彼女の為なら最高率〜オフィスはいつもカオスです〜3
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
とある神の世界――神界第4営業部。 世界の維持を担うはずのその部署は、 なぜか今日も騒がしい。 合理を重んじる神々と、振り回される神子。 そして、すべての中心にいる一人の少女。 「最高率」を掲げる彼らの仕事は、 なぜか毎回どこかおかしい。 これは、ちょっとズレた神々が織りなす 終末系オフィスコメディ。
本文
第3話:人間滅亡の危機その2
とある神の世界――。
神界第4営業部。
世界の維持を司る部署では、今日、史上最大の「デリート案件」が浮上していた。
「まて! 今何する気だ!? 今日はなんでそんな殺気だって……いや、そのボタンは何だ!?」
大地の理の神が、デスク越しに身を乗り出して叫ぶ。彼の視線の先には、管理コンソールの最深部に格納されているはずの『全座標:地殻消去』の実行キー。
その上に、死の理の神の指が、迷いなく添えられていた。
「…………地面なんてこの世から消えたらいいんですよ(⌒ ͜ ⌒)」
「やめろ!! 地面が消えたら、海も人間も全部まとめて宇宙に放り出されるだろ! 絶滅するわ!!」
「彼女は痛いと言いました」
死の理の神は、氷のように冷たく、けれど(⌒ ͜ ⌒)と笑いながら続けた。
「転んだ時に……
地面がすべて悪いんですよ? 彼女を傷つける物理干渉など、この世には不要です。全座標を最高効率でデリートします」
「まて!? 地面なくなったらまたデモ起き……いや、デモどころじゃない! 信仰がなくなる! 神の意義もなくなる!! 俺の存在意義が根底から覆るんだよぉぉぉ!!」
サンドバッグ役の神子が、椅子から転げ落ちて絶叫する。
事態はもはや大地様一人では抑えきれず、野次馬専門だった神1〜5までもが、「さすがに自分たちの席もなくなるのは困る」とばかりに飛び出してきた。
神1「おい死の理! 落ち着け! 消すならせめてアスファルトだけにしろ!」
神2「いや、大地さんがハゲるからやめろって!」
神3「なんであたなの加減で我々がっ」
神4「ふっざけんなよ理の神!!!」
神5「またですか先輩!?仕事どころじゃない〜」
「うるさいですよクズども(⌒ ͜ ⌒💢)」
神1〜5が必死に『Delete』ボタンを両手で押さえつけ、死の理の神の腕を総がかりで羽交い絞めにする。神界オフィス始まって以来の、神々による肉弾戦だ。
そこへ、膝に小さな絆創膏を貼った少女が、ふらりと現れた。
「……おなかすいたのー」
その一言で、死の理の神からスッと殺気が消える。彼は(⌒ ͜ ⌒)と微笑み、神1〜5を軽々と振り払って、振り返った。
「じゃあ、神子。いますぐスーパーに行きなさい。彼女の空腹を、1秒以内に最高効率で満たすのです」
「また俺かよ!! 地面守ったご褒美がパシリかよ!! 親父、なんとかしてよぉぉぉ!!」
「しらん、俺は胃が痛い」
神子の絶叫が、崩壊を免れたばかりのオフィスに空しく響き渡る。
こうして、神界第4営業部の「最高率」な理不尽とカオスは、今日も穏やかに……いや、平和に続いていくのであった。