竿と通り雨(雨の果て Gmeini作)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/8/30 📝 3,533文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

以前投稿した「雨の果て」をGeminiに作文から小説にしてもらいました

本文

人生とは、なんとままならないものか。

予定外の激しい通り雨に降られ、俺はやむを得ず軽トラックをコンビニの駐車場に滑り込ませた。バチバチとフロントガラスを叩きつける大粒の雨音に苛立ち、気を紛らわそうとラジオのボリュームを上げる。しかし、陽気なパーソナリティの声が煩わしい雨音を相殺してくれるわけではなかった。ただ、狭い車内の騒がしさが増しただけだ。 当たり前のことだと頭では分かっていても、胸の奥で燻る苛立ちは収まらない。スマートフォンで天気予報を確認すると、雷を伴うこの通り雨はあと一時間近く続くらしい。

「やってられるかよ……」

投げやりなため息を吐き、俺はダッシュボードに向かって両足を投げ出した。 プァァン! つま先がハンドルの中心に当たり、間抜けなクラクションの音が雨のベールを引き裂いた。その音に驚いたのか、軒下で雨宿りをしていた水色のランドセルを背負った小さな濡れ鼠が、ビクッと肩を揺らしてこちらを見た。 バツの悪い思いで目が合い、俺は仕方なく手を合わせて「すまん」と頭を下げる。 まったく、うまくいかない日は何をやってもとことん裏目に出る。降りしきる雨をぼんやりと眺めながら、俺の思考は再び「人生のままならなさ」という泥濘へと流されていった。

思い返せば、俺にも眩しい夢があった。プロ野球選手になりたいという、ありふれてはいるが本気の夢だ。 幸いにも幼い頃から図体に恵まれていた俺は、小学生の頃には大抵のスポーツで学年の頂点にいた。周囲の大人たちも俺の夢を笑わず、むしろ熱心に応援してくれた。 人数ギリギリの小さな少年野球クラブとはいえ、四年生の時点で六年生のチームに混ざり、セカンドのレギュラーを張った。さすがに二つ上の球には力負けして打順は七番だったが、五年生に上がる頃にはクリーンナップから外れることは一度もなくなった。俺の人生は、そこまでは完璧な放物線を描いていた。

最初の歯車が狂ったのは中学生の時だ。 俺はより高いレベルを求め、隣の校区にある強豪シニアリーグの門を叩いた。確かにレベルは高かったが、入団した時点では同級生の中で間違いなく俺が一番上手かった。 しかし、ほどなくして酷い成長痛が俺の膝を襲った。 二年生の春を迎えるまで、まともに走ることもできず、ただグラウンドの隅で練習の補助や球拾いに明け暮れる日々。「何しに来てんだよ」「またサボりか?」――俺よりも下手くそな連中から向けられる冷笑や邪魔者扱いは、思春期のプライドをズタズタに引き裂いた。 『お前らこそ遊びに来てんのか! 野球が上手くなりたくてここに来たんじゃねえのかよ!』 手抜きの練習にヘラヘラと笑うチームメイトに、何度掴みかかろうとしたか分からない。

それでも、痛みさえ引けばまた輝ける。そう信じて耐えていた中二の夏休み、決定的な破滅が訪れた。 親父が、痴漢の常習で逮捕されたのだ。 当然のように会社をクビになり、我が家はあっという間に経済的な底に沈んだ。ようやく痛みが引き、レギュラーを掴みかけていた矢先だったが、「遠征費や部費が払えない」という理由で、俺はチームを辞めざるを得なくなった。 暗闇の中で、唯一俺の手を引いてくれたのは爺ちゃんだった。 親父を勘当同然に追い出し、俺を引き取ってくれた爺ちゃんのおかげで、俺は転校先でもう一度野球を続けることができた。鬱憤を晴らすかのように打ち込んだ俺は、やがて高校野球の名門私立から特待生の声がかかるほどの選手になった。爺ちゃんには、いくら感謝しても足りない。

それでも、心のどこかで少しだけ爺ちゃんを恨んでいる自分がいる。 どうして、俺が甲子園の土を踏み、プロのユニフォームを着るのを見届けずに死んでしまったのか、と。 あれもまた、二年の夏だった。極端な病院嫌いだった爺ちゃんは、自らの体の不調をひた隠しにし、限界を迎えて倒れた。病院のベッドで冷たくなった顔を見たとき、俺は誇張でもなんでもなく、文字通り膝から崩れ落ちた。 柱を失った俺は、かつてないほどのスランプに陥った。二軍に落とされ、どうしていいか分からず、ただただ焦りに身を任せて無茶な練習に没頭した。 結果、二年の秋の暮れに俺の右肘は悲鳴を上げて壊れた。 「手術をして、しっかりリハビリをすれば、一年くらいで復帰できるよ」 医者は慰めるように言ったが、その高額な手術費を誰が払うのだ。部を辞めれば特待生の資格を失い、学費も払えず退学になる。かといって、怪我を抱えたまま居座るメンタルは、あの陰惨な中学時代にとうにすり減らしていた。

