──もしくは誰も知らない想像主の話─前の表紙画像

──もしくは誰も知らない想像主の話─前

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/26 📚 シリーズ: 當世流行異世顛末生 📝 2,250文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

佐東仁美、五十歳。 いい歳のばばあ───仕事も家庭も、もうやり直せないと思っていた。 そんなある日。 目を覚ますと、見知らぬ、だけど“自分にひどく優しすぎる”場所にいた。 その優しさの奥に、ゆるやかに絡み合う別の景色── 剣も魔法も陰謀もない異世界。 静かな日常と、人との縁がすべてを動かす物語です。 恋愛もありますが、騒がしい恋ではありません。 多層的な視点で描く、 少し変わった異世界「恋愛」顛末譚。

本文

「勢雄さん!この度は、誠に申し訳ありませんでした!体調が芳しくなかった処を、無理にイベントに出演して下さって…て、あれ?お子さんですか?」

 リハビリが終わった談話室。

 約束した訳でもないけど、勢雄さんとお話しするようになって二日。

 勢雄さんに来訪者のようだ。

 お仕事関係の方かな?スーツに身を包んでいる。

「俺は独身だ。こんなガキいてたまるか。コイツは…何だ?」

「失礼だな、ファンデスヨ。あれ?勢雄さん、独身でしたっけ?」

「それこそ、失礼だな。仕事しなくなったら出ていったんだよ。バツイチだ、悪いか」

「……いや、悪くない。

 むしろ、御褒美じゃ?」

「はぁ?大概、おかしいな。おまえも」

 うわっ!おもいっきり笑顔で答えるよ。

 もー!勢雄さんたら!

「あ、コイツ。お前のとこのゲーム、クリス俺まで落としたんだと」

 ??ん?

「え?クリス?あの、隠し中の隠し?見付けたんですか?!」

「あれ?え?もしかして【ディムメイカー】の制作者さん?!」

「正確には、会社が製作したんですけどね。凄いなー“クリス”見つけたんだ」

 しみじみと言われて、なんとなく誇らしく思ったから、スマホをさわって特設ページを見せる。

 クリス様を落とした証拠。

「うわっ!ほんとだ。このページにたどり着いてる!!へえ…いるんだ」

 珍獣を見るかのように、見られてる気がするぞ?

「だって、勢雄さんがお声ですよ?NPCなわけないじゃないですか?追っかけ回しましたよ」

「え?もしかしてゲーム中に気がついたの?この間のイベントが解禁だったのに??……あー!!あの時の看護師さん!!この病院ですよねっ!」

「ああ、そうだな。なんてったっけ?アイツの名前」

 あたしに聞いてくるので、

「志山さんのこと?今日は非番じゃないかな?」

「そうそう、ソイツ。あー夜勤明けか?」

「えー折角、お礼とお詫びの品を持ってきたのに…出直します」

「俺の見舞いじゃ、ねえのかよ」

「そうでした!」

 なかなかドジっこさんなのかな?

 ───

「嬢ちゃん、コイツは俺の高校の後輩でゲーム屋。俺を昔のうっすい縁で引っ張り出した張本人」

 ゲーム屋さんからは名刺をいただいた。

 ──プロダクションテルル。

 ここ数日、見慣れたロゴだ。

「杉田 弥依みいです。この度は勢雄さんをありがとうございます」

 全霊を込めてお辞儀をした。

 車イスだけど。

 ん。よくぞキャスティングしていただいた。

「だから、お前は俺の何なんだ?」

 勢雄さんの呆れたような二度目の台詞。

「だから、ファンですってば。何度言わせるんですか」

「……ぷっ!勢雄さん、漫才でも始めるんですか?息があってますね」

 ゲーム屋さんは、笑いが止まらないようです。

 ───

「院内ではお静かにお願いしますね」

 あれ?

「志山さん、今日は夜勤明けではないのですか?」

「今から帰るのよ。そしたら談話室ここが騒がしいから覗いたんじゃない」

 もうお昼近いのに、志山さん忙しいな。

「お?良いところに。お前さん、この看護師さんに用事があったんだろ?」

「え?あ、確かに。その節は大変お世話になりました。私、こう言うもので…」

 ゲーム屋さんは、名刺と、会社名のロゴの入った袋を渡している。

「心ばかりでございますが、こちらをどうぞ、お使いください」

「こういうの、受け取れないんですけど…」

「存じております。けれど、先日のイベントで、お客様全員にお帰りの際、配布したグッズをお渡しできてなかったと思いまして…」

「そうだ!!忘れてた!お土産があったんだ!そういうことなら、ありがたく受け取らせていただきます」

 がさごそと、袋の中を物色する志山さんの顔色がみるみる歓喜に変わる。

 良いなあ…と、思うけど、こればかりは仕方ない。

 後で見せては貰おう。

「はい、これ」

 志山さんが、クリス様の描かれたクリアファイルとアクスタを渡してくれる。

「え?良いんですか?」

「もちろん、こういうのはね、好きな人の元にあるのが良いのよ。わたしはこっちがあれば良いから」

 と、セイレン様のグッズを見せてくれる。

 きっと、あたしと志山さんの顔は、デレデレだと思う。

「涎、垂れてんぞ」

「「垂らしてませんっ!」」

 勢雄さんの軽口に、志山さんとのシンクロ率百パーセントで答える。

「ねえ、志山さん。他のも見せて」

「どうぞ」

 あたしたちって、ホント、メルクリオス家に全振りしてるけど、主要キャラではないのよね。

 志山さんから、袋を受け取って他のキャラを眺める。

 ん。この絵師さん、やっぱ素敵だわ。

 クリス様が一番素敵だけど。

「凄いですね、このアクスタ。ちゃんと石が埋め込まれてる」

「気がついていただけましたか!」

「「なんのこと?」」

今度は、勢雄さんと志山さんがシンクロしてる。

「攻略キャラには、それぞれ石があって、プレゼントされる物についてる…て!志山さん…集めてないんですか?クリス様以外の石を集めなきゃ、セイレン様エンド、見られませんよ?」

「え?世界の経済を破綻させ、貧民街を出現させ、彼と出逢い、交流し、貧民街から連れ出し、教育を施し、紳士として洗練、の他に、まだやることあったの?!」

「石集めて、真ん中の街、“テルル”を発現させなきゃ、ダメですよ」

 と、あたし。

「あーだから、俺が息子を“テルル”で見付けるのか」

 と、勢雄さんが続ける。

「え?え?なんのことです?“テルル”って。真ん中の街に正式な名前はありませんよ。開発段階でそう仮称してましたけど?」

 ゲーム屋さんが、不思議そうに言った。

ジャンル・タグ

タグなし

作品統計

👁️ 閲覧数: 3 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

有城 砂生

有城 砂生

理であそび 律にあやつる せつなゆたう はざま ワタシはログ。 律であそび 理をあやつる

👥 フォロワー: 3人

作者ページを見る