ザ・リュブリケーター 第1話
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
舞台は現代。巨大ゲームプラットフォーム「MultiVerse」では、様々な時代、様々なジャンルで擬似的に体感できるロールプレイ環境が整っている。 各ゲーム世界は「ワールド」と呼称され、それぞれワールドマスターが運用している。 二人は、ワールドマスターから依頼され、ワールドの遊びやすさや整合性を評価する「リュブリケーター」になったばかりである。 「リュブリケーター」としての最初の任務は、一般プレイヤーとしてワールドにログインし、他のプレイヤーと接触しながら情報を収集し、ワールドの遊び心地と問題点を調査することである。
本文
WORLD SELECT
端末画面に、最初のアセスメント対象ワールドの情報が表示される。
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MultiVerse // Lubricator Terminal
User: Kirito Partner: Sakurako
Status: ACTIVE
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FIRST ASSIGNMENT
WORLD ID : MV-0017
WORLD NAME: 《Ash & Crown》
GENRE : 中世ヨーロッパ風ファンタジー
RATING : ★★★☆☆ (プレイヤー評価 3.1/5.0)
POPULATION: 現在接続中 847名
FLAGGED : YES
ワールドマスターより所感 ───────────
「プレイヤーの離脱率が高い。
原因が掴めていない。調べてほしい。」
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ログインアバター設定は完了済み。
装備:初期支給品一式
所持金:銅貨30枚
[ LOG IN ]
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隣で画面を覗いていた櫻子が、顎に手を当てる。
「離脱率が高い、か。数字は出てる? どのフェーズで抜けてるのか分かれば、原因の絞り込みが早いんだけど」
データには、その詳細は載っていない。
ログインするか。それとも、まず追加情報を当たるか。
桐人「虎穴に入らずんば虎子を得ず、と言う言葉がある。実際に遊んでみなければわからないこともあるな」
櫻子「同感ね。ログインしてみましょう」
ログインシーケンスが走る。
CONNECTING TO MV-0017 // Ash & Crown
Loading world data ██████████ 100%
Avatar sync ........... OK
WELCOME, TRAVELER.
意識が、切り替わる。
石畳の感触。冷たい風。遠くで鐘の音。
二人が降り立ったのは、城壁に囲まれた中規模の街の正門前だった。行き交う人々の服装は粗末な麻布から、毛皮をまとった商人風まで様々だ。荷馬車が轍を刻んで通り過ぎ、御者が怒鳴り声を上げる。
正門の石柱には、彫り込まれた文字。
《グラシア市》 —— 王都への道、三日
門番が二人をちらりと見る。通行を咎める様子はない。初期設定で「旅人」属性が付与されているためだろう。
街の中からは、複数の喧騒が混ざり合って届いてくる。鍛冶の音。客引きの声。子供の笑い声。
櫻子が周囲を一度、静かに見渡した。
「……作り込みは悪くない。第一印象は及第点ね。問題はここから」
どこへ向かうか。
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