【37番外】気分ラムネは宇宙味
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
店主が選んだお菓子、雑貨類の景品がカウンターに並んでいる。その中の菓子コーナーに小さな瓶があった。
ラベルには、丸い文字で「気分ラムネ」と書かれている。
瓶の側面には、指で文字を書くための特殊な小さなスペースがあった。
「気分を書くと、味が変わるんだって」
店主はさっそく指先を滑らせた。
『楽しい』
しばらくすると、ラムネの色が変わった。
店主が一粒、口に入れる。
「ソーダ味だ」
従業員アンドロイドは、データフード版のラムネの容器に気分を書いた。
『面白い』
ラムネが淡く光ったあと、別の色に変化した。従業員アンドロイドも一粒つまむ。
「……コズミックライチ味です」
「ちゃんと味が変化するんだね」
次に店主が書いたのは、『懐かしい』。今度は、昔ながらのラムネを思わせる味になった。
「おお。これは懐かしい」
店主は嬉しそうに瓶を眺めた。
常連のアンドロイドも、気分を書いたデータフード版の気分ラムネを一粒食べた。
「これはアスコルビーレモンティ味です!とても酸っぱい!」
店主は笑った。
今度は店主が瓶に、『期待』と書いた。ラムネの味が変わる。
「……アイスピーチ味です。これが期待の味!」
店主が笑った。
ほかの常連客も興味を持った。店主が、『元気』『眠い』『勝ちたい』『お腹すいた』と順番に書いていく。そのたびに味が変わる。
「面白いねぇ」
店主はすっかり気に入ったようだった。
しばらく味見を続けたあと、店主は少し考えてから、瓶の文字を書く欄に指を置いた。
『リラックス』
ラムネの色が、ゆっくり変わった。
「おや?」
店主が一粒、口に入れる。その瞬間、目がぱっと輝いた。
「……電気黒生ビア味だ!」
香ばしい苦みと、黒ビールを思わせる風味。未来都市で有名なビール、その味がラムネの中にちゃんと再現されている。
「いやあ、これはいいなぁ」
店主は嬉しそうに、もう一粒つまんだ。
「店主、ビアお好きですよね」
「大好き」
即答だった。
従業員アンドロイドがラムネの粒をスキャンし、成分を確認する。
「アルコールは含まれていません」
「うん。分かってるよ」
店主は笑いながら、もう一粒を口に入れた。
「でも、これはちゃんと電気黒生ビアだなぁ」
その後も、店主は思いついた言葉を瓶に書いていった。
やがて常連のひとりが、「今度はこれで」と、記入欄に『いつもの』と書かれた瓶を店主に差し出した。
色が変化したラムネを一粒、店主がつまんだ。
「……コーラ味。時環遊技場でいつも出してるやつだね」
店主は満足そうに笑った。
そして、味見もそろそろ終わりかけたころ。店主は最後にもう一度、瓶を手に取った。気分以外を書いたらどうなるのか。今度は少しだけ迷ってから、文字を書いた。
『時環遊技場』
ラムネの色が変わった。
店主が一粒、口に入れる。甘い。けれど、それだけではない。すぐに酸味が広がり、その奥にほんの少しの苦味と旨みが重なる。舌の上には、かすかなビリビリとした刺激が残った。
店主はゆっくり味わってから、満足そうに頷いた。
「……ベリー系、でしょうか。でも、普通のベリーじゃない」
店主は瓶の中のラムネを眺めた。
「こんな話を聞いたことがあります。宇宙はベリーのような香りがする、と」
「宇宙と時環遊技場に、関連性があるのでしょうか」
「さあ?」
店主は笑った。
「でも、なんとなく……この店には、この味が似合う気がするんだよねぇ」
店主はもう一粒、実物のラムネを口に入れた。
甘くて、酸っぱくて、少し苦い。その奥に、ほんの少しの旨み。
そして、舌の上でかすかにビリッとする。
「うん。時環遊技場の味だ」
店主は満足そうに笑うと、気分ラムネの小さな瓶をポケットにしまった。
「これは、しばらく持っておこう」
そうして店主は、またいつもの仕事へ戻っていった。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。