アルト・ランゲートの苦難

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/11/2 📚 シリーズ: アルト・ランゲートの苦難 📝 4,085文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

西の大陸の平和を守るため、港町エル・ドラドを後にしたSSS級パーティ『真実の天秤』。 次なる目的地である不夜の鉱山都市【ゴルゴン・グラン】を目指し、彼らは険しい山岳地帯へと足を踏み入れる。 ​しかし、そこは「一筋縄ではいかないトラブル」のオンパレードだった! 道中で待ち受ける難解な関所の検問(?)や、己の体幹を鍛えるために挑んだ霊峰の滝行で早くも炸裂する、お約束の大惨事――。 ​シリアスな世界観と、容赦ないギャグの嵐がハイテンションで交錯する! 大罪の影が忍び寄る緊迫の道中でありながら、今日も今日とてリーダー・アルトの胃袋は限界突破のサイレンを鳴らし続ける。 ​果たして彼らは、無事に鉱山都市へとたどり着くことができるのか? ポンコツで愛すべき最強パーティが織りなす、爆笑必至の異世界ファンタジー第3章、いざ開幕!

本文

第1話 憧れの仮面剣士に追いついたら、仲間がポンコツすぎて胃が死にそう

ポリポリと白い小錠剤を噛み砕く。苦みと僅かな薄荷の風味が舌の奥に広がり、焼けつくような胃の腑の痛みをわずかに麻痺させていく。

十年前の幼い自分に、もし時空を超えて一言だけ伝えることができるなら、俺は間違いなくこう叫ぶだろう。

——あの時の俺へ。お前が夢見た『伝説のパーティー』の現実は、胃薬が手手放せない地獄の毎日だぞ、と。

◇

十年前。十四歳だった俺、アルト・ランゲートの記憶は、冷たく湿った薄暗い洞窟の匂いと共に鮮明に残っている。

あの頃の俺は、自分の才能の限界を知らない、どこにでもいる増長した駆け出しの剣士だった。手に入れたばかりの鋼鉄の剣を振り回し、己の力を過信して、引き返すべき深層の洞窟へと足を踏み入れ……そして、上位の魔族に追い詰められた。

背中は冷たい岩肌に叩きつけられ、右腕は激痛で動かず、視界は自分の血で赤く染まっていた。頭上から見下ろす魔族の、不快な臓物と腐肉が混ざり合ったような悪臭。死の恐怖に歯がガチガチと音を立てて震え、呼吸の仕方すら忘れていたあの一瞬。

暗闇を切り裂いたのは、一閃の銀光だった。

放たれた刃は物理的な距離を無視し、まるで時間を飛び越えたかのように魔族の首を刈り取っていた。

『無事かい、少年?』

現れたのは、顔の半分を異形の仮面で覆った剣士だった。その背後には、天を穿つほどの絶大な魔力を渦巻かせる、絢爛な法衣を纏った一人の男。

『あらあらクロノス、急に跳ぶから裾が汚れちゃったじゃないの。まったく、手荒な男は嫌われるわよ?』

妙に艶めかしい口調で文句を言いながらも、その男——大魔導士ヴァルが指先を鳴らすと、洞窟全体を包み込むほどの爆炎が渦巻き、押し寄せていた魔物の群れが一瞬で灰燼へと帰した。

圧倒的な強さ。洗練された立ち振る舞い。 仮面の剣士クロノスが俺の前に屈み、その手袋越しに温かい手を差し伸べてくれた。

『強くなれ、少年。剣を握り続ける限り、いつか時を超えて、真の仲間と共に立つ日が来る』

その背中に、俺は強く焦がれた。あの圧倒的な頼もしさ、仲間を守る孤高の佇まい。俺は誓ったのだ。いつか強くなり、彼のような最高の剣士になり、誰もが憧れる伝説のパーティーを率いて世界を救ってみせると。

◇

「……はぁ。歴史の整合性ってやつは、本当にタチが悪い」

俺——二十四歳になったアルト・ランゲートは、ダンジョンの安全地帯である小部屋の壁に背を預け、本日三回目となる胃薬を飲み込んだ。

結局のところ、あの十年前の事故のカラクリは極めて単純だった。 後に俺が血の滲むような修行の末に修得した『時空魔法』。それを用いて、歴史の収束を果たすために過去の自分を救いに跳んだ仮面の剣士「クロノス」の正体は、他ならぬ大人になった俺自身だったのだ。

