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『第三格納庫、午前三時四十七分』

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/7/14 📚 シリーズ: 第三格納庫は今日も修羅場 ―スーパーロボット大戦・整備班奮闘記― 📝 3,700文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

世界の危機に立ち向かう、数々のスーパーロボット。 νガンダム、マジンガーZ、ゲッターロボ、エヴァンゲリオン、バルキリー、勇者ロボ、そして各世界から集められた名機たち。 だが、彼らが戦場から帰ってくる場所には、英雄とは別の戦いが待っていた。 「フィン・ファンネルを投げ槍にするな!」 「ゲッターの部品が、また勝手に形を変えたぞ!」 「格納庫内で歌うな! 計測器が共鳴している!」 「他作品の武装を、面白そうという理由で取り付けるな!」 異なる技術、異なる規格、異なる常識。 機械、生命体、金属生命体、人格搭載ロボット、自己修復機、気合いで出力が上がる機体。 各作品の整備士、技術者、博士たちは、世界の垣根を越えて協力しながら、次々と持ち込まれる無理難題へ立ち向かう。 これは、世界を救う英雄たちの物語――ではない。 英雄が壊して帰ってきた機体を、夜通し直す者たちの物語である。 クロスオーバー作品ならではの技術格差や設定の違いを、整備現場から描く会話中心のコメディ二次創作。 第三格納庫では今日も、敵襲より先に整備班の怒声が響く。