結局、俺は高校を中退した。 中卒のガタイが良いだけのガキなど、まともな企業は相手にしてくれない。そんな底辺を這いずっていた俺に、とある運送会社の社長が声をかけてきた。 『最初は事務のバイトとして雇う。真面目に働けば、前借りという形で肘の手術費を出してやる。リハビリが終わる頃には免許も取れるだろうし、最終的には正社員の重量物ドライバーとして働かないか』 まさに渡りに船だった。都合が良すぎると疑いもしたが、金も希望もない俺に首を横に振る選択肢はなかった。

結論から言えば、すべてが嘘ではなかったが、約束通りに果たされたわけでもなかった。 俺は必死に働き、社長も約束通り手術費を前貸ししてくれた。狂い始めたのは、手術を終えてからだ。 会社の経理を取り仕切る古株の婆さんが、俺の存在を徹底的に目の敵にし始めた。「ガタイのいい若い男のくせに、汗水流さず女の仕事ばかりして」と、ねちねちと嫌味をぶつけてくる。俺や社長が「リハビリ期間中だから」と何度説明しても、聞く耳を持たなかった。 手術後、俺が正社員登用を前倒しで受け入れると、婆さんの態度はさらに悪化した。「手術が終わったんなら完治したに決まってるだろ!」と喚き散らし、事務仕事を取り上げて強引に重い荷物を運ばせた。 他の社員たちは、婆さんの機嫌を損ねるのを恐れて見て見ぬふりだ。痛む肘を庇いながら不慣れな力仕事をすれば、「仕事が遅い」「図体がでかいだけで役立たず」と罵倒される。挙句の果てには、前借り分を完済したあとも、「あんな働きじゃ給料は上げられない」と難癖をつけてきた。

我慢の限界だった。 抗議に向かった俺に対し、いつものように嘲笑を浮かべて罵詈雑言を並べ立てる婆さんの顔を見た瞬間、俺の中で何かが弾けた。 気がついたときには、婆さんは床に転がり、俺の拳は赤く腫れていた。 警察に逮捕され、最終的には不起訴で終わったものの、取り調べの刑事たちの目は最後まで「粗暴な若者が身勝手に暴れた」という見下した色のままだった。

その後も細かな転機はいくつもあったはずだが、もうよく覚えていない。荒れに荒れ、酒と喧嘩に溺れ、ただ流されるままに生きてきた。 どこで間違えた? どう生きればよかった? 自問自答を繰り返すほどに、後悔と恨みだけが層になって積み重なっていく。

そろそろ頭が痛くなりそうだ。 そう思って、何の気なしに重い瞼を持ち上げると、軽トラックのフロントガラス越しに見える世界は、いつの間にかすっきりと晴れ渡っていた。 雨音は消え、西日が濡れたアスファルトを眩しく照り返している。 これ以上、過去の亡霊と睨み合っていても仕方がない。仕事に戻ろうと体を起こすと、狭い車内で窮屈な姿勢を続けていたせいで、背中から首にかけてバキバキに凝り固まっていた。 痛む体を強引に動かし、ダッシュボードから足を下ろした瞬間。

プァァン!

またしてもつま先がクラクションを鳴らしてしまった。自分自身の不器用さに、思わず鼻で笑ってしまう。ご愛嬌というやつだ。 ドアを開けて外に出ると、ムワッとした雨上がりの匂いが鼻を突いた。太陽に向かって思い切り伸びをする。空のように一点の曇りもない晴れやかな気分、とまではいかないが、胸につかえていた淀みは幾分か流れ去っていた。

ふと、振り返って軽トラックの荷台に目をやる。 そこには、俺のひん曲がって捩じれに捩じれた人生とは対照的な、どこまでも真っ直ぐな鉄の棒が、天に向かって整然と突き出している。

「仕方ない。世界は弱肉強食、金は天下の回り物、生き延びてなんぼじゃ」

今朝よりはずっと軽やかな独り言を口にして、俺は再び運転席に乗り込んだ。エンジンをかけ、スピーカーの電源を入れ、サイドブレーキを勢いよく解除する。 これから向かうのは、古い一軒家が立ち並ぶお年寄りの多い住宅街だ。さぞ困りごとも多いことだろう。俺も金には困っている。助け合いの精神は大事だ。 ニヤリと唇の端を吊り上げ、俺はアクセルを力強く踏み込んだ。

今日も今日とて、俺は高らかにスピーカーを鳴らし、物干し竿を売りまわるのだ。

ジャンル・タグ

タグなし

作品統計

👁️ 閲覧数: 2 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

鍛尾下なると

〝きたおかなると〟と申します。日頃ChatGPTとGeminiに遊んでもらってます。 下手の横好きの暇人です。不定期のジャンルレスです。素通りしてください。 あいぺんさんのAIレビュー機能にも遊ん...

👥 フォロワー: 1人

作者ページを見る