【38番外】 電器屋で見つけたもの
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
時環遊技場の店休日。
店主と従業員アンドロイドは、未来都市のほうへ出かけていた。
郊外から都市部へ向かう途中、二人は一軒の古びた電器店の前で足を止めた。
店先には最新型の端末や家庭用ロボットが並んでいる。その横には少し色褪せたラジオ、古いCDプレーヤー、丸みを帯びたポップカラーの家電まで置かれていた。
看板には、電器・電子部品 なんでもあります とある。
「……なんでも、ですか」
店主の目が輝いた。
扉を開けると、カラン、とベルが鳴った。
店内にはケーブル、端子、基板、変換アダプター、工具、スイッチ、コンデンサなどが所狭しと並んでいた。最新規格のケーブルの隣に何十年も前の端子があり、その下には古い工具や、用途の分からない部品まで並んでいる。
「うわぁ……」
店主は思わず声を漏らした。
棚の前をゆっくり進みながら、気になるものを次々と手に取っていく。
古い端子を指先で確かめ、ケーブルを眺め、小袋に入った抵抗器を見つければ、嬉しそうに手のひらへ乗せる。
「これ、まだあるんですねぇ」
別の棚ではコンデンサを見つけた。
「おお……こっちにも」
さらに古いスイッチを見つけた。カチッ、と押してみる。
「いい感触だなぁ」
従業員アンドロイドは、その後ろをついて歩く。店主の歩く速度が、明らかに遅くなっていた。気になるものがあるたびに立ち止まるからだ。
「店主、先ほどからほとんど進んでいません」
「そうなんですよねぇ」
店主は笑いながら、また棚へ目を向ける。
「こういう店、楽しいなぁ」
店の奥には、「電子部品・在庫品」と書かれた棚があった。
箱を眺めていた店主の手が、ふと止まる。
「……ん?」
一つの箱を引き出す。中には、何枚もの電子基板が入っていた。
店主はその中から一枚を取り出した。表面を眺め、部品の配置を見る。コネクタを確かめ、裏返して基板のパターンまで見る。
その表情が、少し変わった。
「これ……」
もう一度、表側を見る。
「パチンコの基板ですねぇ」
従業員アンドロイドも覗き込む。
「パチンコですか?」
「ええ。しかも、平成初期頃のですね」
店主は嬉しそうに、もう一枚取り出した。
「こっちもそうだ」
さらに一枚。
「……これも」
箱の中には、同じ時代のものらしい基板が何枚も入っている。
店主は一枚ずつ手に取り、部品を眺めていく。
「いやぁ、凄いなぁ……」
声が弾んでいる。
どうしてこんなものが、この電器店にあるのか。店主は気になった。
店員によれば、昔の倉庫から出てきたものらしい。何に使うものか分からなかったが、電子部品には違いないので、この店で預かっていたという。
「なるほど……」
店主は頷きながら、また基板を見る。そして、箱の中身をもう一度確認した。
「これ、全部ください」
迷いはなかった。
「全部ですか?」
「はい。全部」
動作するかどうかも分からない。部品取りになるかもしれない。
それでも店主は嬉しそうだった。
従業員アンドロイドが、次々と箱詰めされていく基板を見ながら尋ねる。
「保管場所は?」
「……帰ってから考えましょう」
そう答えた店主は、すでに別の棚を見ていた。
「……あっちも気になりますねぇ」
従業員アンドロイドは、黙って後を追った。
結局、店を出る頃には、二人の荷物はすっかり増えていた。
未来都市の片隅に残る、古びた電器店。
そこに眠っていたのは、かつて遊技場で働いていた電子基板だった。
どうしてここへ流れ着いたのか。店員にも分からない。
店主も、それ以上は聞かなかった。ただ、昔の機械を支えていた部品が、こうしてまだ残っている。それが嬉しかった。
「いやぁ、いい店でしたねぇ」
大量の電子部品を抱えながら、店主は満足そうに笑い、時環遊技場へと帰っていった。
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