本文

敵部隊の撤退が確認されてから、十二分。

第三格納庫の大型扉が開いた。

最初に帰還したのはνガンダムだった。

右肩の装甲は焼け、左腕には敵機のものらしいケーブルが絡みついている。背中のフィン・ファンネルは、出撃時より一本少なかった。

誘導員が発光棒を振る。

νガンダムは指定位置まで進み、膝をついた。

コックピットハッチが開き、アムロ・レイがワイヤーを伝って降りてくる。

その足が床に着く前に、アストナージが声を飛ばした。

「フィン・ファンネルの連続使用は禁止だと言ったはずだ!」

「連続では使っていない」

「一本なくなってるぞ!」

「敵艦の砲塔に突き刺した」

「ファンネルは投げ槍じゃない!」

アムロはヘルメットを外し、νガンダムを見上げた。

「戻ってこられただけでもいい」

「それはパイロットの台詞だ。整備員は戻ってきた後の話をしている」

アストナージは端末を操作し、機体から送られてきた記録を確認した。

眉間の皺が深くなる。

「左腕の駆動系、規定値を三割超えている。何を持ち上げた?」

「イングラム一号機」

格納庫の奥で、榊清太郎が振り返った。

「何だと?」

続いて入ってきたイングラム一号機は、腰部をνガンダム用の牽引ワイヤーで固定されていた。

右脚が膝から下ごとなくなっている。

コックピットから泉野明が顔を出した。

「すみませーん! 帰り道で足が取れました!」

「帰り道で足が取れる機械があるか!」

榊の怒声に、野明は肩を縮めた。

「戦っている時は付いてたんです!」

「それは見れば分かる!」

シバシゲオが一号機の下へ走り込み、断面を見上げた。

「班長、切断じゃありませんね。ボルトが全部抜けてます」

「全部?」

「全部です」

榊がゆっくりと野明を見上げる。

「泉」

「はい」

「出撃前に、脚部の異音はなかったか」

「少しだけ、カタカタいってました」

「なぜ言わなかった」

「いつもの音かなって」

榊は目を閉じた。

その横で、アストナージが小さく頷く。

「分かる」

「分かるな!」

榊は床に転がっていたナットを拾い、シゲに突きつけた。

「お前、出撃前に十回確認したと言ったな」

「給弾機構は十回確認しましたよ」

「脚は!」

「聞かれませんでした」

「整備員が政治家みたいな答えをするな!」

格納庫の警告灯が、再び黄色く点滅した。

次に帰ってきたのはランスロットだった。

着地した瞬間、右脚のランドスピナーが外れた。

車輪は床を転がり、νガンダムの足元に当たって止まった。

アストナージがそれを見下ろす。

「これは、いつもの音がしていたのか?」

セシル・クルーミーが額に手を当てた。

ロイド・アスプルンドは楽しそうに拍手した。

「見事な到着だね。格納庫に入るまでは保った」

榊がランドスピナーを拾い上げた。

「お前たちの整備基準は、敷地内で壊れれば成功なのか」

「合理的だろう?」

「一度、工場勤務を経験してこい」

ランスロットから降りた枢木スザクは、右腕を押さえていた。

セシルがすぐに駆け寄る。

「スザク君、怪我を?」

「少し捻っただけです」

ロイドはランスロットの操縦記録を開いた。

「機体の右腕も捻れているよ。操縦者と機体が同じ場所を負傷するなんて、仲が良いねえ」

「笑い事ではありません!」

セシルが叫ぶ。

スザクは申し訳なさそうに頭を下げた。

「敵機を投げた時に、少し負荷がかかりました」

「少し?」

ロイドが記録を拡大する。

「自重の四倍ある機体を、片腕で?」

「掴めそうだったので」

アストナージがアムロを見る。

「お前たち、操縦席に座ると重量という概念を忘れるのか?」

アムロは答えなかった。

否定できない時の顔だった。

格納庫内に、重い振動が響いた。

全員が扉の方を向く。

マジンガーZが、全身から白い蒸気を噴きながら入ってきた。

胸部装甲は赤熱し、頭部のホバーパイルダーから兜甲児が叫んでいる。

「冷却水! 冷却水を頼む!」

三人の博士が、機体の足元へ走った。

せわし博士が計器を確認し、声を裏返す。

「誰じゃ! 光子力エンジンに連邦軍の冷却材を入れたのは!」

格納庫の隅で、若い連邦整備兵が震えながら手を上げた。

「規格表では、耐熱性が最も高かったので……」

もりもり博士が配管を叩く。

「耐熱性だけで選ぶ奴があるか! 光子力反応液と混ざってゲル状になっとるぞ!」

のっそり博士が排出口から垂れた青い塊を棒でつついた。

「……きれいじゃのう」

「鑑賞するな!」

せわし博士が叫んだ。

兜甲児がコックピットから身を乗り出す。

「戦闘中、急に出力が上がったんだよ! いつもの二倍くらい!」

「それは冷却されていなかっただけじゃ!」

「でも敵は倒せたぜ!」

三博士と榊、アストナージが同時に甲児を睨んだ。

甲児は静かに座席へ戻った。

その時、格納庫の天井近くから何かが降ってきた。

赤い翼だった。

地面に突き刺さり、床材がめくれ上がる。

若い整備兵が端末を確認した。

「ゲッターロボ、帰還します!」

「どのゲッターだ!」

イアン・ヴァスティが叫ぶ。

「識別不能です!」

「そんな報告があるか!」

格納庫へ入ってきた機体を見て、全員が黙った。

上半身はゲッター1。

下半身はゲッター2。

背中にはゲッター3のキャタピラが、翼のように生えていた。

左腕だけが、見覚えのない巨大なドリルになっている。

神隼人がコックピットハッチを開いた。

「着地地点を空けろ。形状が安定していない」

「見れば分かる!」

イアンが叫ぶ。

流竜馬が隼人の後ろから顔を出した。

「途中までは普通だったんだけどな!」

「途中で何をした!」

「気合いを入れた!」

榊が工具を床に落とした。

「それは整備記録に書けん」

「書かなくていい。直せば動く」

隼人は当然のように言った。

アストナージがゲッターの脚部を見上げる。

装甲の隙間では、金属とも生物とも判別できない部品が、ゆっくりと脈打っていた。

「直すとは、元の形に戻すことか?」

「次に出撃できればいい」

「何形態で?」

「敵による」

「先に決めろ!」

背後で、柔らかな靴音がした。

リーロン・リットナーがゲッターの周囲を歩き、脈打つ部品を眺める。

「あら。随分と情熱的な機体ね」

イアンが振り返る。

「分かるのか?」

「分からないわ」

リーロンは笑顔で答えた。

「でも、分からない物を怖がっていたら、螺旋力を扱う技術者なんてやっていられないもの」

指先で部品に触れる。

部品がリーロンの指へ向かって伸びた。

リーロンは即座に手を引いた。

「ただし、これは嫌い」

全員が一歩下がった。

流竜馬だけが腕を組んで笑った。

「な? 元気だろ」

「機体の部品に元気という評価を使うな」

アストナージが言った。

奥の隔壁が開き、エヴァンゲリオン初号機が運び込まれてきた。

初号機は拘束台の上で沈黙していた。

右肩の装甲が砕け、紫色の皮膚が露出している。

赤木リツコと伊吹マヤが並んで端末を確認していた。

マヤが報告する。

「右肩部に裂傷。装甲板は全損しています。ただ、生体組織の再生が始まっています」

榊が露出した肉を見つめる。

「装甲を外せば勝手に直るのか」

「条件が揃えば」

「便利だな」

「痛覚もあります」

榊は初号機を見上げた。

数秒前まで浮かんでいた羨望が消えた。

「……便利ではないな」

リツコは静かに頷いた。

その横を、ノーマン・バーグが台車を押して通り過ぎた。

銀色のティーポットと、人数分のカップが載っている。

「皆様、ひとまず温かい物をどうぞ」

アストナージが目を丸くする。

「この状況で茶か?」

「この状況だからこそです」

ノーマンは落ち着いた手つきで紅茶を注ぐ。

「焦燥は工具を滑らせます。疲労は確認を省かせます。いずれも、巨大兵器の整備には好ましくありません」

榊は受け取ったカップを見つめた。

「まともなことを言う人間が来たな」

格納庫の入り口で、巨大な黒い足が止まった。

ビッグ・オーだった。

右腕が肩からなくなっている。

ノーマンはそちらを一瞥した。

「もっとも、私も他人事ではありませんが」

榊は紅茶を吹き出した。

「腕はどうした!」

ビッグ・オーの胸部通信機から、ロジャー・スミスの声が流れる。

『交渉に使った』

「腕を使う交渉があるか!」

『相手が合意した以上、交渉は成立している』

ノーマンは静かにカップを置いた。

「ミスター・ネゴシエーターの認識については、後ほど私から説明いたします」

「説明で腕が生えるなら頼む!」

格納庫の損害表示が更新された。

大破、四機。

中破、七機。

軽微な損傷、十二機。

分類不能、ゲッターロボ一機。

整備完了予定時刻の欄には、計算中という文字が点滅していた。

榊は格納庫を見渡した。

脚のないイングラム。

車輪のないランスロット。

腕のないビッグ・オー。

冷却材が固まったマジンガーZ。

形態の定まらないゲッターロボ。

勝手に傷が塞がっていくエヴァンゲリオン。

そして、失ったファンネルの代わりに敵艦の砲身を背負って帰ってきたνガンダム。

「よし」

榊は紅茶を飲み干した。

「まず、分類できる故障から片づけるぞ」

若い整備兵がおそるおそる尋ねる。

「分類できない方は、どうしますか」

榊はゲッターロボを見た。

部品がまた一つ、別の形へ変わった。

「見なかったことにする」

神隼人が腕を組む。

「賢明だ」

「お前が言うな!」

格納庫に怒声が響いた。

夜明けまで、あと二時間十三分。

整備終了までの時間は、依然として計算不能だった。

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TETORU

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