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【61番外】 こちらは見学コース外です

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/4 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 3,302文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

未来都市の中心部から、第九区へ向かう小型シャトルがゆっくりと高度を下げていく。

窓の外には、いつもの見慣れた景色が広がっていた。

空中を走る自動運転車。建物の壁面を流れる巨大なホログラム広告。空中配送ドローンが、規則正しく交差していく。

そんな都市の風景が少しずつ遠ざかり、代わりに低い建物が増えていった。

「皆さーん、間もなく第九区です」

車内に、明るい声が響く。

今日は「昔の街並み見学ツアー」。

再開発されずに残った古い商店街や、昭和から平成初期にかけて建てられた建物を見て回る、少し珍しい観光コースだった。

「第九区には、今では貴重になった昔ながらの建物が残っています」

ガイドが説明する。

「今日は保存地区を中心に――」

シャトルが停車した。

一行は降りる。そこからは徒歩だった。ところが。

「……こちら、ですよね?」

ガイドが古い地図と周囲を見比べる。

「はい。こちらの道をまっすぐ進めば、保存地区の入口に――」

「……?」

全員が立ち止まった。目の前にあるのは、畑だった。

「違いますね」

「違いますねえ」

ガイドは苦笑した。

どうやら、昔の地図に描かれた道と、現在の道路が完全には一致していないらしい。

「少々お待ちください。現在地を確認します」

ガイドが腕の端末を操作する。

しかし、第九区の一部では通信状況が不安定だった。

「……あれ?」

「ガイドさん?」

「大丈夫です。たぶん、こちらです」

そう言って歩き出した。

数分後。

一行の前に、一軒の店が現れた。

古い建物だった。派手なホログラム看板もない。壁には昔のポスターが貼られている。

そして入口の上には、『時環遊技場』と書かれていた。

「……ここは?」

ガイドが立ち止まった。

「資料にありません」

「昔の商店ですか?」

「遊技場……?」

参加者の一人が、ガラス越しに店内を覗き込んだ。

「中に、変わった機械がありますよ!」

「本当だ」

「ちょっとだけ見てみませんか?」

「いや、でも見学コースは――」

言い終わる前に、扉が開いた。

「どうぞ」

店主が立っていた。穏やかな笑顔だった。

「道に迷われましたか?」

「あ、はい……」

ガイドが申し訳なさそうに頭を下げる。

「昔の街並みを見学するツアーで来たのですが、道が分からなくなってしまって」

「それは大変でしたね〜」

店主は笑った。

「よろしければ、中で少し休んでいかれてください」

「ありがとうございます」

遠慮がちに入った一行だったが。数秒後には、空気が変わっていた。

「……これ、何ですか?」

一人が、古いパチンコ台の前で立ち止まる。

「パチンコ台ですよ」

「パチンコ……」

未来都市の住人たちが、顔を見合わせた。

「実物、初めて見ました」

「私も」

「映像がないんですね?」

「そういう台もあります」

別の客が盤面を覗き込む。ガラスの向こうには、たくさんの釘。機械式の役物。小さな穴。

そして銀色の玉。

「……全部、物理なんですか?」

「はい」

店主が答える。

「玉を打って、釘に当てて遊ぶんです」

「玉を?」

「はい」

店主が一台の前に立った。ハンドルを握る。玉が弾かれた。盤面を玉が跳ねる。

パチ、パチ、パチ――。

「おお……」

一行が身を乗り出した。

玉は釘に当たりながら下へ落ちていく。

「すごい」

「本当に物理だけで動いてる……」

すると、盤面の中央で玉が跳ねた。

その瞬間。役物が、カタンと動いた。

「動いた!」

一行が一斉に身を乗り出した。

「今の何ですか!?」

「役物ですね」

「役物……!」

未来人たちの目が輝く。

さらに別の台から、パチン、と玉の音がした。

「こっちも動いた!」

「見てください!」

「どういう仕組みですか!?」

「ええと……」

店主は台を覗き込む。

「これは、たぶん……」

その台自身が答えるように、もう一度カタン、と動いた。

「おおおお!」

拍手が起こった。

店主が目を丸くする。

「そんなに喜んでいただけるとは……!」

そのとき、一人の参加者が隣の台を指差した。

「店主さん! こっちは画面があります!」

そこにあったのは、平成初期のCR機だった。