伝説の剣士など最初から存在しなかった。俺は自分が憧れた幻影を追って今日まで死に物狂いで剣を振り、魔導を学んできたというわけだ。

まあ、そこまではいい。自分が成長して過去の自分を救うというタイムパラドックスの整合性を守り切ったことに関しては、己の努力を褒めてやりたいとすら思っている。

問題は、その後に結成した『仲間たち』の方だった。

「アルト様ぁ……っ! もう、もう一歩も歩けませんぅ……! 脚が……脚がまるで鉛のようです……っ!」

情けない悲鳴を上げて床にへたり込んでいるのは、大地母神ガイアラ教団が誇る最高位の聖女、ミゼラだ。 その肌は雪のように白く、黄金の髪は光を透かして美しく輝き、身に纏う聖衣は神聖な威厳に満ちている。見た目だけなら、間違いなく神の威光を体現したような美少女だ。

ただし、彼女に宿っているのは『SSSS級の潜在神聖魔力』と、『筋力値:1』という壊滅的な運動神経のなさだった。

「ミゼラ、まだダンジョンに入ってから二回しか曲がってないぞ。距離にして五十メートルだ」 「ふ、不覚ですぅ……っ! アルト様のお役に立とうと、今朝はやる気満々で階段を一段飛ばしで降りたのが響いて……っ!」 「一段飛ばしで体力を使い切る聖女があるか!!」

ハァハァと荒い息を吐くミゼラは、床に突っ伏した反動でスカートの裾が豪快にめくれ上がり、白とピンクの可愛らしい下着を惜しげもなく露呈させていた。

「おい脱げるな! 倒れるならせめて服の乱れを直してから倒れろ!」 「む、無理ですぅ……腕を上げる筋力すらもう残っていません……私を置いて先に行ってくださいぃ……」 「置いて行けるか! まだダンジョンの浅層なんだよ!」

俺が頭を抱えて怒鳴り散らしていると、のっそりと巨大な影が前に躍り出た。

「ガハハ! 根性が足りんぞ聖女! 腹筋に力を入れんからすぐバテるのだ!」

太鼓のように分厚い胸板を叩き、豪快に笑うのは巨大な斧を背負った大男、バルダーだ。 丸太のような腕肉と、岩石を削り出したかのような頑強な肉体。どう見ても前衛の壁役(タンク)にしか見えない体躯をしているが——信じがたいことに、こいつの職業(ジョブ)は【盗賊(シーフ)】である。

「アルトよ、俺に任せろ。この娘は俺が担いで行ってやる!」 「あ、頼むバルダー。お前がいてくれて助か……って、なんで米俵みたいに背中に紐で縛り付けてんだ!?」 「ガハハ! これなら両手が空いて鍵開け(物理)ができるだろう!」 「ひえぇぇっ! た、高いですぅ! バルダーさんの背中、高くて揺れて酔いますぅ〜っ!」

バルダーの背中に荒縄でがっちりと固定され、逆さ吊りに近い格好で揺れる聖女。もはや捕獲された巨大な獲物にしか見えない。

俺が目眩を覚えて頭を押さえていると、背後から優雅な足取りで近づいてくる人物がいた。

「まったく、騒々しいわねぇ。アルト、そんなに怒るとおでこにシワが増えて、せっかくのいい男が台無しになっちゃうわよ〜?」

艶やかな紫のローブを揺らし、妖艶な笑みを浮かべながら現れたのは、ヴァルだ。 十年前、俺を救ってくれたあの伝説の大魔導士。かつては国一番の男前と称され、数々の女性を虜にしたという英雄的な「男」である。

……だが、今の彼は魔王から受けた呪いにより、精神と口調が完全にオネェ化してしまっていた。見事な体躯の男であるにもかかわらず、立ち振る舞いから言葉遣いまで完璧なオカマへと変貌を遂げているのだ。

「ヴァルさん……あなただけでも頼むから常識人でいてください……」 「あら、アタシはいつだって常識人よ? ただちょっと、湿気で髪がボサボサになるのが許せないだけ。……ねえアルト、早くこのむさ苦しいダンジョンを片付けて、街の高級エステに行きましょ?」 「ここはダンジョンです! エステのことは今考えないでください!」

