社会の窓開け放しにして歩いていたら、異世界に繋がる場所になってしまい、異世界の扉役になってしまった。

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/6/8 📝 1,822文字 ✅ 全年齢

あらすじ

<p>朝、駅へ向かう途中で気づいた。</p><p>社会の窓が全開だった。</p><p>「うわ」</p>

本文

朝、駅へ向かう途中で気づいた。

社会の窓が全開だった。

「うわ」

反射的に閉めようとしたが、なぜか指先が引っかかった。ファスナーの奥に、妙な暗闇が見える。

暗闇というより、奥行きだ。

服の中にあるはずの空間ではない。

俺は立ち止まり、恐る恐る覗き込んだ。

すると、向こうから誰かが覗き返していた。

金色の瞳だった。

「見つけた!」

甲高い声とともに、小さな手が飛び出してきた。

俺は悲鳴を上げて後ろへ飛び退く。

だが手は伸び続け、ファスナーの隙間から少女がするりと這い出てきた。

銀髪、尖った耳、緑色のマント。

どう見てもエルフだった。

「やっと通路が安定した!」

「は?」

「異界門の管理者様ですよね?」

「違います」

即答した。

だがエルフ少女は聞いていない。

彼女は感激した様子で俺の両手を握った。

「百年探しました!」

「百年!?」

「我々の世界と繋がる門は極めて稀なのです!」

俺は冷静に状況を整理しようとした。

整理できなかった。

なぜなら次の瞬間、社会の窓から鎧姿の騎士が出てきたからだ。

しかも全身。

物理法則を完全に無視して。

「門主様!」

騎士が片膝をつく。

「王国はあなたを歓迎いたします!」

「歓迎しなくていい!」

通行人が見ている。

すごく見ている。

俺は逃げた。

◇

その日から人生がおかしくなった。

社会の窓は異世界への出入口になった。

閉めても駄目だった。

ジーンズでもスラックスでもジャージでも関係ない。

いつの間にか、そこに門が開く。

最初はエルフや騎士が来るだけだった。

そのうち商人が来た。

魔法使いも来た。

ドラゴンの幼体まで顔を出した。

「狭い!」

と文句を言いながら。

俺は会社を休み、なんとか対処法を探した。

病院へ行った。

異常なし。

神社へ行った。

神主さんは社会の窓から出てきた妖精を見て失神した。

大学の研究室にも相談した。

教授は興奮して論文を書き始めた。

結局、解決策は見つからなかった。

そして一か月後。

異世界との交流が正式に始まった。

国も無視できなくなったのだ。

会議室で、スーツ姿の役人が真顔で言った。

「門の維持管理をお願いできますか」

「嫌です」

「報酬は年収一億円です」

「検討します」

三秒で意見を変えた。

◇

それから俺は職業を得た。

異世界の扉役。

仕事内容は単純だ。

指定された場所へ行く。

社会の窓を開く。

向こうと繋ぐ。

以上。

シンプルだが代替不能だった。

世界中の研究者が再現を試みた。

誰も成功しなかった。

門は俺の社会の窓にしか開かない。

「人類史上もっとも重要なファスナー」

という不名誉な称号までついた。

◇

ある日、異世界の王が訪ねてきた。

白髭の老人だった。

「門主殿」

「どうも」

「感謝を伝えに参りました」

王は深く頭を下げた。

交易によって両世界は大きく発展した。

向こうは科学を学び、こちらは魔法を学んだ。

病気が治り、飢餓が減り、新しい文化が生まれた。

たった一つの門から始まった変化だった。

「しかし」

王は言った。

「門はいずれ閉じます」

俺は黙った。

実は知っていた。

最近、門の向こうがぼやけ始めている。

以前ほど安定していない。

「世界同士が十分に結びついたからです」

「そうですか」

不思議と悲しくはなかった。

むしろ安心した。

これ以上、社会の窓を世界遺産みたいに扱われるのは少々つらい。

王は微笑んだ。

「最後に願いがあります」

「なんでしょう」

「閉じるその日まで、門主でいてください」

◇

そして一年後。

最後の日が来た。

東京湾沿いの広場には大勢の人が集まっていた。

地球側の代表。

異世界側の代表。

研究者、魔法使い、子供たち。

皆が見守る中、俺は静かにファスナーへ手を伸ばした。

向こうには銀髪のエルフ少女がいた。

最初に出てきたあの少女だ。

「お別れですね」

「そうだな」

「寂しいですか?」

少し考えた。

そして笑った。

「正直、最初は最悪だった」

「でしょうね」

「でも悪くなかった」

少女も笑った。

「私もです」

門の光が弱まる。

世界の境界が閉じ始める。

最後に少女は深く頭を下げた。

「ありがとうございました、門主様」

「どういたしまして」

その瞬間。

光が消えた。

社会の窓は、ただの社会の窓になった。

俺はゆっくりファスナーを閉める。

周囲から拍手が起きた。

歓声も聞こえる。

人類と異世界を繋いだ歴史的瞬間。

きっと後世の教科書にも載るだろう。

ただし問題が一つある。

後日公開された記念碑には、こう刻まれていた。

『二世界交流の偉大なる門』

その下に、俺の全身像。

そしてなぜか。

社会の窓だけが妙に精密に再現されていた。

歴史に名を残した代償としては、あまりにも微妙だった。

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作者について

秋山優一

秋山優一

破滅派というウエーブ文芸で小説を書いている者です。 ここではaiを利用してただ自分の卑猥なアイデアを垂れ流しにして、ai に小説を書いてもらうことにします。 とにかくaiに作文頑張って貰って自分...

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