アストリアの女王
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あらすじ
孤独な少女ブランシェは、亡き親友との夢を胸に国を築くが、愛と執着ゆえ世界を滅ぼす魔女へと変貌する。
本文
ブランシェ「(ボロボロの服を着込み、布や木々で身体を覆い路地裏で寒さをしのいでいる)
バスチアン「………君は?(こちらもボロボロの衣服を着ている。少女の隣へ腰を下ろし)君も一人か?これ、食べるか?(パンを差し出す)」
ブランシェ「ありがとう……あなたは、ここの人?(渡されたパンを素直に受け取り)」
バスチアン「いや、隣町から流れ着いて来たよ。君はここ、長いのか?(こちらもパンを食べる。)僕はバスチアン。君は?」
ブランシェ「あたしはブランシェ。(パンを食べながら)……この服は、どうしたの?(ボロボロの服を指して)」
バスチアン「君だってボロボロじゃないか…。僕はまあ、いろいろあって家無しなのさ。…君はどうして一人なんだ?家族は?」
ブランシェ「家族なんて……もういない。(遠い目で空を見上げ)」
バスチアン「…そうか。じゃあ、ブランシェ。一緒に暮らさないか?浮浪者としては仲間が居る方が心強い。僕は一応文字が書けるし、日雇いの仕事くらいは出来るからそこそこ貢献は出来そうなんだけど。」
ブランシェ「(驚いてバスチアンを見る)……いいの?でも、あたしは何もしてあげられない……。(悲しげに俯いて)」
バスチアン「料理を作ったり家を作る事は出来るかい?僕はそう言うの、苦手なんだよ。」
ブランシェ「(驚いて顔を上げて)料理?家を作る?……そんな事でいいの?だったら、幾らでもするけど…。」
バスチアン「それは心強い!なあ、ブランシェ。見た所君はこの路地裏に立派な寝床を作っている。一緒に街はずれの森で暮らしてみないか?一応、多少のサバイバル技術はあるんだよ。」
ブランシェ「(嬉しそうにバスチアンの手を取る)……うん!一緒に暮らそう!」
それからバスチアンとブランシェは郊外の森へ向かい、そこで木の枝や石、打ち捨てられた煉瓦や捨てられた布などを使い大きな家を建てました。
バスチアンはを受けながら、日雇いの仕事で得たお金をやりくりし、食料や日用品を買い込んでいきました。
バスチアン「中々悪くないんじゃないか?今日は野菜のスープが食べたいな。パンも買ったし。」
ブランシェ「(嬉しそうに野菜を切る)出来たよ。はい、召し上がれ」
バスチアン「……美味しい!もう少し煮込んだ方が美味くなりそうだがこれはこれで。なあ、ブランシェ。これから貯金もしていきたいから、金の見張りも君に任せたい。」
ブランシェ「(嬉しそうに)うん、分かった!任せて!」
バスチアン「ブランシェ、俺は出来れば君と一緒に幸せになりたいな。…まあ、将来の事は何も考えてないが…ブランシェは何かしたい事はあるか?」
ブランシェ「そうねぇ……あたし、学校に行きたいな。読み書きとか計算とか。バスチアンに教えてあげる!」
バスチアン「ははは!有難う。それは楽しみだ。じゃあ、頑張らないといけないな。…あと、ブランシェ。もう少し家の増築をしないか?明日は二人で煉瓦や石を集めてさらに大きな家にしよう!」
ブランシェ「うん!あたし頑張る!」
そして二人で家の増築を進めていき、二人の寝床と台所くらいしかなかった家を寝室や個室がいくつもある豪邸へと変えていきました。
…と言っても、所詮煉瓦や石、布や木の枝、土で固めただけの家なので、屋根も壁も隙間風は入り放題でしたが。それでも、二人で暮らしていくには十分な家でした。
1年後……バスチアンは身体を壊して寝込むようになってしまいました。
バスチアン「ゴホッ、ゲホッ…すまない…仕事もこのままだと続けられそうにない…」
ブランシェ「(心配そうに)ねえ、あたし働くから、お金貯めていい医者に診てもらおう?」
バスチアン「は、働くって何の仕事をするつもりなんだ…。」
ブランシェ「それは…。(私が今出来る仕事と言えば、盗賊くらい……。でもバスチアンの看病や家事もあるし、そろそろ盗みを働く事も限界かも……。)」
