暗黒脇毛帝国のハロウィン作戦
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
世界に女子の脇毛の魅力を広めるため日々奮闘する『暗黒脇毛帝国』の戦闘員――明るく情熱的なアンと、のんびりマイペースなノノ。 10月31日、異例の暖かさに包まれたハロウィンの夜、二人に下された命令は「色っぽいコスプレでの街頭洗脳作戦」だった! 小悪魔衣装で気合い十分なアンと、暑さで無自覚に色気を振りまくノノ。10月の生ぬるい夜風に乗せて贈る、フェティシズムと尊さが詰まった魅惑のフェチコメディ百合短編!
本文
「さあノノ! 決戦の夜よ! 我らが『暗黒脇毛帝国』の至高の美を、全世界に知らしめる時が来たの!」
地下基地の鏡の前で、アンは小悪魔の翼を模したボレロの袖をキュッと整えた。 今日のために用意された作戦服――少し色っぽい小悪魔のオフショルダードレス。胸元は大胆に開き、肩回りは完全に無防備だ。
「え〜……アンちゃん元気だねぇ。それにしても、今年の10月ってなんだか生ぬるいというか、例年よりずっと暖かくない〜?」
ソファに深く腰掛けたノノが、カボチャクッキーをモグモグと口に運びながらアンニュイに呟いた。 ノノの衣装は、緩く巻かれた包帯と薄手のシースルー素材が組み合わされたヴァンパイア&ミイラ女風のドレスだ。肩から滑り落ちた生地の隙間から、透き通るような白い肌がチラリと覗いている。
「ふふん、この異常気象とも言える温暖な気候こそ、我が帝国への追い風よ! 寒さに凍えることなく、堂々と肌を……そして我が帝国の誇る『秘宝』を解き放てるんだから!」
アンは「見てて!」と勢いよく両腕を頭上に掲げた。 翼を広げる小悪魔のポーズ。同時に、オフショルダーの袖口から、手入れの行き届いた可憐で艶やかな脇毛が惜しげもなく露わになる。 アンの脇毛は、彼女の明るい性格を表すかのように、ふんわりと柔らかく生やし揃えられており、肌の白さとのコントラストが眩しい。
「どう!? この健康的ながらもどこか背徳的なチラ見せ角度! これなら街ゆく人々も一発で我が帝国の虜よ!」
「へぇ〜……相変わらずアンちゃんの脇毛、ふわふわしてて可愛らしいねぇ……」
「でしょ!?首を洗って待ってなさい世界! さあノノも、帝国の戦闘員として覚悟を見せるのよ!」
「え〜、だるーい……。あつーい……」
ノノはのんびりと立ち上がると、例年になく温かい室温に「ふあぁ」と大きなあくびを噛み殺した。 そして、無防備に両腕を頭の後ろで組み、伸びをする。
――その瞬間、アンの息が止まった。
ゆるやかに持ち上げられたノノの細い二の腕。その付け根にある、ほんのりと桃色に染まった滑らかな脇のくぼみ。 そこには、アンの可憐なそれとは対照的な、繊細でしなやかな毛並みが美しく生い茂っていた。汗ばんだ肌にひとすじの毛束がしっとりと寄り添い、シースルーの衣装越しに微かに漂う甘い体温を感じさせる。計算など何一つ入っていない、無自覚だからこそ生み出される圧倒的な色気。
(な、何よその破壊力は……っ!? のんびり屋のくせに、脇毛のグラデーションがエロすぎるじゃない……!!)
「ん……? アンちゃん、どうかした〜?」 「な、何でもないわ!行こう、渋谷ゲリラ作戦開始よ!」
ハロウィンで賑わう渋谷の交差点は、熱気と熱帯夜のような温かい風に包まれていた。 例年なら上着が必要な季節だが、今夜は誰もが軽やかなコスプレ姿で浮かれている。
「トリック・オア・トリート! 暗黒脇毛帝国の至高の美にひれ伏しなさい!」
アンは満面の笑みでカボチャのお菓子を配りながら、次々と小悪魔の翼ポーズを決めていく。 両腕が上がるたび、視線を惹きつけるふんわりとした脇毛。
「う〜、やっぱりなんか生ぬるい空気だねぇ……髪、まとめよっかな……」
隣でノノが熱気を含んだ秋風に首筋の髪をなびかせながら、うなじを露わにするように両腕を高く上げた。街灯の光が、彼女の無防備な脇へと注ぎ込む。 包帯の隙間から覗く、しっとりと汗を帯びた繊細な脇毛。髪を結い直す指の動きに合わせて、脇のくぼみの陰影が妖しく変化し、柔らかそうな毛並みが露に濡れて眩しく輝く。
通りかかった仮装姿の若者グループがピタリと足を止めた。
「ッ……!?」
「おい見ろよあのミイラの子……」
「いや、隣の小悪魔の子もやばくない……?」
「ていうか……二人とも、脇……生えてね……?」
「マジだ……でも……なんか、めちゃくちゃよくないか……?」
ざわめく若者たちの中の一人が、まるで雷に打たれたような顔で二人を凝視し、ぽつりと呟いた。
「脇毛って良いかも……」
彼はそう言い残すと、開眼したような晴れやかな顔で人ごみの中へと去っていった。
「ふふん! 見た見た!? 完全に『こちら側』に引きずり込んでやったわ!」
「あー、すっきりした〜。……アンちゃん、あっちのお店でカボチャプリン売ってるよ~」
「聞いてノノ! 私の狙い通りよ!」
深夜、地下基地。 作戦を終えた二人は、ソファに並んで腰掛けていた。
「今日の戦果は上々ね! 間違いなく、世界は少しだけ脇毛の美学へ歩み寄ったわ!」 アンは鼻息を荒くしながらも、「でも悔しいな〜、ノノのあの色っぽい脇チラには負けてた気がするもん」と少し唇を尖らせた。
「え〜?私、ただ暑くて髪結んだだけだよ〜?」 ノノは満足そうに貰ってきたカボチャプリンをスプーンですくい、一口食べてからふんわりと微笑んだ。
「それに、私はアンちゃんの脇毛の方が好きだけどな〜。あの陽だまりみたいにふわふわして明るい感じ、アンちゃんらしくてすっごく可愛いもん」
「の、ノノ……! もう、あんたって子は不意打ちが得意なんだから……!」
アンは照れくさそうに顔を赤らめると、基地の窓から外の夜空を見上げた。
「……でもさ、今年のハロウィンがこんなに温かかったのは、やっぱり地球も我が帝国の熱意に味方してくれたんじゃないかしら! この暖かさがある限り、私たちの秘めたる情熱は冷めないわ!」
「ん〜、あったかくて過ごしやすかったなら何でもいっか〜」
そう言ってふにゃりと笑うノノの肩から、ゆるんだ包帯が滑り落ち、可憐な脇が再びチラリと覗いた。 秋の夜風はどこまでも暖かく、暗黒脇毛帝国の秘められた野望と二人の絆を包み込むように、静かに更けていくのだった。