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其の四十弐「すまほわらし」

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/6/7 📚 シリーズ: 創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話「復路」 📝 1,317文字 ✅ 全年齢

あらすじ

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。 全部で壱百八話。どれも短い物語です。 しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、 時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、 時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。 そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。 これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。 この話、本当なんです。

本文

私はスマートフォンを持ち始めるのが早かった方で、

変えた当初は使い方があまりに分かりにくく、慣れるまでは

毎回のように、手に持ったスマホを「なによこれー!」と投げたくなる気分になっていました。

もちろん、新品のそれを投げるなんてことはしませんでしたが

それもまあ、1週間ほどしたときには少しは慣れて投げたくなる気分は消えていきました。

さて、それはそれとして

本日お話するのは、このスマートフォンにまつわるお話。

これは先日、気分転換にカフェにノートパソコンを持ち込んで仕事をしているとき

近くのテーブル席にいた若い女性4人の会話の中から、非常に興味深いと思わず聞き耳してしまったお話です。

◇◆◇

その女性4人の会話から聞こえてきたのは「すまほわらし」という言葉。

何やら最近、スマートフォンの中に住み着く妖精の噂が囁かれているらしく

妖精が住み着いたスマホを持っていると、様々な幸運が舞い込んでくるのだとか。

それは、座敷童になぞって「すまほわらし」と呼ばれている。

すまほわらし……そのとき私は、テーブルに置いたスマホの画面から

かわいい五月人形のような姿をした妖精さんが

悪戯っぽくチラリとこちらをのぞき込むような想像をして

思わずニコリと笑っていました。

ですが、その続き。

スマホをいつも乱暴に扱ったりしていると、すまほわらしは怒ってスマホから出ていってしまう。するとその持ち主には、様々な不運が降りてくる。それはすまほわらしが許してくれるまで終わらない。

……私が最初に持ったスマートフォン。

使い方がとにかくわからなかった最初の1週間、何回も投げたくなったのを

ぐっとこらえたことに、私はホッと胸を撫で下ろしました。

この他にも、彼女たちのすまほわらしの会話は続いていました。

すまほわらしがスマホに住み着く期間は、スマホの寿命が終わるまで。

でも、スマホを丁寧に扱っていると、すまほわらしは機種変更した時も

新しいスマホについてきてくれる――とか。

なるほど、スマホは大事に扱わないと。それにしても、このお話面白そう。

そう思った私は、この会話を怪談ネタ帳にサラサラとメモをして

今ここで、このお話を清書しています。

◇◆◇

それにしても、この話。一点だけ、とても続きが気になるところがありました。

それは、スマホを乱暴に扱うことで怒って出ていったすまほわらしは、

何をすれば持ち主を許してくれるのか。

すまほわらしが怒って出ていったスマホの持ち主には、いつまで不運が続くのか。

何をすれば、すまほわらしは許してくれるのか。そして帰ってきてくれることはあるのか――

彼女たちの会話からそれを聞くことはなく、コーヒーと会話を楽しんだ彼女たちは

カフェを出ていきました。

何にしても、スマホを乱暴に扱わないように……

いえ、どんなツールも乱暴に扱わないように、仕事の、生活のパートナーとして

大切に使う姿勢を持とうと、ここで改めて思う私なのでした。

◇◆◇

これが先日、私がカフェで仕事をしていた時に耳にした「すまほわらし」のお話です。

みなさんはこのお話、どう思いましたか?

私は怖い話の他に、神様の話も大好きなので

すまほわらしは本当にいるような気がしています。

ほら、八百万の神々というお話もありますから。

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作者について

井越歩夢:IGOSHI/WALKER

井越歩夢:IGOSHI/WALKER

2024年よりkindle電子書籍の個人出版業、Web小説家、AIコラボレーター活動を開始。 kindle無料ランキング2ジャンルで1位獲得経験あり。 小説家になろう・カクヨム・あいぺん・アメブロ...

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