不揃いな指先1
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p>今、若い世代を中心に爆発的な人気を誇る5人組男性アイドルグループ </p><p>Stella(ステラ)</p><p>王道アイドルらしい華やかさと、メンバー同士の仲の良さが魅力の彼らは、SNSや生配信での飾らないやり取りでもファンを魅了している。</p>
本文
今、若い世代を中心に爆発的な人気を誇る5人組男性アイドルグループ
Stella(ステラ)
王道アイドルらしい華やかさと、メンバー同士の仲の良さが魅力の彼らは、SNSや生配信での飾らないやり取りでもファンを魅了している。
メンバーは、包容力のあるリーダーのタイガ、天真爛漫なムードメーカーの陸(りく)、クールで頭脳派の周(しゅう)、そして、グループ随一の美貌を持ちながらもどこか無防備な慧(けい)と、圧倒的なカリスマ性とクールな佇まいで絶大な人気を誇る蓮(れん)の5人だ。
その日、彼らは公式チャンネルで、ファンに向けたフリートーク生配信を行っていた。
今回のトークテーマは「最近買ったもの」
カメラの前で、メンバーたちが私物を持ち寄り、リラックスした雰囲気で配信がスタートした。
「じゃあ、まずは俺からいくね!」
口火を切ったのは陸だ。うれしそうに差し出したのは、原色使いが鮮やかなストリートブランドの限定キャップだった。
「これ、ずっと狙ってたやつでさ! ネットの争奪戦で頑張って勝ち取ったの」 「うわ、派手だな。陸らしいけど、お前それ私服で合わせられる?」
周が苦笑しながら突っ込むと、陸は「合わせられるよ! 今度コーディネート見せてあげる!」と胸を張る。画面横のコメント欄には、ファンからの声が次々と流れていく。
『陸くんっぽくて可愛い!』 『争奪戦お疲れ様ww』 『今度ブログに被った写真載せてね!』
「次は俺ね」と、リーダーのタイガがスマートフォンの画面をカメラに見せた。
「俺はね、最近ちょっと良いアロマディフューザーを買いました。部屋に置く木製のおしゃれなやつ」 「あ、それ知ってる。タイガくんの部屋、いつも良い匂いするもんな」
慧が嬉しそうに頷くと、タイガは「今度、慧の好きな香りもブレンドしてあげるよ」と優しく微笑む。
『タイガくん、さすが大人の男の余裕……』 『慧くんへの優しさがパパすぎる』 『部屋の匂い嗅ぎたい!!』
コメント欄は大盛り上がりで、温かい空気がスタジオを包み込んでいく。そのまま周のこだわりコーヒーメーカーの紹介を経て、いよいよ慧の順番が回ってきた。
「はい、じゃあ次は慧だよ。何買ったの?」
タイガに促され、慧は少しはにかみながら、自分の右手をカメラの前にそっと差し出した。
その細く白い薬指には、シンプルながらも上品な輝きを放つ、繊細なデザインのシルバーリングがはめられていた。
「俺は、最近この指輪を買ったんだ。お店で見つけて、一目惚れしちゃって……」
慧の綺麗な手元がアップになると、ファンからは即座に絶賛のコメントが殺到した。
『綺麗……!!』 『慧くんの細い指にめちゃくちゃ似合ってる』 『手が美しすぎて指輪が引き立つね』 『どこのブランドですか!?』
「おお、いいね。シンプルで慧によく似合ってるよ」
タイガが褒めると、陸も「おしゃれじゃん! 慧が指輪するのなんか新鮮!」と嬉しそうに騒ぐ。慧は「ありがと。普段あまりアクセサリーつけないから、ちょっと照れるけど」と、嬉しそうに耳を赤く染めて微笑んだ。
メンバーもファンも、慧の新しいアクセサリーに目を細めていた、その時。
それまで隣で静かに慧の手元を見つめていた蓮が、ふっと視線を慧の顔へと向けた。 その瞳は、いつものクールなものとは少し違う、どこか熱を孕んだ光を湛えている。
蓮はカメラに向かって、いつも通りの美しい笑みを浮かべた。
「うん、すごく似合ってる。綺麗だよ、慧」
「……あ、ありがと、蓮」
メンバーからの褒め言葉には慣れているはずの慧だったが、蓮のまっすぐな視線に、どこか気まずそうに目を泳がせる。
しかし、蓮の言葉はそれだけでは終わらなかった。 蓮は少しだけ声を低くし、首を傾げて慧を見つめる。
「――だけどさ。俺があげた指輪は、なんでつけてくれないの?」
静かで、けれど全員の耳に嫌でも届くその声が、マイクを通して生配信の向こう側へと響き渡った。
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