朧ーおぼろー
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
朧ーおぼろー それは人ならざる者なのか? ChatGPTに、NanoBananaで画像生成したイラストを見せて、ちょっとしたイメージ短編を書いてもらった。
本文
朧−おぼろ−
あの庭には、春が遅れて来る。
枝桜がひと枝だけ早く咲き、
花弁が落ちる頃、
黒衣の青年が立っているのを見た者がいるという。
瞳は白かった、と言う者もいれば、
いや、普通だった、と首を振る者もいる。
ただ一つだけ一致しているのは、
視線を向けられた瞬間、
音が遠のいた、ということ。
風が止まるのではない。
自分の内側の音が、薄くなるのだ。
唇はわずかに色づいている。
血のようでもあり、
花弁の影のようでもある。
声をかけようとした者はいない。
なぜなら皆、
名前を知らないはずなのに、
心のどこかで知っているからだ。
――朧だ、と。
桜は彼を背負わない。
彼も桜を従えない。
ただ同じ場所に立ち、
同じ速さで薄くなっていく。
春が終わると、彼はいなくなる。
残るのは、
踏まれていない花弁と、
ほんの少しだけ冷たい空気。
それだけだ。
それでも翌年、
誰かがまた言う。
「見た気がする」と。
朧は、
見たという記憶の中にだけ、咲いている。
了
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