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第五十八話 ビルク伯爵

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あらすじ

異世界配信スローライフ ~原価10円のポップコーンでボロ儲け! 現代ガジェットで悪徳商人を論破します~ - 第五十八話 ビルク伯爵

本文

俺たちはキャンピングカーを門の近くに止めて、ビルクの街に入る。

 盗賊たちは俺に震えた目を向けていた。

 だがこいつらに優しくする義理はない。他の商人や冒険者の命を奪っているからだ。

 ちなみに盗賊たちはかなりの宝石や装飾品を集めていた。

 こういうのは盗賊を討伐したものの手柄になるらしい。

 俺は別に欲しくなかったが、ルル達が受け取っておけというので宝飾品を扱っている店で売ろうと思う。

「配信者のユウキ様ですね! 領主様からビルクの街を通ると伺っております」

「ああ、生け捕りにした盗賊は少ないけど、そちらで売り払ってくれ」

「はあ。こ奴らは……懸賞金がかかっていたかと。冒険者ギルドで懸賞金を受け取ってください。オークションにかければ高値で売れるかもしれませんがどうされますか?」

「いや、いいよ。そちらで引き取ってくれ」

「かしこまりました」

 餓狼の五人が盗賊の頭と生き残りの二名を引き渡すと衛兵が連れて行った。

 宿は取らなくてもいいので、冒険者ギルドに向かうことにする。

 もう夕方だからな。神聖の森に帰りたい。

 ビルクの街は、活火山が近くにあり、そこの近くにはダンジョンと不思議なにおいのするお湯が出るという話だ。

 盗賊たちが根城にしていた洞窟はその活火山の麓の方らしい。

「ユウキさん! 配信見ておったよ! あの盗賊たちは、冒険者ギルドも手をこまねいていた。ビルクの街を預かる身として感謝するよ」

 ん? 話しかけてきたのはシルクハットを被った紳士服の中年男性だった。

 後ろには騎士団もいるな。つまり……。

「間違っていたらすみません。貴方はビルクの街の領主様ですか?」

「ああ、私の事はビルク伯爵と呼んでくれ」

「承知しました。ビルク伯爵」

「固い固い。言葉は崩して構わんよ」

 ビルク伯爵は朗らかに笑う、良い笑顔の貴族様だった。

「グラリア伯爵とは懇意にしていてね。よくユウキさんの配信の話をしているんだよ」

「さん付けはやめてください。呼び捨てとかで……」

「じゃあ、グラリア伯爵に倣って、ユウキ殿と呼ばせてもらおう」

 餓狼の五人は急に出会った貴族にぽかんとした顔をしている。

 だが首を振り、気を取り直して、ビルク伯爵に話しかける。

「私たちはユウキさんを護衛している、冒険者パーティーの餓狼と言います。ユウキさんにはどんな用件で?」

「ふむ、そうだな。今日は餓狼の五人も含めてうちの館に泊まらないかね?」

 うーん。本当は神聖の森に戻りたいんだけど、ここで断ったら逆に申し訳ない。

 グラリア伯爵とも仲がいいみたいだし、貴族の知り合いを増やす意味で仲良くしておきたい。

「ええ、そうしましょう。冒険者ギルドにだけ行ってきてもいいですか?」

「ああ構わんよ。それとあいさつが遅れたね。ランド殿に、クラリア殿、アナリザ様までビルクの街によく来てくれた」

「お噂はかねがね伺っておりますわ」

「お世話になります」

「わたくしもお邪魔しますわ」

 その後、ルル達もビルク伯爵に挨拶をして、冒険者ギルドに行き、盗賊たちの懸賞金をもらう。

 ちなみに懸賞金は二人だけしか生きていなかったのに三十枚もあった。

 まあ異世界配信レストランに比べると少ないが充分ありがたい。

 俺たちはビルク伯爵の領主の館に馬車で案内された。

「執事のジョージでございます。以後お見知りおきを」

「丁寧にありがとうございます。ユウキと申します」

「それでは館に案内します」

 ビルク伯爵の領主の館は大理石を使った見事な城だった。

 跳ね橋を下ろして、出入りを管理する洋風な城に目を奪われていた。

「フフフ。ユウキはそれくらい気が抜けているのがちょうどいいのです」

「戦闘の時のユウキはちょっと怖い」

「わらわはどちらも好きじゃがのう。じゃがここにダンジョンがあるのであれば、レベルを上げておいた方が良いぞ」

「ご主人様は荒事に向いている性格ではございません」

 クリスは俺の様子を好ましく見ていて、ルルはため息交じりに喋る。

 カゲは俺にレベルを上げろと言うが、ルルーシュは反対のようだ。

「いきなりビルク伯爵の領主の館に案内されるとは思わなかったよ。これもユウキさんの配信の為せる業かな」

「本当ですわ」

「わたくしは先ほど配信を知りましたが、恐らくエルグランド王国中に配信のうわさが広がっているのですわ」

 ランドさんとクラリアさんは俺の事をほめてくれる。

 アナリザ様はちょっと面食らった顔をしていた。

 外では餓狼の五人が俺たちの馬車を警備してくれている。

 まあ、領主の館に向かう馬車を襲うやつはそうそういないけど念のためだ。

 城の中に入り、餓狼の五人以外は個人部屋を用意された。

 餓狼の五人も個人部屋にすればいいと俺は言ったんだけどそれは断られた。

「さあ、晩餐の時間でございます」

「楽しみですね」

 執事のジョージさんに案内されて、大広間の食事をとる場所に案内される。

 洋風のフルコースのような形かと思ったが、違うようだ。

 もうビルク伯爵が待っていた。

「そこにメニューがあるので好きなものを好きなだけ頼んでほしい」

「なるほど。俺のレストランをイメージしているのですか?」

「そうだ。それに料理長がこういう形式にしてほしいと頼んできおってな」

 料理長はよっぽど料理に自信があるらしい。

「では、丸鶏の肉詰めとかぼちゃのポタージュをお願いします」

 俺は無難な洋風料理を頼んでみた。

「あ、ユウキが作ったグラタンがある!」

「ルル殿、配信を見た料理長がチーズを取り寄せて作ったものだぞ」

「ならそれと、海鮮スープをお願いする」

「私は、パッザという料理とシチランオークのステーキ。ってシチランオークまであります!」

「クリス殿、パッザはユウキ殿の配信で教えてもらったレシピですぞ。シチランオークはグラリア伯爵に頼んで、ビルクの街まで届けてもらったのだ」

「それは素敵です」

 おお、ワイバーン便はここまで来ているのか。確かにワイバーン便ならすぐに運べるし、アール達もアイテムボックスを使えるから腐らない。

 いや~自分の影響がここまで出ているとちょっと嬉しいな。

 ランドさんとクラリアさんはシチランオークのハンバーグとサラダとパンにしていた。

 アナリザ様はパッザとシチランオークのステーキを頼んでいた。

 餓狼の五人とルルーシュさんは最初は一緒に食べるのを断ろうとしていたが、ビルク伯爵に押し切られて、俺たちが頼んだものを組み合わせて取り分けるようだ。

「ユウキ殿、夕食が来る前に、私の頼みごとを聞いてくれんか?」

「ええ? それは応接室で配信を切って話した方が良いのでは?」

「良いのだ。あえて表ざたにしたい情報もある。そして国民もこういう話を知っておくべきだと思うのだ」

「なるほど」

 次話、ビルク伯爵との会談。

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マロン64

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