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第六十六話 陸稲で作った米を活かした料理

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

あらすじ

異世界配信スローライフ ~原価10円のポップコーンでボロ儲け! 現代ガジェットで悪徳商人を論破します~ - 第六十六話 陸稲で作った米を活かした料理

本文

「今日は俺の住んでたところの郷土料理と別の場所の美味しいご飯を用意するよ」

「ユウキの住んでたところはどんな所だったの?」

「基本は普通の住宅街なんだけど山に囲まれてたんだ。国自体は島国なんだけど、俺が住んでたところは海はなかったな」

 カレイナとアリアは海がないことに驚き、エメリアは海って何ですの? という顔をしていた。

「俺たちは港町にも行ったことあるぜ」

「俺様はあの独特なにおいが苦手だったな」

「あの匂いがいいんじゃない」

「毛がべたべたするのが嫌だったにゃ」

「ああ、獣人の国の港町のオーラリアか。そういえばユウキさんが作ってる醤油ってやつに近いものが売ってた気がするな」

 ザンさんは感慨深げに、グラウルさんとミレアさんはちょっと嫌そうに、シズナさんは目を輝かせて港町を語る。

 ガルドさんが言っているのは多分、魚醤だな。

「多分、それ、魚醬だね。醤油は大豆から作ってるんだよ」

「え? 豆からこんな黒い油が出るんだな」

 俺も醤油の詳しい作り方は知らないけど先人たちが知恵を使って作ってくれたおかげなんだよな。

 焚火を用意して、遺跡から持ってきたうるち米、つまり普通の米を使う。

 作るのは五平餅だ。餅と言うからもち米を使うのかと思ったらうるち米でいいらしい。

 ちょっと意外だな。

 現代地球のコメント欄は五平餅と何を作るんだ? とワイワイしていた。

 異世界配信の方は料理人が血涙を流しながら見守っているらしい。

 まだ米の方は市場に出してないから早く出してほしいとコメントされていた。

「まず飯盒炊飯で米を炊く」

 元々はあまりものの冷ご飯を使っていたらしい。

 焚火の上に調理用の道具を置いて、普通に焼くスペースと鍋を作るスペースを確保しておく。

 皆は武器の手入れをしながらもちらちらとこちらを見ていた。

 飯盒炊飯ができた後、十五分くらい蒸らしておく。

 先にもう一つの料理に取り掛かろう。

 ママゾンで取り寄せた比内地鶏スープを鍋に入れる。

 神聖の森で取れた長ネギや白菜、ささがきごぼうを切る。

 鶏肉は多めに一口大に切っておく。

 マイタケも切っているとカレイナがびっくりした様子で俺に言う。

「ユウキ⁉ キノコは危ないよ!」

「いや、俺の国から取り寄せたキノコだから大丈夫だよ」

「ユウキの国はキノコも育ててるの?」

 どうやらこの異世界ではキノコは普通食べないらしい。

 確かに鑑定魔法とか聞いたことないしなあ。

 書物に書いてあるキノコでもよく似た毒キノコとかよくあるし。

「ねぎはわかるが、その木の枝みたいなものは食べれるのか?」

「その葉っぱは本当に美味しいのか?」

 ガルドさんとグラウルさんが首を傾げている。

 俺もそんなに食べたことはないんだが、セリがあると鍋が締まるってよく言うしな。

 東北の方のソロキャンプをする動画配信者が言ってたんだ。

 そろそろ米が冷えてきたな。取り出して、ママゾンで売っていた木の棒にご飯をべたべたと塗りつける。五平餅のタレは……赤味噌と砂糖、みりん、料理酒、すりごま、後は砕いたクルミがあるといいな。

「カレイナ、タレを作ってくれないかな? まずこのクルミを砕いて、すりごまと混ぜるんだ」

 その間に赤味噌、砂糖、みりん、酒を入れて焦がさないように混ぜ合わせながら煮詰める。焚火台でやってるから結構難しい。

「ユウキ、そっちもやる」

「お、ありがと」

 カレイナが魔法で鍋の位置を浮かせて、煮詰めてくれた。

 アルコールが飛び、とろみがついたら、クルミとすりごまを加えて混ぜ合わせる。

 これでタレの完成だ。

「お、めちゃくちゃいい匂いがするぜ!」

「このタレ、そのまま舐めたいにゃ」

 ザンさんはともかくミレアさんはダメだぞ。

「まだ完成じゃないぞ。これを潰したご飯に塗って焼くんだ」

「本当ですわ⁉ 期待が膨らみますわ!」

 エメリアが今にも飛びつきそうだ。

 比内地鶏スープの鍋に野菜を入れて、鶏肉を煮込んでいく。

 冷えたご飯を固めて、ちくわのような形を作っていく。

 ご飯を入れない鍋はかやき鍋というらしいよ。

 最後にご飯を入れて煮込んだら完成だ。

 五平餅も表面が焦げていい匂いがしている。

 ちなみにきりたんぽ鍋はあんまり作ってないから本場の作り方は知らないけどな。

 皆匂いにつられて、めっちゃ俺の近くにいる。

 まず、皆で表面が焦げた五平餅にかぶりつく。

「うみゃー! 何だこのうみゃくて、不思議な食べ物は!」

「おお! 味が濃くて、めっちゃ美味いな!」

「表面の焦げてる部分もいいぞ」

 ミレアさん、グラウルさん、ガルドさんが口々に感想を話してくれる。

 ああ、五平餅いいよな。砕いたクルミやゴマの香りがいいし、安定の味噌ダレが美味すぎる。少しだけ故郷の岐阜の事を想う。

 市内は岐阜の北の飛騨高山に比べると観光地としては落ちる。

 でも本当にいい街だったんだよ。

 カレイナとアリアとエメリアはきりたんぽ鍋を深皿に入れたものを飲んで目を見開く。

「何これ! 鶏肉のだし? 的なものがすっごく詰まってる」

「セリが美味しいわ!」

「鍋に入ってる不思議な形をしたご飯も美味しいですわ!」

 シズナさんとザンは感極まって泣いている。

 どうしたの⁉

「俺っちはよお、山の中の鳥を撃ちぬいて、家族と家でよく食べたんだ。そん時にこんな感じのスープになってよお。つい泣いちまう」

「ザンは私と同郷。家でも鳥はよく食べてたの」

 二人の故郷は獣人族の国らしい。

 ガルドさんとグラウルさんとミレアさんはアルクアラウンド帝国で生まれたそうだ。

 どうやら帝国では奴隷制度があるらしい。

 ガルドさん達三人は、帝国で生まれて、獣人族のルーツであるガルガンディアという国に行ったときに意気投合したそうだ。

「俺たちも帝国ではいつ奴隷狩りに狙われるかわかんなかったよな」

「そうにゃ。冒険者としてうまくいったからよかったのにゃ」

「あの頃を思い出すぜ」

 アルクアラウンド帝国にあまりいいイメージが無くなったな。

 神聖の森は北にアルクアラウンド帝国がある。うーん。

 あまり考えたくないけど攻められる可能性もあるんだよな。

 俺はその時、ユウキランドを守れるのか。

 遠い未来に思いを馳せた。

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マロン64

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