犬死
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
連作短篇の形式で語られる怪談ノワール。
本文
野良犬の屍骸が雨に打たれて腐っていた。
蛆が湧いて擦り切れた毛皮の裂け目にひしめいている。地面のくぼみには水が溜まって、屍骸を浸していた。臭いは幾分やわらいでいる。
君は、犬の死体は旨いんだぜ、と言って脚をもぐと、垂れ下がった太腿にかぶりついて舌鼓を打つ。
死臭が染みた君の髪は湿気で頬に張りついている。
雨の日の暮れるのは早い。夜の中で君の歯はまだ白い。舌先で蛆をころがし、鼻腔から腐った息を吐いて、君はいきなり素っ頓狂な声をあげる。
「いい加減、あきらめろよ。お前はもう死んだんだ」
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