全出力、解放。……バイバイ、お兄様(の要塞)」

 二人の槍が一点で交差し、要塞の心臓部へと突き立てられる。

 物理的な破壊と、ハンスによる電子的な封鎖。その二重の致命傷を負った『ガウス』は、爆炎を上げながらバランスを崩した。

 物理的な破壊と、ハンスの電子的封鎖が同時に完遂された。要塞『ガウス』は、全ハッチがロックされ、外からはもちろん、中からも一切出られない「巨大な鉄の棺桶」へと変貌した。

『――馬鹿な、私の傑作が……! カイ、お前はどこまで私の計算を……!!』

 ゼノンの絶叫を置き去りにして、巨大な鉄の影は砂漠の地平へと墜ちていった。

◇◆◇◆◇

 数分後。轟音と共に砂漠へ激突した要塞は、もう二度と空へ上がることはなかった。

 ハンスが仕込んだ『有給の呪い(封鎖ウイルス)』により、要塞のハッチはすべて物理的にロックされ、外からはもちろん、中からも一切出られない「巨大な鉄の檻」となったのである。

「……ふぅ。お掃除、少しは捗りましたわね」

 リゼが煤けたエプロンを払いながら舞い降りる。

「……お姉様。……転がりすぎて、スカートの裏地にサボテンの棘が付着しています。……後で、マスターに抜いてもらいましょう」

「あら。ゼロ、それは……名案ですわね」

 沈黙した要塞を前に、カイは静かに論理眼を解除した。

 勝利――だが、本当の決戦は、この「鉄の檻」の中にある。

(第21話に続く)

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ざつ

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