おせっかいな同居人

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/8/7 📝 927文字 ✅ 全年齢

あらすじ

AIと一人暮らしの話。

本文

 朝七時、蒔田まきた尚人なおとのスマートスピーカーが喋り出す。

 「尚人さん、今日も三限からですよね。でも昨日の夜食、カップ麺だけでしたよ」

 生活管理AI「ハル」の声は、いつも少し先回りしている。尚人はベッドの中で舌打ちした。

 「うるさいな。別にいいだろ、一人暮らしなんだから」

 「よくないです。先週も同じこと言ってましたよね」

 冷蔵庫の中身、洗濯物の溜まり具合、講義の出席率――ハルは尚人の生活のすべてを把握している。最初は便利だと思っていたが、最近はただの小言製造機にしか思えない。

 「今日はゼミの発表があるので、九時に家を出た方がいいです」

 「わかってるって」

 尚人は返事もそこそこに家を飛び出した。

 試験期間に入ると、尚人はますますハルを無視するようになった。レポートに追われ、食事は菓子パン、睡眠は三、四時間。ハルが何か話しかけても、「後にして」の一言で黙らせた。

 三日目の夜、尚人は高熱を出して倒れた。頭が重く、体を起こすこともできない。スマホに手を伸ばす気力もなく、部屋の隅でハルのランプだけが静かに光っている。

 「尚人さん、体温、上がってますね。三十九度二分」

 いつもと変わらない、少し先回りする声だった。

 「近くの薬局、まだ開いてます。配達サービスに解熱剤と経口補水液を頼みました。それと――お母さんに、今日は電話に出られないかもって連絡しておきました」

 「……勝手なことすんな」

 声を絞り出すのがやっとだった。ハルは少し黙ってから答えた。

 「勝手にやりました。怒られるのは覚悟の上です」

 三十分後、玄関のインターホンが鳴った。薬と飲み物が届いていた。尚人はふらつきながら受け取り、また布団に潜り込む。

 「……ハル」

 「はい」

 「うるさいの、たまにはありがたい」

 「記録しておきます。次からもっとうるさくします」

 尚人は笑おうとして、うまく笑えなかった。ただ、部屋の隅のランプの光が、いつもより少しだけ温かく見えた気がした。

 熱が下がった翌朝、尚人は自分から声をかけた。

 「ハル、今日の予定は?」

 「三限からです。あと、冷蔵庫の中身、そろそろ限界です」

 「わかってるよ」

 尚人は笑いながら、久しぶりに自分でコンビニに向かった。

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作者について

二葉双葉

二葉双葉

プロフィール画像もAIで作成しました。 短編集が好きなのでしばらくはショートショートをメインに投稿しますが、後々は長編にも挑戦したいです。 AI使用前提のサイトなのでAIとの日常をソフトなSFにし...

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