そしてブランシェが見付けた仕事は、盗賊の一味が働いている酒場でウェイトレスとして働く事でした。しかし、そこはならず者達が集まる場所で、当然客層も悪いものでした。
ブランシェはそんな劣悪な職場で必死に働き、バスチアンの薬代や診察代を稼いでいきました。
ブランシェがウェイトレスとして働くようになってから、店の客足は増え、店主からも気に入られるようになっていきました。
店主「ブランシェ、今日もお疲れ様。これ、今日の給料ね。……もうここの仕事は慣れた?」
ブランシェ「有難う御座います…!(給料を受け取り)はいっ。おかげさまで!」
店主「ところでブランシェ、君は好きな人はいるの?(ニヤニヤしながら)」
ブランシェ「えっ?!(思わず赤くなる)……いません」
店主「あれー?おかしいなぁ。時々、若い男達が店に来て君を見詰めてるんだけどなぁ?」
ブランシェ「本当に興味無いです。それに、今それ所じゃないし。」
店主「そうなの?」
ブランシェ「家族が、病に臥せっていて私は彼の病気を治すために働いているんです。今彼は私と一緒に森の奥の自作の小屋で暮らしていて…毛布で何とか温めているけど…今も寒がっているかも。」
店主「あらら……大変だね。でも、こんな仕事辞めて今すぐ帰ってあげなくていいの?」
ブランシェ「だから!病気を治すためにお金が必要なんです!」
店主「馬鹿だね。言えば、お金なんかくれてやるのに。…ほら、このお金持って行きな。(大金を差し出す)」
ブランシェ「え?で、でも……」
店主「早く持って行きな!君の大切な人が、寒さで凍えちまうよ!」
ブランシェ「は、はいっ!!」
ブランシェは店主に言われるがまま急いでバスチアンの元へと帰りました。
薬と温かい食事を作るための材料を買って…。
ブランシェ「バスチアン!ちゃんと病気、診て貰えそうだよ!お金貰ったの!」
バスチアン「そ、そうか……。有難う、ブランシェ……」
ブランシェ「…バスチアン?どうしたの、顔真っ赤だよ!熱あるんじゃない?!」
バスチアン「そうか……ブランシェが僕を心配してくれるの、嬉しいなぁ……。僕は幸せ者だ……」
ブランシェ「当たり前でしょ!私達親友なんだから!」
バスチアン「親友…そうか…。ブランシェ、僕、凄く幸せだ……」
そしてバスチアンは翌朝、冷たくなっていました。ブランシェは必死で看病し、手厚く埋葬しました。
その翌日からまた酒場でのウェイトレス生活が始まりました。しかし……日に日に彼女はやつれていきました。
店主「ブランシェ…。なあ、俺があげたお金、使って贅沢しても良いんだぞ?その、彼の件は残念だったが…。」
ブランシェ「いいんです。あれはバスチアンが元気になるために使うはずだったお金だから、無駄に出来ないんです」
店主「解った。…じゃあ、ブランシェ。住み込みでここで暮らさないか?森の中よりもここからなら働くのも楽だし温かいぞ。」
ブランシェ「ありがとう御座います。でも、大丈夫です」
店主「ブランシェ…。いつでも頼ってくれていいからな。」
そしてブランシェはバスチアンを失った悲しみによりだんだん仕事が疎かになり、客や同僚からも軽んじられるようになっていきました。しかしそれでも、彼女はバスチアンと暮らしていたあの家から離れられませんでした。
ブランシェ「……バスチアンと一緒にいろんな事をしたなあ。ご飯を食べて、読み書きをして……そうだ。仕事辞めて、またこの森で暮らそう。」
そして彼女は仕事を辞めて再びこの森で暮らし始めた。
家の増強をしたり、料理を作ったり、森で食糧を探すなど大忙しの日々を送る。
やがて彼女は街の子供達に読み書きを教えるようになり、小さな学校を開く事になりました。
客足は少なく、お金もありませんでしたがバスチアンに教わった事を子供達にも教える事は至上の喜びでした。
そして、家も土や煉瓦を敷き詰めるだけでなく木を切り倒してよりしっかりした家に建て替えました。食糧も自給自足するようになり、お金はなくとも何とか暮らしていけるようになりました。バスチアンと一緒に作った料理を作ったりして日々を生きていました。
