5章:白い地獄の入口
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
夕日で赤く染った公園 別れを惜しむ2人 再開にと渡した宝物…… 2人の行く末は…… こちら正規ENDとなります。 ifも書こうかなと。 ⚠️注意⚠️ ☆文章の直しはAIがしてくれてます ☆アイディア、作成は作者がしています ☆AIと相談しながら作ったためこの小説はAI作成にしていますがシナリオはオリジナルです 表現と文章の補助のみ使用 こちらBLとなりオリジナル作品となっています 軽い裏表現がありますが想像で楽しんでください。キツイ表現はそんなにないかもですが ホラー寄りのシリアスです。イジメなどの表現もあるので苦手な方は読まないようお願いします。 pixivとエブリスタには搭載してます。 こちら完結しております。if作成中
本文
重い瞼の裏で、赤い光が明滅している。
パトカーや救急車のサイレン。
沢山の足音や声が聞こえる
薄れる意識のなか
誰かが
「きみ!大丈夫かい!?」と身体を揺らさし無事を確認するが声も出せず崚は意識を手放した
ドクン
ドクン……ドクン……ドクン!!!
心臓の鼓動が耳の奥で太鼓のように鳴り響き、ようやく意識の表面に浮上した。
「……っ、は、ぁ……っ!!」
肺がひび割れたように痛み、崚は喘ぎながら目を開けた。
視界は白く霞んでいる。そこが病院であることは、鼻を突くツンとした消毒液の臭いと、腕に繋がれた点滴の管ですぐに分かった。
「……が、っ……」
動こうとした瞬間、腹部にナイフを突き立てられたかのような激痛が走り、崚はシーツに爪を立てた。
意識が混濁する中で、昨夜の光景がフラッシュバックする。
夜の高校、屋上、冷たい雨。そして、目の前で次々と引き裂かれ、血の肉塊に変えられていった不良たち。
何より——死んだはずの親友、零羅にそっくりなあの「怪物」。
「……ようやく帰ってきたか」
その声に、崚の全身から血の気が引いた。
窓際、西日が差し込むカーテンの影。
パイプ椅子に腰掛け、慣れた手つきで果物ナイフを使い、リンゴを剥いている男。
黒い外套は脱ぎ捨てているが、その顔は紛れもなく、昨日地獄を見せた「クレラ」だった。
「お前……! なんで、ここに……!」
「怪我人を見舞いに来た友人に、随分な言い草だな。まあ、今の崚に『友人』なんて、俺くらいしか残っていないと思うけど」
クレラは静かにナイフを動かす。薄く剥かれた皮が、赤い蛇のように床へ垂れ下がる。
その落ち着き払った様子が、逆に崚の恐怖を煽った。
「……ふざけるな。……警察を、呼んでくれ……。全部、本当のことを話す……」
崚は掠れた声で、懇願するように言った。自分一人ではどうにもならない。法の力を借りるしかない。
だが、クレラはクスクスと、かつての零羅がよく見せた無邪気な笑い方で、病室のドアを指差した。
「ああ、いいよ。外にいるからね。警察も、お前の母親も。……でも、崚。お前は本当に彼らに『本当のこと』を話すつもり?」
「当たり前だ! お前が……お前がアイツらを殺したんだ!
