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第25話 シーズンの終わりと、新たな始まり。

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/25 📚 シリーズ: 王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 📝 2,004文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 - 第25話 シーズンの終わりと、新たな始まり。

本文

優勝が決まった夜。

王都は眠らなかった。

大通りに人が溢れ、酒場の灯りが朝まで消えない。

歌があり、泣き声があり、笑い声があった。

それでも荒れはしなかった。

勝ったから、だけじゃない。

負けた側を、もう「敵」だとは呼べなくなっていたから。

⸻

簡素な表彰式がスタジアムで行われる。

過剰な演出はしない。

この国にとって、まだ野球は「始まったばかり」だから。

レガリアの選手達が順に呼ばれる。

拍手。

そして、歓声。

魔族やハーフの選手が前に出た時も、それは変わらない。

一部に戸惑いはある。

でも、ブーイングは起きなかった。

勝者の輪の中に、確かに存在している。

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準優勝。

ルメルーナ・ブリッジズ。

静かな拍手が続く。

その中心に、バルト選手が立っていた。

表情はいつも通りだ。

悔しさも、怒りも、外には出さない。

でも、拍手が止まらない。

誰かが、声を上げる。

「いい投球だった!」

それが、引き金になった。

「あんたが一番だ!」

「来年も投げろよー!」

バルトは選手少しだけ目を伏せ……そして、頭を下げた。

その仕草に、さらに拍手が重なる。

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特別席でエステル様が胸を張る。

「うむ! 皆、よくやったのじゃ! 妾とても誇らしいぞ!」

「お腹は……大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃ! 今日は控えめにする!」

「さっき、屋台三つ回ってなかった?」

「あ、あれは……視察じゃ!」

「ふぅん?」

ナオがニヤニヤと私を見る。

お薬の用意をしておくべきだろうか。

⸻

夜が更け、喧騒が少しずつ落ち着いた頃。

私は城のバルコニーに出た。

冷たい風が心地良い。

遠くでまだ歌声が聞こえる。

誰のものか分からない。

でも、楽しそうだ。

エステル様が隣に来る。

「イオリ」

「はい」

「妾は……上手く出来ておったか?」

少し、不安そうな声。

「はい。とても」

「皆……ちゃんと、前を向いておるかのう」

「向いています。完璧ではありませんが……確実に」

エステル様は、翼を小さく揺らし、ふふ、と笑った。

「なら、良い!」

⸻

このリーグはまだ未完成だ。

差別は、消えていない。

圧力も、利害も、山ほどある。

でも。

同じ勝敗を数え、同じ一球に息を止め、同じ拍手を送った。

それだけで、世界は少し変わった。

私は夜空を見上げる。

次はドラフト。

次は新しい選手達。

この物語はまだ終わらない。

ただ……今日は。

一区切りだ。

そう思える夜だった。

ドラフト会場は思ったより静かだった。

歓声も、罵声もない。

あるのは紙をめくる音と、呼吸の気配だけ。

これがこの国で初めて行われる正式なドラフト。

誰も正解を知らない。

だからこそ、全員が慎重だった。

⸻

最初に呼ばれたのは魔族の少年だった。

名前はレイルさん。

まだ角も小さく、体つきも細い。

それでも、投球フォームは誰が見ても分かるほど、バルト選手を真似ていた。

「あの子、ずっとルメルーナの試合を見てたんだって」

ナオが小声で言う。

「バルト選手と言葉を交わした事もあるみたい」

発展途上。

即戦力ではない。

それでも、その視線は真っ直ぐだった。

⸻

次はハーフの少女。

セリナさん。

獣人とのハーフで、しなやかな脚を持つ。

内野を抜ける打球への反応が、とにかく早い。

走塁の初速は既にプロレベルだ。

「……怖がっておらんの」

「はい。観客席の視線にも慣れています」

それは、強さか諦めか。

衆目を集める存在である事は、確かだ。

⸻

三人目。

リザードマンの投手。

ザールさん。

左腕。

高い位置から、角度をつけて振り下ろす独特のフォーム。

湿気の多い日ほど、球威が増す。

「打者の目線ではいきなりボールが現れたように見えると思います」

「ほほぅ!」

エステル様がときめいている。

即戦力。

それも、対戦相手にとってはかなり厄介な。

⸻

四人目は獣人の少女。

リディアナさん。

外野手。

打球判断が良く、最初の一歩が速い。

「音で追ってるとな……?」

「はい。風切り音と、回転音で。あくまで本人の弁ですが……」

獣人ならではの感覚。

守備で試合を変えられる選手だ。

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五人目。

オークの少年。

グロウさん。

体格は既に完成に近い。

バットを振る度に空気が震える。

荒削り。

変化球には、まだ弱い。

それでも、一発の破壊力は別格だ。

「……球場は壊れぬのか?」

「どうでしょう。流石に大丈夫……いや、メッセージボードは割れる、かな?」

胃が痛い。修繕費だって予算から出さないといけないのに。

⸻

人間の指名候補もいる。

カインさん。

王都出身の内野手。

堅実で、凡ミスが少ない。

マルタさん。

コーンウォリス育ちの捕手。

投手を落ち着かせるのが上手い。

派手さはない。

でも、チームには必要な存在だ。

⸻

会場の空気が少しずつ熱を帯びていく。

名前が呼ばれる度に息が詰まる。

指名されなかった者は俯く。

呼ばれた者は戸惑いながら立ち上がる。

私はその全てを見ていた。

「……始まりですね」

呟くと、エステル様が力強く頷く。

「うむ! 次の世代じゃ!」

その声には不安も迷いもない。

このドラフトは単なる補強じゃない。

この国が、何を未来に残したいかの宣言だ。

そして、物語は次の章へ進む。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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