ヴァルは「つれないわねぇ」と溜息をつき、極上の仕草で長い髪を掻き揚げた。呪いによるオネェ化のせいで、言動がいちいち艶めかしいのが余計にタチが悪い。

そして、そのヴァルの影から、息を殺すようにして二人の人物が顔を出していた。

一人は東方の装束に身を包んだ孤高の侍、カゲツ。 もう一人は、黒い装束で身を包み、鋭い目つきをしたくノ一のリン。

二人は一切の無駄がない動きで構えを執り、静寂そのものの空気を纏っている。……手元に掲げた【小さなスケッチブック】を除いては。

カゲツがスケッチブックをサッと掲げる。そこには、達筆すぎる筆文字でこう書かれていた。

『前方、気配あり。油断めさるな』

続いてリンがパラリとページをめくり、可憐な文字で追記する。

『我ら二人、死力を尽くしてアルト様をお守りいたします』

「……二人とも、連絡事項があるなら普通に喋ってくれればいいんだぞ?」

俺が尋ねると、カゲツとリンは途端に顔を真っ赤にし、プルプルと震えながら激しく首を横に振った。 カゲツが慌ててスケッチブックをめくり、殴り書きでページを提示する。

『我らは影の者! 軽々しく言葉を口にすることは許されぬ!』

(……嘘つけ!! 本当は重度の人見知りで、言葉を発すると方言の「〜にゃ」という謎の語尾が出ちゃうのが恥ずかしいだけだろ!!)

心のなかで叫びながら、俺は再びポケットから薬袋を取り出した。

時空魔法を操る仮面の剣士(俺)。 筋力値1で自立歩行が不可能なSSSS級聖女(ミゼラ)。 タンクにしか見えないのに自称・盗賊の筋肉モリモリ男(バルダー)。 呪いでオネェ化した最強爆炎の大魔導士(ヴァル)。 極度の人見知りで筆談しかしない東方コンビ(カゲツ&リン)。

「……渋滞だ。属性が渋滞しすぎている……」

胃の奥が熱い。薬の効果が切れるのが早すぎる。 十年前の俺は、一体どんな思いでこの未来(現在)を思い描いていたのだろうか。あの洞窟で命を救われた時の感動を返してほしい。

「アルト、何をブツブツ言ってるの? ほら、行くわよ。奥からなんだか不快な湿った風が吹いてきたわ」

ヴァルが先端に巨大な魔石を抱いた杖をコンと地面に突く。 バルダーは背中に悲鳴を上げるミゼラを括り付けたまま、ガハハと豪快に笑いながら盗賊らしく(?)巨斧を担ぎ直した。 カゲツとリンは無言で素早く左右の壁際へと展開し、影に溶け込むように気配を消す。

ポンコツだ。間違いなく、全員どこか壊れている。 だが——その戦闘力だけは、冗談抜きで人類最高峰の怪物たちだ。

「……はぁ。分かったよ」

俺は腰の長剣の柄に手を掛け、呼吸を整えた。 時空魔法の魔力が、全身の回路を駆け巡るのを感じる。視界が研ぎ澄まされ、ダンジョンの奥から押し寄せる魔物たちの足音や、空気の僅かな振動が肌を通じて伝わってくる。

「全員、配置につけ。これより地下ダンジョン中層の攻略を開始する。……バルダー、ミゼラを落とすなよ」 「任せろアルト! 俺の筋肉に不可能はない!」 「ひいぃぃっ! アルト様ぁ、私をこの怪物から助けてくださいぃぃっ!」

聖女の悲鳴が地下通路に響き渡る中、俺たちはゆっくりと暗闇の奥へと足を踏み出していった。

これが、俺の憧れた『最強のパーティー』の真実。 そして、世界を救うための、気が遠くなるような苦難の道のりの始まりだった。

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作者について

天霧 セナ

天霧 セナ

広島在住。AI生成を使用し小説とイラストをやってます。 ファンタジー・SF・恋愛など色々書いてますが、 一番大事にしてるのは感情の動き。AIで感情表現は何処までできるかをテーマにしてます。 今年...

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