第三十三話:記録する者、記録される者
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
雨の日の、午後だった。 机の上に、温かい茶を、置いた。 これまでに書いた、自分のノートを、五冊、積み上げた。 いちばん古いノートを、開いた。 第一話の男の、起床の日付が、 私自身の、五年前の朝と、同じだった。 ペンを取って、第一話から第三十話までの、主人公の行動を、 日付の順に、紙の上に、並べていった。 並べ終わった一本の線は、 私の、ここ五年間の、生活の年表だった。 日付まで、合っていた。 時刻まで、合っていた。 ノートを閉じようとした。 最後のページに、書いた覚えのない一行が、私の筆跡で、増えていた。 ——最初の一冊は、お前のものでは、なかった。 いちばん古いノートの、表紙の、内側から、 四つ折りの、古い紙片が、滑り出てきた。 紙片の、上のほうに、私の筆跡で、一行、書かれていた。 ——これは、 が、記録した、 名前のあった、はずの場所だけが、紙ごと、引きちぎられていた。
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