鏡の中の二人の私
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
鏡にもう一人の私が映っていた。いや、詩的表現ではなく、文字通り鏡に二人の私がいたのだ。
本文
——鏡の中に、もう1人の私がいる。
いや、別に詩的に言いたいとかそういうのじゃなくて、映ってる私が二人いるのである。
私が右手を上げると、鏡の二人も左手を上げる。
自分以外の他のものはそのままなので、どうやら私を起点に二つに分裂した形になっているようだ。
なので二人の位置関係は、各々私の左右にちょとずつズレた位置にいる。
——ということは?
私は一つしかない、肘掛け付きの椅子に座った。
鏡の二人も座ろうとして、肘掛けの上に座りかけた。
途端に腰を浮かす。
そのことにウケていると、 二人は私に抗議してきた。
怒っているのはわかるのだが、鏡の中だからだろうか?
声は聞こえない。
——とは言え、怒るのも無理はない。
私は二人にごめんごめんと謝った。
しばらく考えて、椅子を二つ用意してみた。
二人が腰を掛けられるように、位置を調整して——。
今度は私が肘掛けに腰掛けた。
位置関係もバッチリで、二人は無事椅子に座れた。
——良かった。
二人の機嫌は直ったようだった。
——いや、なんで私が気を使わねばならないのか。
肘掛けの座り心地の悪さもあって、今度は私が不機嫌になった。
三人で言葉とジェスチャーであれこれ話し合い、四人掛けのソファーに座ることにした。
私がソファーの真ん中に。
鏡の中では、二人がソファーの中央部に二人並んで座っている。
——うん、ばっちり!
しばらく満足していたが、さすが四人がけ。
どちらのソファーもスカスカだった。
「——ちょっと、もったいないね」
――そう話しかけたのがいけなかったのだろう。
次の日、二人が四人になっていた。
<了>
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