彼女の為なら最高率〜オフィスはいつもカオスです〜
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
神様たちのカオスな日常
本文
第1話 人間滅亡の危機!?
とある神の世界――。
人間界と同じく、ここにも会社があった。
理を司る神たちは机に向かい、書類を整理し、会議を重ねる。
だが、神の会社もまた――日常からしてカオスだった。
神界第4営業部。
そこは「世界の維持」を司る部署だが、実態はブラック企業を通り越して、いつ世界が終わってもおかしくない「終末企業」と化していた。
死の理「報告します。本日午前10時、少女が『日差しが眩しい』と仰ったので、太陽の出力を一律80%カットしました。これにて紫外線対策は完璧、最高効率のソリューションです」
死の理の神が、淡々とホッチキスで止めた報告書を差し出す。その表情には一点の曇りもなく、有能な社員そのものの風格が漂っている。
大地「ソリューションじゃねえええ!! 地球が氷河期に突入したわ!!」
上司である大地の理の神が、血管を浮き上がらせてデスクを叩いた。彼はすぐさま管理コンソールの「地熱」ツマミを最大まで回し、地球がカチコチに固まるのを必死で食い止める。修復作業のしすぎで、彼がマウスを握る手は生まれたての小鹿のように震え、デスクの引き出しには空になった胃薬の箱が、地層のように積み重なっていた。
大地の子(以降神子)「……あの、親父。太陽光発電が止まった影響で、現世の俺の信者たちが『神は死んだ』ってデモ起こしてるんだけど。あと、俺のスマホの充電も切れた。これ、再点灯のコスト含めて実費だよね?俺の給料から引くんだろ?
ひぎぃぃぃ!!」
サンドバッグ役の大地の神子が、虚空を見つめながら力なく呟く。もはや怒る気力すら残っていない。
「神1から5! お前ら見てないで手伝え! 生態系がバグり散らかして、マンモスがリスポーンし始めてるだろうが!」
大地様の怒号に対し、パーテーションの向こうから神1〜5が、ポップコーンを片手にひょこっと顔を出した。
神1「いや〜、死の理の『一括削除』機能、相変わらずキレッキレだね」
神2「効率だけは神界一だよな。文字通り『死ぬほど』早いし」
神3「大地さん、そんなに怒るとまたハゲるよ? ほら、神子。これ塩分タブレット。お前、土ばっかり食べてるから血圧低そうだし、今のうちに舐めときな」
神4「まったく、みなさん新人がこまってますよ?」
神5「え……え?!何から手付けるんですか先輩!?」
そこへ、ふわふわとした足取りで一人の少女がオフィスに入ってきた。この過酷な労働環境において、唯一「理」の外側にいる存在だ。
少女「ねえ、お空が暗くてつまんない。キラキラしてるのがいい!」
少女が死の理の神の服の裾を引くと、彼は(⌒ ͜ ⌒)と微笑んだ。
死の理「承知いたしました」
迷いのない手つきで、彼がキーボードの『Delete』キーに指をかける。
大地「まて!! 貴様、次は何を消す気だ!?」
死の理「いえ。キラキラさせるには、余計な大気と雲が邪魔ですので。……とりあえず、酸素を全消去して真空にすれば、星が最高に綺麗に見えるかと。これこそ最高効率の夜景鑑賞です(⌒ ͜ ⌒)」
大地「全人類を窒息させるなあああ!! 視覚情報の効率化に命をかけるな!!」
大地の理の神の叫び声が、今日もカオスなオフィスに虚しく響き渡る。
神界の明日は、まだ誰も知らない。
続く☆