雪は溶たら泥になる

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/23 📝 811文字 ✅ 全年齢

あらすじ

あくまでフィクションで 実際に起こった「 旭川凍死事件 」とは無関係です。

本文

序章、

北の街・白川市の冬は、ただ寒いだけではない。雪は静かに降り積もり、街の輪郭を曖昧にし、人々の声を吸い込んでいく。

その白さは、まるで街全体が何かを隠そうとしているかのようだった。

三月の終わり、夜明け前の薄闇の中で、公園内に倒れている少女が見つかった。

名前は、美咲。十四歳。

まだ幼さの残る顔は、雪に触れたまま冷たく、静かに眠っているように見えた。

発見した老人は、震える手で警察に通報した。

しかし、通報を受けた白川署の動きは、どこか不自然だった。

現場に到着したパトカーは、少女の周囲を確認するよりも先に、なぜか除雪車を呼び寄せ、足跡や痕跡を覆い隠すように雪を押し固めた。

「事故で処理する。」

署長の短い指示が、無線越しに響いた。

その言葉は、まるでこの街の“常識”であるかのように、誰も逆らわなかった。

白川市は、近年観光都市として売り出し中だった。

市長は「安全で清潔な街」を掲げ、教育委員会は「問題のない学校」を誇り、地元企業は「健全な地域社会」をアピールしていた。

そのどれもが、“問題がないこと”を前提に成り立つ虚構 だった。

だから、問題は“存在してはならなかった”。

少女の死は、街のイメージを損なう。

学校の管理責任が問われる。

市長の施策に傷がつく。

警察の怠慢が露呈する。

それらすべてを避けるために、少女の死は、最初から「事故」と決められていた。

少女の母親が泣きながら訴えた「いじめの相談」は、警察の記録から消えていた。

学校に提出したはずの報告書は、どこにも残っていなかった。

同級生たちは怯え、教師たちは沈黙し、街全体が、少女の存在そのものを“なかったこと”にしようとしていた。

雪は降り続ける。

白く、静かに、すべてを覆い隠すように。

だが、その雪の下には、確かに何かが埋まっていた。

少女の声。

真実の断片。

そして、街が見ようとしなかった現実。

白川市は、今日も白い息を吐きながら、その沈黙を守り続けている。

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作者について

AKIRA OO

過去に似ている事件が起こったかもしれないが ここに書いている物語は 「 フィクション 」として楽しんでください。 登場している団体、警察組織は仮想の団体、組織です。 以下、個人メモ。 ...

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