俺は殺してない!」
その叫びに、クレラはナイフを止め、ゆっくりと崚を見つめた。その瞳には感情がなく、深い淵のように暗い。
「いいか、崚。あの日、あの時。警察が見た光景を教えてあげよう。屋上の鍵は閉まっていた。密室だ。その中で、お前は狂ったように笑いながら、自分の腹に刺さったナイフを引き抜き、逃げ惑う彼らを追い詰めた。……防犯カメラに映っているのは、血まみれで咆哮するお前の姿だけだ。俺の姿も、俺が操った影も、何一つ記録には残っていない」
「嘘だ……! そんなはずない!」
「本当だよ。お前の右手には、奴らの返り血と、ナイフの柄についたお前の指紋がたっぷり残っていた。ねぇ崚。そんな状態で『死んだはずの親友が、化け物になって現れて、影の腕で不良たちをバラバラにした』なんて言ってみなよ。……刑事たちがどんな顔でお前を見るか、想像できるだろ?」
クレラが椅子から立ち上がり、ゆっくりとベッドに近づいてくる。
崚は逃げようとしたが、体中の傷がそれを許さない。
「お前がこれから行くのは、刑務所じゃない。……精神科の隔離病棟だよ。そこなら、お前が何を叫ぼうが『脳の病気』として処理される。誰も信じない。誰も助けない。一生、重い薬を打たれ続けて、真っ白な壁に囲まれて、自分という存在がドロドロに溶けてなくなるまで、そこで過ごすんだ」
「……っ、やめろ……やめてくれ……!」
「嫌なら、俺の手を取れと言ってるんだ。俺だけは、お前が人殺しじゃないって知っているからね」
クレラが、透き通るような白い手を差し出したその時。
ガチャリ、と外側から重々しい鍵の音がして、ドアが開いた。
「……櫻井くん、起きたのか」
入ってきたのは、鋭い眼光の刑事と、その背後に控える落ち着いた雰囲気の女性医師だった。
崚はすがるように、刑事に手を伸ばした。
「聞いて、 聞いてください! 俺じゃない! あれは、そこにいる……そこにいる男が、やったんだ!!」
崚が窓際を指差す。だが、そこには空っぽの椅子があるだけだった。
刑事は困惑したように椅子を一瞥し、それから女医に目配せをした。女医は静かにベッドの傍らへ歩み寄り、優しい声で問いかける。
「櫻井くん。落ち着いて。……その、男というのは、そこに立っているのかしら?」
「います! 椅子に座って、リンゴを剥いてたんだ! あいつが、影を使って、みんなを……! 信じてください、本当なんです!!」
崚は必死だった。今、ここで信じてもらわなければ、本当に一生「狂人」のレッテルを貼られる。
女医は丁寧にメモを取りながら、慈しむように頷いた。
「なるほど。彼はどんな服を着ているの? 何か、あなたに話しかけてきたかしら」
「……パーカーを着て、俺のことを『崚』って……。さっきまで、俺がやったことにされるって、脅してきたんだ。
ほんとに嘘じゃないんです!」
「そう……辛かったわね」
女医はふっと微笑んだ。だが、その瞳には一切の「信じている」という光はなかった。
「櫻井くん。……今、あなたが話してくれたことは、医学的には『急性ストレス反応による解離性幻覚』といってね。とても強いショックを受けた脳が見せる、悲しい嘘なの」
「嘘じゃない! 本当にいるんだ!!」
「いいえ。リンゴを剥いていたと言ったけれど、この部屋にナイフなんて持ち込めるはずがないわ。……見て。そこにあるのは、看護師が持ってきた、最初から剥いてあるプラスチック容器のリンゴだけよ」
崚が視線を移すと、そこにはクレラが剥いたはずのリンゴの皮も、ナイフもなかった。あるのは、密封されたカットフルーツの容器だけ。
「そんな……。でも……あっ!!首に! 首にアザがあるはずなんだ。あいつに掴まれた跡が!」
崚は必死に病院着をはだけ、首を突き出した。刑事と女医が、顔を近づけてそこを確認する。
「……櫻井くん。何もないよ。鏡を見てごらん」
差し出された手鏡に映った自分の首筋は、抜けるように白く、滑らかだった。
呪いのアザも、暴力の痕跡も、欠片ほども残っていない。
「……あ……。なんで……」
「櫻井くん、君は疲れている。あまりにも残酷な事件を目の当たりにして、心が男という幻影を盾にして、自分を守ろうとしているんだわ」
女医の声が、真綿で首を絞めるように崚の自由を奪っていく。
「ゆっくり休める場所に移動しましょう。そこで、その幻覚が見えなくなるまで、一緒に治療していきましょうね」
「待って……! 俺は、狂ってない……! まって!嫌だっ!」
刑事は顔を背け、静かに部屋を出て行った。
「……移送の手続きを。櫻井くん、……しっかり治すんだぞ」
「嫌だ! 離せ! 離してくれ!!」
看護師たちに押さえつけられ、腕に冷たい注射針が刺さる。
朦朧とする意識の中で、最後に見えたのは。
誰もいないはずの窓際。
西日に照らされながら、クレラが満足げに、そして楽しそうに――崚に向かって、ひらひらと手を振っている姿だった。
(……逃げられない。俺の言葉は、もう誰にも届かない……)
深い、深い闇が、崚を飲み込んでいった。
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