第17話 消せない明かり
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
祓い師見習いの蓮は、怖がりだ。 怪異を前にすれば足は震える。 札を握る指は汗ばみ、喉は乾く。 それでも、目を逸らすことだけはできなかった。 先輩祓い師の沙耶とともに、蓮は各地に残る怪異を訪ねていく。 灰をまとった狼。 雨の降らない町に増え続ける赤い傘。 誰もいない駅で鳴る鈴。 消えない灯り。 閉じた家に残る声。 だが、怪異はただの化け物ではない。 怒り。 悲しみ。 後悔。 待ち続けた想い。 言えなかった言葉。 見て見ぬふりをされた痛み。 人が受け取れなかった感情は、やがて形を持ち、夜の中を歩き出す。 蓮が使うのは、怪異の奥にある感情を観る札。 沙耶が鳴らすのは、届かなかった声を届ける鈴。 二人の祓いは、怪異を殺すためのものではない。 形になってしまった痛みを、もう一度、人が受け取れるものへ戻すためのものだ。 怖いまま、見る。 震えながら、聞く。 消すのではなく、ほどく。 これは、見習い祓い師・蓮と、過去に向き合い続ける祓い師・沙耶が、各地の怪異と未処理の感情をめぐる連作怪異譚。 祓うべきは、怪物か。 それとも、誰かが見なかったことにした痛みか。
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