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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/10 📝 1,040文字 ✅ 全年齢

あらすじ

AIと画像生成の話。

本文

 最初は暇つぶしのつもりだった。

 画像生成AIのアプリをダウンロードしたのは、去年の冬だ。プロンプトに条件を打ち込むと、数秒で顔が生成される。目の形、鼻の高さ、輪郭のライン。細かく指定するほど、理想に近づいていく。

 澄香は最初、芸能人の顔を参考にした。好きな女優の目元、モデルの骨格、海外アーティストの雰囲気。それらを少しずつ混ぜて、自分だけの「理想の顔」を作り始めた。

 気づいたら毎晩やっていた。

 仕事から帰って、ご飯を食べて、風呂に入って、ベッドに横になってアプリを開く。プロンプトを少し変える。目を大きくする。輪郭を細くする。肌のトーンを上げる。生成ボタンを押す。

 どこかが違う。

 また変える。また押す。

 三ヶ月で、生成した顔は二千枚を超えた。

 完成したのは、ある夜だった。

 何気なくプロンプトを調整して、生成ボタンを押した瞬間、画面に現れた顔を見て手が止まった。

 これだ、と思った。

 理由は説明できなかった。でも確かに、これが自分の求めていた顔だった。目の形も、鼻筋も、唇の厚みも、肌の質感も。何一つ直すところがなかった。

 澄香はその画像を保存して、しばらく眺めた。満足感があった。同時に、奇妙な感覚もあった。

 どこかで見たことがある気がした。

 芸能人の顔を参考にしたのだから、似ている人がいても不思議はない。そう思って画像検索にかけた。

 一致した。

 検索結果の一番上に、同じ顔が出てきた。名前はなかった。どこかのフリー素材サイトのモデルらしかった。プロフィールには「Model ID: 00847」とだけ書いてあった。

 澄香は画面を閉じた。

 再び開いた。

 やはり同じ顔だった。

 自分が三ヶ月かけて辿り着いた理想が、すでに存在していた。どこかの撮影スタジオで、番号で管理されていた。その人に名前があるのか、今どこにいるのか、何も分からなかった。

 澄香はアプリに戻って、保存した二千枚の画像フォルダを開いた。最初の一枚から順番にスクロールする。少しずつ変化していく顔。どれも自分ではなくて、でも自分が選び続けた顔だった。

 ふと思った。

 この顔に近づきたかったのか。それとも、この顔に近い自分を肯定したかったのか。

 答えは出なかった。

 澄香はフォルダを閉じて、検索結果の画面をもう一度開いた。「Model ID: 00847」。

 探せば、会えるだろうか。

 会って、どうする。

 澄香は画面をオフにして、スマホを伏せた。部屋が暗くなった。天井を見上げたまま、しばらく動かなかった。

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

👥 フォロワー: 23人

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