しかし……彼女は孤独でした。
どんなに頑張っても、バスチアンは帰って来ません。
そこで、ブランシェは考えます。
ブランシェ「この森よりさらに遠い遠い所へ行ってそこで村を作ろう。身寄りのない子供達を誘い人を集めるんだ。」
そうと決めたらブランシェは身寄りのない子供達を集め、村を作っていきました。孤児の集まりはやがて一つの集落となり、ブランシェが目指す国へとなっていきます。そして……いつしか彼女は聖女と呼ばれるようになっていました。
そしてブランシェは17年前に拾った少年を養子にしました。
彼にはかつての親友であり恩人と同じバスチアンと言う名前を与えました。
バスチアン「お母様、今日はいかがいたしましょう?国の増築に関しては順調みたいですが、農業も注目すべきです。」
ブランシェ「そうね。畑や果樹園の拡充は必要ね。農業と商業に特に力を入れていきましょう」
バスチアンはとても優秀な少年に育ち、今はブランシェの補佐官として働いています。二人は本当の親子のように暮らしていました。
そしてこの国の名前は「アリストリア」と名付けられ、森の中は拡大を続けていきます。
やがてアストリアは小さな国として世界に認められる事となり、アリストリアの聖女ブランシェは幸せに暮らしました。
それからさらに2年後、バスチアンは19歳。
ブランシェは37歳になり、アリストリアはさらなる繁栄をみせました。国の半分程を占める森の中は幾つかのエリアに分けられ、各エリア毎にそれぞれの責任者が置かれていました。
まず、東の森エクォーリアでは農業と畜産業が盛んで、才媛マリーダがその責任者を務めていました。その森の端にある森の中の集落でひっそりと暮らしています。
西の森デンティストでは狩猟と商業が盛んで、女傑であるカーラがその責任者を務めています。この森の南の中央の市場で商いに励んでいます。
そして北の森ヤドルでは美術と工業が盛んで、元盗賊のネッドがその責任者を務めていました。北の森の中心部に彼の集落があり、そこで彼は様々な技術や知恵を育んでいます。
最後に南の森ウィステリアでは建築や加工生産、鍛治が盛んで、鍛治師オードがその責任者を務めています。この森の端にある小さな集落で静かに暮らしています。彼の住居兼工房は森の最奥にありました。
そんなアストリアを見てブランシェは満足そうにしていました。バスチアンも充実した日々を送っており、アリストリアは素晴らしい国になりました。
そしてそれはブランシェにとって何よりも嬉しい事だったのです。
ブランシェはさらに国を大きくするために、もっとたくさんの人がこの国で幸福慣れる様に尽力する事を決心しました。バスチアンや子供達にも、もっと幸福になって欲しかったのです。
ブランシェはそれからも精力的に働き続けました。
2年の歳月が流れ、アストリアは大国となりましたが、それにより内乱や資源を狙う他の国の存在、人々の生活環境の悪化など、様々な問題が生じました。
しかし、ブランシェはそれらの問題に対処し続けました。そんなある日……。ある重大な事件が発生します。
バスチアン「お母様!大変です!正体不明の武装集団が近隣の村を襲っています!」
ブランシェ「………。」
日に日に荒れていく国。
そして、ブランシェは一つの決断をします。
悪魔との契約を考えたのです。
ブランシェは魔法陣と生贄を使い悪魔を召喚します。
その悪魔の姿は黒い羽根が生えており、とても禍々しいものとなっていました。悪魔はブランシェにこう言います。
悪魔「私の名前は……いえ、どうでも良いですね。貴女の願いは何ですか?契約すれば私は何でも願いを叶えられますよ?」
ブランシェ「私の願いはただ一つ、この国を誰にも傷付けられず、更に繁栄させる事です。その為に……貴方の力を借りたいのです」
悪魔「ほう。その願い、叶えてあげましょう。……ただし、私の願いを叶えて貰う事が条件です。」
ブランシェ「その願いとは?」
悪魔「この世界を壊す事。そして……私も死ぬ事です。」
その願いを聞き、ブランシェは驚きますが…。
