■第1章:招待と違和の館〈第2話:雨の山道〉

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/30 📚 シリーズ: 『山奥の洋館で起きる謎の事件』 📝 1,373文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

山奥に佇む洋館・夜雨館へ、過去にある事件へ関わった者たちが招かれる。外界と隔絶された館で一夜を過ごすうち、些細な違和感が次第に不穏な気配へと変わっていく。閉ざされた空間の中で、参加者たちは互いの過去と疑念に向き合うことを余儀なくされる。やがて館そのものに潜む不可解な構造が、静かに全員の認識を揺さぶり始める。

本文

山道に入った瞬間、空気が変わった。

それは気温や湿度といった分かりやすい変化ではない。

もっと曖昧で、しかし確実に「世界の密度が変わった」としか言いようのない違和感だった。

同じはずの地面が、足裏に沈む感覚を少しずつ変えていく。

踏みしめるたびに、土の抵抗が微妙に違う。

誰かが後ろを振り返る。

だがそこには、すでに“来たはずの道”がなかった。

六人は同じ方向へ進んでいるはずだった。

しかし気づけば、歩幅が揃っていない。

ある者はすぐ隣に人の気配を感じる

ある者は何度も同じ場所を通っている感覚がある

ある者は最初から一人だった気がしている

「並んで歩いている」という事実だけが共有されているのに、その“体験”は誰一人として一致していない。

だが会話は成立している。

しかし内容の理解には微妙な差がある。

同じ言葉を聞いているはずなのに、

意味の受け取り方だけがずれている。

雨は変わらず降っている。

だが途中で気づく、濡れ方が違う。

ある者の肩だけが異常に濡れている。

別の者はほとんど濡れていない。

「傘は同じだろう?」

誰かが確認する。

だが、全員の記憶が一致しない。

いつ傘を開いたのかすら曖昧だった。

進むほどに、道が変わる。

それは崩落でも整備でもない。

地形そのものが、わずかに別の形へ“書き換わっている”ようだった。

木の位置が違う。

岩の配置が違う。

だが、誰もそれを異常として確信できない。

なぜなら、変化の速度が「記憶の更新速度」とほぼ一致しているからだ。

違和感に気づいた時には、すでにその違和感が“正しい記憶”として上書きされている。

そして、それは突然現れた。

視界の先に、最初からそこにあったかのように。

夜雨館。

山の中腹に溶け込むように建つ洋館。

だがその瞬間だけは明確だった。

「来た」という感覚が全員に同時に生まれる。

ただし、“経路”は一致していない。

ある者は短い道を歩いたと感じている。

ある者は何度も引き返した記憶がある。

ある者は、最初からそこに立っていた気さえしている。

同じ場所にいるのに、過程だけが崩壊している。

館の外観は完全に左右対称だった。

しかし、よく見ると違う。

窓の間隔がわずかにズレていて、屋根の傾斜が一定ではない。

扉の中心位置が、見る角度によって変わる。

「建築として成立していない」

誰かがそう言いかけて、やめる。

言語化すると、そこにある“安定”が崩れそうな気がしたからだ。

扉は自然に開き、そこに執事が立っている。

雨に濡れていない。

外に立っていたはずなのに、衣服は完全に乾いている。

「ようこそ、夜雨館へ」

声は静かで、抑揚がない。

しかしその声には“人間の呼吸”が感じられない。

ただの発声ではなく、既に決められた言葉を再生しているような違和感。

そして執事はこう続ける。

「今夜、この館から外へ出ることはできません」

その言葉に誰も反応できなかった。

理由は単純だった。

すでに“外がどこにあるのか分からなくなっていた”からだ。

振り返っても森はない、来たはずの道もない。

そこにあるのは、ただ均質な闇と木々の反復だけだった。

館に入る直前、全員が同じ現象を経験する。

“距離の消失”。

振り返った瞬間、世界が一枚の絵のように感じられる。

奥行きが失われて、空間が平面化しているような感覚。

しかしそれを口にした者はいない。

誰かが言葉にした瞬間、それが“現実の定義”になってしまう気がしたからだ。

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作者について

肉巻きおすし

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