盤面の中央に、小さな液晶画面が埋め込まれている。

「これは?」

「CR機ですね」

店主が説明する。

「こちらには液晶がついています」

「液晶……?」

一同が覗き込む。

画面に小さな数字や図柄が表示される。

「……小さい」

「え?」

店主が少し驚く。

「こんなに小さい画面で、遊ぶんですか?」

「はい」

「これが?」

「はい」

未来都市では、建物ほどの大きさの映像や、空中に浮かぶ立体映像が当たり前になっている。だからこそ。手のひらより少し大きい程度の液晶画面が、かえって珍しかった。

「かわいい……」

「本当にこれだけ?」

「でも、ちゃんと動いてる!」

「数字が変わった!」

小さな液晶の中で図柄が次々と切り替わる。参加者たちは、まるで貴重な古代遺物でも見るように、顔を近づけた。

「こんな小さな画面で、昔の人は楽しんでいたんですね」

「そうですね」

店主は嬉しそうに頷いた。

「当時は、それでも新しいものだったんですよ」

「これが新しかったんですか?」

「はい」

「へえ……!」

誰かが感心したように声を上げる。

その直後。液晶の図柄が、ぴたりと止まった。

「……?」

全員が息を止める。

そして、ジャラララ……!と、台から玉の音が響いた。

「えっ!?」

「何が起きたんですか!?」

「当たったんです」

店主が答える。

「当たり!?」

一斉に歓声が上がった。

「すごい!」

「画面だけじゃなくて、下の機械まで動いてる!」

「もう一回見たい!」

ガイドが腕時計を見る。予定時刻を、とうに過ぎている。

「あの……皆さん…皆さーん!!」

「はい!」

「そろそろ本来の見学コースへ戻らないと……」

「あと五分!」

「これだけ見てから!」

「この台、もう一回だけ!」

ガイドは困った顔をした。

店主が申し訳なさそうに言う。

「すみません。私も少し話し込んでしまいました」

「いえ……」

ガイドは店内を見回した。

壁の古いポスター。年季の入った台。蛍光灯の柔らかな明かり。そして、それを珍しそうに眺める未来都市の人々。

「……まあ、たまには予定外もいいかもしれませんね」

ようやく、一行は店を出ることになった。入口で、参加者の一人が振り返る。

「次のツアーもここに来ますか?」

「ここは見学コースには――」

ガイドが言いかける。

「ぜひ入れてください!」

「お願いします!」

「今度はもっと時間を取って!」

次々と声が上がった。

店主は少し困ったように、それでも嬉しそうに笑った。

「では、道に迷わないようにお越しください」

「それは……」

ガイドが苦笑する。

「私たちも努力します」

人々が去っていく。

しばらくして、店内が静かになった。

店主は入口の外を眺めた。

「……昔の街並みを見に来たはずなのに、こちらへ来てしまったんですね」

従業員アンドロイドが答える。

「結果として、予定外の見学先が最も印象に残ったようです」

「そうですか」

店主は楽しそうに笑った。

「道に迷うのも、たまには悪くありませんね」

その数日後。

店に一通の連絡が届いた。先日の見学ツアーを担当したガイドからだった。

『先日は突然お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした』

店主が続きを読む。

『あの日、参加者の皆さんから大変好評でして――』

そこまで読んで、店主は少し目を丸くした。

『ぜひ今後の「昔の街並み見学ツアー」の正式な見学先として、時環遊技場をコースに加えさせていただけないでしょうか』

「……正式な見学先、ですか」

店主は手元の端末を眺める。

その隣から、従業員アンドロイドが画面を覗き込んだ。

「先日の皆さまは、かなり興味を持たれていましたから」

「そうでしたね」

店主は笑った。

「でも、うちは昔の街並み……というほど古い建物ではありませんよ?」

「建物だけが見学対象とは限らないのではないでしょうか」

「なるほど」

店主は少し考えてから、返信画面を開いた。

「それなら――」

指先が、承諾の文字を入力していく。

こうして時環遊技場は、もともとの予定にはなかった場所から、正式な「昔の街並み見学ツアー」の立ち寄り先になった。

もっとも。店主自身は、いまだに少し不思議に思っている。あの日の一行は、昔の街並みを見に来たはずだった。それなのに一番長く見ていたのは、古いパチンコ台だったのだから。

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作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

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