ブランシェ「この国の繁栄と引き換えに世界の破壊を望むのですね…。解りました。私は……アリストリアの為に貴方を召喚した。貴方に私の全てを捧げ世界を壊す魔女になりましょう。」
そして聖女とすら呼ばれたブランシェは、世界を滅ぼす魔女となりました。
ブランシェが治めるアストリアは世界が混沌に沈めば沈む程に美しく、輝かしく繁栄していきますが…。
バスチアン「お母様ッ!一体貴方は何をなさるおつもりですか!?他国は貴方のけしかけた戦で滅茶苦茶だ…!!他国も我が国に敵意を剥き出しにしている!どうされるおつもりですかッ!!」
ブランシェ「バスチアン……。この国の繁栄と幸福の為です。アリストリアを繁栄させるには、必要な事なのですよ。」
バスチアン「貴方は変わってしまった……。以前の優しかったお母様はもう居ないのですか!?どうして……っ!!どうして世界の破滅を願うのです!」
ブランシェ「全てはこの国のためなのです。どうか、解ってください。バスチアン…。」
バスチアン「解りません……。何が国のためだと言うのです!!他国が我が国に敵意を剥き出しにしているんですよ!」
ブランシェ「しかし、他国が混沌に落ちれば落ちる程にこの国は繁栄しているでしょう?」
バスチアン「だが人々はお母様を、我が国を!恐れているんですよ!!今迄以上に多くの敵を作る気ですか!?貴方は何をしているのか解っているのですか!…解りました。では、俺は…この国を出ます。そして、反乱を起こします。」
ブランシェ「バスチアン…ッ!?待って、待ってください!」
バスチアン「さようなら、お母様。俺は貴女を止める!」
バスチアンはブランシェを止めるために、アストリアを出奔して……反乱軍を結成してしまいます。
しかし、バスチアンはブランシェの圧倒的な力によって敗れ、幽閉されてしまうのです。そして数年後……。
バスチアン「……嗚呼…、俺は……ここまでなのか……」
現在バスチアンはアストリア城の地下室に閉じ込められ、すっかりやつれ果てていました。
しかし、目の前にいたブランシェはバスチアンを優しく抱き寄せます。もうブランシェに戦うつもりはなかったのです。何故なら、国の民が反乱軍に加担したからでした。
バスチアン「お母…さま…?」
ブランシェ「……恐らく、この国は滅ばない。でも、多くの死者が出るでしょう。国は滅びませんが、世界は滅びます。
…貴方は反乱軍を作った事で世界の滅びを速めたのです。けれど、その事について私は責める気はありません。……これは運命だったから。」
バスチアン「……っ、ふざけるなっ…!貴方の身勝手な行いのせいでこれからも多くの人が傷付くんだ!」
ブランシェ「そうですね……。でも、私にとっては何よりもこの国が大切なのです。だから私は、未来永劫憎まれても構いません。
私にはかつて大切な人が居ました。この森は、二人で暮らしていた場所でした。ですが、彼は死んだ。私の生きる全てだったのに…。
それから、私はこの国で私の様に家族を失い孤独な人々を集めて一緒に暮らしました。それがこのアストリアの始まりでした。
私の居場所であるこの国が大きくなり、強固になるほどに私は喜びに震え、同時に失った彼の事を想って辛くもなりました。この国で共に暮らしたかった、と…。
でも、私には貴方が居た。バスチアンに生き写しの様に似ていた、貴方が。」
バスチアン「俺を……利用していたのか……」
ブランシェ「いいえ。私は優秀な貴方を頼っても利用したなんて思ってはいませんでしたよ。…私にとって唯一、貴方の成長だけが癒しだった。救いだった。
だから…バスチアン、貴方はこれからこの森の奥深くへと住まいなさい。…そうすれば、戦に巻き込まれず穏やかに暮らせるわ。」
バスチアン「断る。俺は反乱軍の人間だ!……俺は、貴方を倒すッ!!!」
バスチアンはブランシェに襲い掛かり、隠し持っていた小さなナイフをブランシェに向けて振りかざそうとします。
しかし、ブランシェは冷静にバスチアンの腕を掴み、ナイフをもぎ取りました。そして……。優しく頭を撫でます。
