予報がはずれる日

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/7/28 📝 1,102文字 ✅ 全年齢

あらすじ

AIと予報の話。

本文

 教室の休み時間、机の上にスマホが並ぶ。みんなが覗きこんでいるのは「ミライナビ」という占いアプリだ。

 明日の天気、次のテストの点数、給食の残り物まで、驚くほど当たる。当たりすぎて、最近はクラスのみんなが何かを決める前に、まずミライナビに聞くようになった。

「今日の掃除当番、代わってもらえる?」

「え、無理。ミライナビで見たら、今日わたし忘れ物する日だって」

 そんな会話が、当たり前になっていた。

 神谷かみや千夏ちなつも、最初はみんなと同じようにアプリを開いていた。でも、千夏の予報だけは、いつも外れる。

「明日は雨」と出た日は晴れて、「テストは六十点」と出た日は九十点を取った。「今日は元気が出ない一日」と出た日に限って、朝からずっと機嫌がよかった。

「千夏のって、なんか壊れてない?」

 クラスメイトにそう言われて、千夏は何も言い返せなかった。当たらないアプリを持っているのは、自分だけだったから。

 仲のいい芝崎しばさき光ひかりだけは、笑いながらこう言った。

「べつに壊れてないと思うけどな」

「じゃあ、なんで当たらないの」

「千夏っていつも、予報のあとでちゃんと自分で決めるじゃん。晴れって出ても傘持っていくし、点数が悪いって出た日ほど、めちゃくちゃ勉強してるし」

 千夏は返事に困った。そんなふうに考えたことはなかった。

 二週間後、運動会が近づいてきた。リレーの選手を決める日、ミライナビの画面には、こう表示された。

 ――千夏さんの明日:リレーで転倒、チームは負ける。

 クラスがざわついた。「じゃあ、別の子に代わってもらったほうが……」そんな声も聞こえてきた。千夏の胸の奥が、すっと冷たくなった。

 その夜、布団の中でスマホを見つめながら、千夏は何度も同じ画面を開いた。転倒。負ける。文字は変わらない。

 ――だったら、走らなければいい。

 そう思いかけた自分に気づいて、千夏ははっとした。

 運動会当日、スタートラインに立ったとき、千夏の手は少し震えていた。でも、隣にいた光が小さく言った。

「当たるかどうかは、走ってみないとわからないよ」

 ピストルが鳴る。千夏は走った。転びそうになった瞬間もあった。それでも足を止めなかった。

 バトンを渡したとき、チームは一位でゴールした。

 その晩、千夏はまたミライナビを開いた。画面には「明日の千夏さん:とくに何も起こらない、いつも通りの一日」と出ていた。

 千夏は少し笑って、アプリを閉じた。

 当たるかどうかは、きっとどうでもいい。明日をどう過ごすかを決めるのは、アプリじゃなくて、自分自身なのだから。

 窓の外には、まだ運動会の熱気が残る夕焼けが広がっていた。

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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