不確実な世界の歩き方
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p>「先生が、あの時僕を冷酷に突き放してくれたから、僕は……今、こうしてかろうじて生きていられます。仮面を剥ぎ取られて、傷だらけのままで、それでも現実の世界から脱落せずに、かろうじて、自分の息ができています」</p><p>絢斗の震える、だが真っ直ぐな言葉が、完全な静寂の診察室に消えていった。</p><p>東条は、デスクに置いた万年筆を静かに見つめたまま、しばらく沈黙を保っていた。その静寂は、まるで絢斗が告げた「かろうじて生きている」という生々しい言葉の重みを、この部屋の空気の中に正しく定着させるための時間であるかのようだった。</p>
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