姉と猫と私と。
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ペットは家族です。
本文
「猫も人間と同じ様に自我を持ち、話せるようにして欲しい」
呪い関連の書物を読み漁り、ついに願いを叶える精霊を呼び出すことに成功した。
猫は家族同然なのに、それに理解を示さない人間のなんと多いことか。
私はペットの猫(メス)を、姉と変わらない家族だと思ってる。
「……」
精霊は、妙に渋い顔をした。
「え? できないんですか?」
「……いえ、そうですね。あなたのペットだけに1日自我と言葉を与えましょう。但し通じるのは、あなただけです。それであなたが良ければ、すべての猫と人間に広げる。……そういうことにしましょう」
「……はぁ、じゃあそれで」
精霊との別れの後、ペットの猫と語らおうとする。
「お前とはこれから話せるんだな。これで絆がより深まる。姉と一緒の家族だもんな」
猫は私の顔をじーっと見た後、こう言った。
「……あなたが、姉を撫でようとしてるのを、見たことがないんだけど?」
無意識に撫でようとしていた手を止める。
確かに。
姉は撫でない。
「……すみません」
「謝ることはないわ。姉も撫でるのであれば、私も納得するもの」
「……いや、さすがにそれは」
「どうしてかしら?」
「……」
言葉に詰まった。
家族とは言え、異性に簡単に触れる。
その行為は、正しかったのだろうか?
「いつもみたいに、毛糸玉とか投げてくれないの?」
「いや、ちょっと気分じゃなくてな。ほら、姉には投げないだろ?」
「それを言い出すと、あなたはあまりお姉さんとは遊ばないわね」
「……」
そうなのだ。
姉とは、そこまで遊ばない。
「……まあいいわ」
それだけ言うと、猫は尻尾を立ててそのまま外に出ていってしまった。
日が落ちると、猫はいつものように帰ってきた。
「あなたの食事は、バラエティ豊かね」
そう言われてみると、猫の皿にはキャットフードしかない。
「えと、違う食べ物とかが良かった?」
「んー、どうかな? 私の嫌いな食べ物だったら面倒かしら」
夜が更け、1人考えていた。
猫を姉と同様に扱った場合、ただの居候になりはしないかと。
いや、姉が居候かというと、それも違うような……。
「うわ!」
精霊が不意にそばにいた。
「どうでしたか?」
口をパクパクさせるが言葉にならなかった。
……いや、落ち着こう。
「すみません、願いを解除してください」
私は渋い顔でそう答えていた。
精霊はただ無言で頷いた。
あくる日から、明らかに猫が変わった。
いや、変わったのは私の認識の方か。
『姉なら触るの?』
猫の視線が私に向けられる度に、その言葉が蘇るのである。
<了>
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