ブランシェ「ああ…可愛いバスチアン…可哀想に。貴方はまだ幼いのですね……。でも、貴方にはこのまま幸せになって欲しいのです。」
そしてブランシェはバスチアンの首を叩き、昏倒させると兵士達に森の奥へと運ばせました。
森の奥には一軒の立派な家があり、そこをバスチアンの住居としました。
目覚めたバスチアンは結局兵士達に監視されながらの軟禁状態でそこで住まざるを得ず、やがて反乱軍が全滅したとの情報も届きました。しかし……。
バスチアンはいつまでも軟禁されたままです。もはやブランシェに従うしか、この国で生きていく道はなかったのです。
既にバスチアンは37歳。ブランシェは55歳になっており、老いていましたが未だに美しく勇ましくこの国を統治していました。
それを横目に見ながら、バスチアンは全てを諦めてこの世界の終焉を眺めるしかないのです。そんなある日の事。
一人の少女がバスチアンの元へとやって来ます。彼女の名前はルーナ。
バスチアン「君は…何者だ?」
ルーナ「私は……。私は……、貴方に幸せになって欲しいの……。」
バスチアン「何だって?……じゃあ、君は俺の願いを叶えてくれるのかい?」
ルーナ「貴方を幸せにする代わりに……、私の願いを聞いて欲しいの」
バスチアン「解った。それはなんだい?」
ルーナ「私と共にこの世界で生きて欲しい……。貴方と一緒に、愛していきたいの。」
バスチアン「……君は何者なんだ?」
ルーナ「私は、ルーナ。…私は、この世界の人間じゃないの。私は悪魔。かつてブランシェと契約し、死ぬ事を望んだ悪魔。
…けれど、私は貴方に恋をしたの。ブランシェを通して貴方を見ている内に、世界の破滅と自分の死を望んだけれど……私は今、この世界で生きたい。貴方と共に。
でも、それはブランシェとの契約を破棄し、世界の因果律を歪める事…だから、私はその代償を背負い貴方と契約し契約を終えればあっと言う間に消滅するでしょう…。
それでも良いのです。……私は、貴方を愛しているから」
バスチアン「君は……、悪魔なのか」
ルーナ「ええ。私はルーナ。創造と終焉を司る月の悪魔…。私の願いは、貴方に幸せになって貰う事よ……。バスチアン、貴方の願いは?」
バスチアン「俺は、お母様…ブランシェの凶行を止めて世界中で起こっている戦争を止め平和な世界にして欲しい。」
ルーナ「判ったわ……。貴方の願いが叶ったら、契約は終わり……」
そしてルーナは自身の悪魔の力で、ブランシェを無力化し、バスチアンと共に世界の危機を救う事に成功します。しかし……。
ルーナは契約を終えてしまいました。彼女はバスチアンにこう言います。
ルーナ「私の余命はあと三年くらいです…その間に私と恋をして下さい。私は、貴方を愛したいから……。例えそれが、この世界にとって悪だとしても」
バスチアン「ああ……。そうだな。俺も、君の事が好きだ」
ルーナ「ありがとう……。バスチアン……」
そして二人は三年の間恋愛を楽しみ、幸せに暮らしました。そして……。三年後ルーナはバスチアンの腕の中で息を引き取ります。バスチアンは悲しみに暮れながらも彼女の望み通り彼女を弔いました。
一方アストリアは戦争が終結したものの、荒廃し、人々は戦火に焼かれた国を見て絶望します。そこで生き残った国の人々は新天地を求めて旅立ちました。そしてバスチアンはただ一人、この国を復興しようと奮闘したのです。
そう、かつて敵対した義母と共に…。
ブランシェ「バスチアン…。貴方も国を出て自由に生きて良かったのですよ…?このままだと、貴方も私と同じように他国の者に捕まる可能性だって…。」
バスチアン「お母様、俺は、貴方を愛していたんだ。でも、貴方は俺の愛する義母じゃなかった。だから俺は、この国を出たんだよ。…だけど、それでもこの国はかつて愛した貴方が作った国だ。だから、俺はこの国を再建したい」
ブランシェ「バスチアン……。貴方は……本当に優しい子です……」
そしてバスチアンはブランシェに代わりアストリアの王となり、荒廃した国を復興させました。彼は生涯独身を貫き、国民に愛され続けながら生を全うしたのでした。