ヤニ臭い仏壇
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
仏壇は、どこに置いてますか?
本文
家に大きな足音が響いた。
「ちょっとタクト! あんたタバコ吸ってるんじゃないでしょうね!」
「吸ってない、吸ってないよ」
ぼくは仏壇の線香差しを見せる。
見せた瞬間に煙を吸ってしまってむせた。
「そこは線香を差すところよ。——なにやってんのよ、もう!」
「おじいちゃん、好きだったから」
「一体どうしたんだ?」
お父さんもやってきた。
「この子、仏壇にタバコを供えてるのよ」
「おじいちゃんいつも吸ってたから——」
「ヤニ切らせて困ってるかもな」
お父さんは、二カッと笑って見せた。
こうして仏壇にタバコが供えられるようになった。
おじいちゃんも、きっと満足してるよね?
「あれ? お母さん、仏壇は?」
ある日帰ってくると、仏壇がなかった。
「あんなタバコ臭いもの、家の中に置いておけません」
それを聞いて慌てて家の外を見ると、確かに野ざらしになったおじいちゃんの仏壇があった。
ひどいよ。
仏壇に近寄ろうとすると、やっぱりタバコ臭かった。
そう言えばおじいちゃん、みんなに煙たがられてよく外で吸ってたなぁ。
またむせそうだったので、ほどなくして家に戻った。
ぼくは近寄れないけど、タバコがあるから寂しくないよね。
——そう思っていたのだが、それもわずかな間だけだった。
ついにおじいちゃんの仏壇から、タバコが撤去されてしまった。
近所からクレームが来たのだ。
そうしてタバコがなくなっても、ヤニ臭くどこか黄ばんだ仏壇は家の中に入れないままだった。
雨ざらしになった仏壇は、おじいちゃんが生きているときと妙にかぶって見えた——。
<了>
作品統計
👁️ 閲覧数: 0
👍 いいね: 0
📚 本棚登録: 0
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。