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月の落し物

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/11/8 📚 シリーズ: 彼方のラブレター 📝 882文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

それは、彼方から届いた、ちょっと不思議な物語。ショートショート

本文

深夜の静まり返った路地に、ぽとり、と銀色の小さな光が落ちました。

それは、夜空からこぼれ落ちた「月の落とし物」。

小さなガラス玉のように澄みながら、触れる人の一番暗い記憶を、ほんの少し明るくしてくれる不思議な欠片でした。

その夜、三人の人がその路地を通りかかりました。

仕事の失敗ですっかり自信をなくし、うつむきながら歩いていた青年が、足元でまたたく銀色の光に気づいて、それを拾い上げました。

指先で包み込むと、遠い幼い日の記憶がよみがえります。

自転車の練習で転んで泣きじゃくる彼の手を、母親が温かく握りしめて、

「大丈夫。何度転んでも、そばにいるよ」

と笑ってくれた日。

悔しさでいっぱいだったはずの記憶が、まろやかな光を放ちました。

「自分は一人じゃない」

そんな静かな安らぎが、青年の胸を満たしていきました。

青年が立ち去ったあと、少し離れた場所で、夢を諦めかけていた女性が、まだ微かに光る別の欠片に気づきました。

それにそっと触れた瞬間、彼女の脳裏に浮かんだのは、何年も前に祖父の古いラジオから流れていた、お気に入りのメロディでした。

聴いた途端に心が踊り、ただ絵を描くことが楽しくて仕方がなかった頃の情熱が、冷え切った胸の奥でふっと蘇ります。

「あの頃のワクワクは、まだ消えたわけじゃない」

彼女は、こわばっていた肩の力をふっと抜きました。

さらにその夜遅く。

遠く離れた街へ引っ越すことになり、長年慣れ親しんだ家を離れる寂しさを抱えたおじいさんが、地面に残された最後の光の欠片を見つけました。

それを手に取ると、かつてこの路地の近くで、妻と一緒に何気ない日常を笑い合いながら散歩した、穏やかな日々が思い出されました。

「これからも、新しい場所できっと素敵な思い出ができるさ」

おじいさんの心に、ぽっと温かな灯りがともりました。

そして、前を向いて歩き出しました。

三人それぞれの掌の上で、記憶の暗がりをそっと照らし終えた月の落とし物は、役目を終えたように、ふわりと光を溶かしながら夜空へと帰っていきました。

空を見上げた三人の背中を、今夜の月はいつもより少しだけ優しく、明るく照らしているのでした。

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作者について

JJ

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