美しく、儚い花火
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
美しく儚い花火に魅せられた、一人の少女の物語。
本文
ヒュウウウウウウウ ドーーーン
くらい闇夜に明るく一輪の美しくも儚い花火が咲いた。 また一発一発とどんどんその儚い命を散らしていく。 見たものの眼と脳裏に、その美しい姿を焼き付け闇夜へ散っていく。 そんな儚い姿に魅せられ、また一人、また一人と堕ちていく。
どんなに美しく素晴らしいものでも人はいつかその姿を忘れてしまう。忘れてしまった者たちは、またあの光を見たいと、取り憑かれたようにあの光を追い求める。
この世界では、そんな症状を花火病という。 これは花火病に堕ちた一人の少女の美しく儚い、尊き物語。 どうかこの物語がいつまでもあなたの脳裏に美しい姿として残りますように。
私の名前は三上ルリ、世間では花火病と言われる病にかかった十四才の女の子だ。
私はいつも、あの姿を思い出す。あの美しい姿を、儚い姿を。それをまた見たい。あの感情をもう一回味わいたい。 そう思って花火を見る。 それが私の毎日だ。
私には親友がいる。名前は南条さき、彼女は花火病にはなっていないが、いつも私と一緒に花火を見る。 今日は平日、学校の準備をする時間だ。急いで準備をして学校に向かった。
学校の授業の内容はたとえ教師が花火病でも、大して変わることはない。
教室に着くとさきが笑顔で笑いかけてくれた。
「るり!おはよう!昨日の花火もきれいだったねえ。」
「おはよう、さき!うん、花火っていうのは花火師さんたちの努力が詰まってできた儚いお花。きれいなのなんてあったりまえじゃない!」
「アハハ!ルリは相変わらず花火が好きだねえ。私は花火病っていうのじゃないけど、こうやって話してると、ルリがそんな病気にかかっているのにはとても見えないなあ。ただの花火好きの友達?って感じ〜」
「え〜そうかなあ?」
「うん、絶対そうだと思う!」
確かに言われてみればそんな気もしなくはない、のかなあ?
さきと話をしていると別の女子がやってくる。どうやら話があるみたい。私と同じく花火病の朝陽だ。
「ルリ、今度の土曜の花火、中止になっちゃったんだって。」
「えっ?それ本当!?」
「まじまじ、やばいよね。うちら花火見ないと、発作?みたいの起きちゃう子とかいるじゃん。いまコンビニの花火買い占められてるんだって。」
「うわーやだな。怖いねえ。」
「あんたも他人事みたいに言ってるけどだいぶヤバいんじゃないの?」
「そうなんだよね〜。最近花火の在庫も切れてきて。」
「あっこうしてる場合じゃない!他のクラスの子にも伝えて来なきゃ!」
さっすが朝陽、交友関係が広いからもう別のクラスに行っちゃった。
にしても、本当にどうしよう。医学的に花火病を直す方法はないけれど、心理学者はもう花火を見なくてもいいくらい素敵な花火を見たら、この症状はおさまる。らしい
「そんな素敵な花火があったら見てみたいな〜」
椅子にもたれかかると先生が教室に入ってきた。どうやら授業の時間みたい。
やーっと学校が終わったー。疲れたなあ。アレッあんなところにさきがいる。
「おーい、さきー何してるの?一緒に帰ろうよ!」
「ごめんね、ルリ。私今日早めに帰らなきゃなの。お父さんとお母さんが仕事の手伝いしてくれって。」
「あ、そういやさきの親花火師さんだったね。じゃあまったあした〜」
「ばいばーい。」
さてと、帰って宿題をやったらインスタとかで花火でも見るか―そんなことを思いながら私は家へ帰っていった。
金曜日の放課後いつも通り家で花火をやっているとスマホの通知音がなった。
「だれだ〜?こんな時間に、」
さきからのメールだ。なになに、
「あした、保都川の河川敷に来てください。ってなんで?明日の花火の予定潰れちゃったしなあ。まあいっか、詳しいことはついてから聞きゃあ良いもんね。」
残りの花火やってからね―よおうっと。
土曜の夜、私はさきに言われた通り、保都川の河川敷に来た。
一体何があるんだろう?
「おーい!ルリー。こっちこっち~!」
「はーい今行くよー!」
「一体何が始まるの?」
「それは見てのお楽しみ」
そうさきが言ったとき、ヒュウウウウウウ ド――――――ン
闇夜をこれまで見たことないくらい美しい花火が照らした。その花火はしっかりと私の頭の中に刻み込まれた。 花火が散って、さきがいった。
「どう?花火を見たいって言ってたから、作ってみたんだけど。またこれ以上の花火見たくなっちゃった?」
「ううん、これ以上の花火なんてないよ。これが最高の花火だよきれいで美しくて儚くて人の脳裏に焼き付けるようなきれいな花火だよ。」
私はそう言ってさきと笑い合いながら家へ帰っていった。
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