美咲と凛とあかり

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/24 📚 シリーズ: ザーメンだいすきサークル 📝 1,800文字 ✅ 全年齢

あらすじ

<p>ファミレスの窓際の席は、午後三時を少し過ぎた時間帯で、わりと空いていた。</p><p>美咲、凛、あかりの三人は、いつものように窓側のボックス席を選んで座っていた。テーブルの上には、すでに空になったグラスと、まだ手をつけていないサラダが一つ置かれている。注文はあとでまとめてする、というのが三人の暗黙の了解だった。</p><p>美咲が先に切り出した。</p>

本文

ファミレスの窓際の席は、午後三時を少し過ぎた時間帯で、わりと空いていた。

美咲、凛、あかりの三人は、いつものように窓側のボックス席を選んで座っていた。テーブルの上には、すでに空になったグラスと、まだ手をつけていないサラダが一つ置かれている。注文はあとでまとめてする、というのが三人の暗黙の了解だった。

美咲が先に切り出した。

「じゃあ、今週の報告会、始めるか。私からでいい?」

「いいよ」凛がストローを軽く噛みながら答えた。「先に量と粘度から」

「了解。私は三人。全部ぶっかけ。顔と胸がメインで、一回だけお腹に少し。量は普通より多めが二人、少なめが一人。粘度は全体的に高め。特に二番目の人は、ちょっと糸引くくらいだった」

あかりが目を輝かせた。

「糸引くやつ、いいな……。味は?」

「味は……二番目が一番良かった。少し甘め。後味もあんまり残らない。一番目は塩分強めで、三番目は普通。匂いも二番目が濃くて、べとべと感が強かった」

美咲は普通に話している。特に声を潜めている様子もない。

凛が小さく頷いた。

「点数は?」

「味は二番目が7.5。匂いが8。粘度は7くらい。全体としては、今週は二番目が一番美味しかった」

「記録しとく」凛がスマホを取り出して、メモアプリを開いた。「あかりは?」

あかりが身を乗り出した。

「私は二人! 両方口だけ! でも一人は量多めで、粘度も良かった! 味は甘め! 後味もスッキリ! 匂いも濃くて、すごく良かった!」

声が少し大きくなった。

隣の席に座っていたカップルが、ちらりとこちらを見た。男性の方が眉を少し寄せ、女性の方はアイスコーヒーのストローを咥えたまま動きを止めている。

美咲が笑った。

「あかり、また声大きい」

「あ、ごめん。でも本当に良かったの。点数は味8、匂い7.5、粘度8くらい? もう一人は普通。味6、匂い6、粘度はちょっと低め」

「じゃあ、美咲の二番目と、あかりの一人目が今週は上位か」凛が淡々と言う。

「私の方が上だと思う」あかりがまた少し声を上げた。「甘さの感じが違った。美咲のはどのくらい甘かった?」

「結構甘かったよ。後味もあんまり残らなかった」

「私のも! でも私のはもうちょっと濃かった気がする」

「濃さは匂いの方で判断した方がいい」凛が割り込んだ。「味の甘さと、匂いの濃さは別」

「わかってる!」あかりが反論する。「でも総合的に見て、私の方が良かった気がするの!」

声がまた大きくなった。

隣のカップルが完全にこちらを向いていた。男性はメニューを持ったまま動かず、女性はスマホを持つ手を膝の上に置いている。明らかに聞き耳を立てている。

美咲が小さく笑いながら言った。

「あかり、ちょっと落ち着いて」

「ごめん……。でも美咲、顔にかかったやつ、どんな感じだった? 匂いとか、残ってた感じとか」

「結構残ってた。特に髪と胸。匂いも濃くて、帰ってからも少し残ってた。舐めたら味もちゃんとあった」

あかりが小さく唸った。

「……いいな。私は口だけだったから、べとべと感はあんまり味わえなかった」

「口でも十分美味しいじゃん」

「いや、ぶっかけの方が好きなんだよ、美咲は」

「うん、好き。べたついてる感じがいい」

凛が小さくため息をついた。

「……声、少し大きい」

「あ、ごめん」あかりが慌てて声を落とす。ただし、完全には落ちていなかった。

隣の席から、明らかに視線が向けられている。女性の方が男性に何か小さく話しかけ、男性が小さく首を振った。

凛がメニューを立てて、三人の顔を隠すようにした。

「注文、まだしてないけど、そろそろした方がいい。隣、完全に聞いてる」

美咲がくすっと笑った。

「……うん。飲み物、追加しよっか。あかりは何飲む?」

「メロンソーダ……。でも、もうちょっとだけ報告していい? 美咲の二番目の人、どのくらい糸引いたの?」

「結構引いたよ。指で触ったら、糸が少し残るくらい」

あかりがまた小さく声を上げそうになったのを、美咲が軽く視線で制した。

「あかり、あとで」

「……わかった」

三人は同時にメニューを開いた。隣のカップルは、もう完全に会話をやめてこちらを見ていた。女性の方がスマホを操作し始め、男性はまだこちらを見ている。

凛が小さく言った。

「……次からは、もうちょっと声を小さくした方がいい」

美咲が笑った。

「うん。でも、報告会は楽しいから」

あかりが小さく頷いた。

「……うん。楽しい」

隣の席から、まだ視線が向けられていた。

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