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第八話 再開の招待状2

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/11/6 📚 シリーズ: Reincarnation -Record of memories- 📝 3,684文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

遺した記録、貴方の記憶、その手で全て解き明かして。

本文

その夜。

テリア王国の研究塔。

テリア女王は、机の上に置かれた送信用の魔法陣を見つめていた。

シェインへ送った手紙は、すでに届いたはずだ。

【テリア】

「一週間後、か」

彼女は小さく呟く。

部屋の隅では、アリスが腕を組んでいる。

【アリス】

「本当に再開するのね」

【テリア】

「中断されたままでは、三国の均衡にもリトルたちの成長にもよくないからの」

【アリス】

「それだけ?」

テリア女王は少しだけ笑った。

【テリア】

「それだけではない」

アリスはため息をつく。

【アリス】

「やっぱり」

【テリア】

「トーマ、ノア、そして忘却の剣。あれらを同じ場で見られる機会は貴重じゃ」

【アリス】

「ノアまで見る気?」

【テリア】

「見るだけじゃ」

【アリス】

「あなたの“見るだけ”は信用できないのよ」

テリア女王の目がわずかに伏せられる。

その言葉は、セイレンの件を思い出させた。

アリスもすぐに言いすぎたと気づいたが、撤回はしなかった。

【アリス】

「……ノアはセイレンじゃない」

【テリア】

「分かっておる」

【アリス】

「本当に?」

【テリア】

「分かっておる」

今度の声は、少し低かった。

【テリア】

「同じ過ちは繰り返さぬ。少なくとも、繰り返したくはない」

アリスは何も言わなかった。

テリア女王は魔法陣の光を消す。

【テリア】

「じゃが、あの子の魔力は見過ごせぬ。ゼロに似ておる。いや、似すぎておる」

【アリス】

「ゼロの子かもしれないって噂、本気で見てるの?」

【テリア】

「噂としてはまだ早い。じゃが可能性は捨てぬ」

アリスは眉を寄せる。

【アリス】

「シェイン側には?」

【テリア】

「まだ言わぬ。言えば余計な混乱を招く」

【アリス】

「セイレンが気づいたら?」

テリア女王は窓の外を見る。

【テリア】

「もう気づいておるかもしれぬな」

その頃。

テリア王国の城壁の外。

黒い装束のロイが、月明かりの下に立っていた。

彼女は遠く、シェイン王国の方角を見る。

【ロイ】

「一週間後」

短く呟く。

その表情は読めない。

だが、彼女の手は腰の短剣に触れていた。

【ロイ】

「セイレンも来る」

それは予感ではなく、ほとんど確信だった。

ベイル王国。

巨大な闘技場では、夜にもかかわらず火が焚かれていた。

ベイル女王は巨大な盾にもたれ、リンとガーネから報告を受けていた。

【リン】

「リトルヴァルキリートーナメント、再開だそうですねぇ」

リンが楽しそうに言う。

【ガーネ】

「一週間後、中立地帯中央演習場。シェインは例外処置で三人一組。テリアとベイルは二人一組」

ベイル女王は豪快に笑った。

【ベイル】

「よい!中断されたままでは気持ちが悪いからな!」

ガーネが短く言う。

【ガーネ】

「キリカとメルを出す」

【ベイル】

「うむ!」

【ガーネ】

「二人とも調整は必要」

【ベイル】

「任せる!」

リンはチャクラムを指で回しながら、ゆるく微笑んだ。

【リン】

「シェインの三人組、特にノアちゃんでしたか。あの子、気になりますねぇ」

ベイル女王が片眉を上げる。

【ベイル】

「トーマではなく?」

【リン】

「トーマくんも気になります。でも、ノアちゃんの魔力は別の意味で危うい」

【ベイル】

「ほう」

【リン】

「強すぎる子は、狙われますから」

リンの声は甘かったが、その目は冷静だった。

ガーネが言う。

【ガーネ】

「レッドフラッグスも来るかもしれない」

ベイル女王は笑みを消した。

【ベイル】

「ルークか」

その名を口にした時、彼女の表情にわずかな影が差した。

ルーク。

ベイル女王の娘。

だが、今は国に属さず、セイレンと共に紅い旗を掲げる者。

【リン】

「戻す気は?」

リンが問う。

ベイル女王はしばらく黙った。

そして、笑う。

【ベイル】

「戻りたいなら戻ればいい。戻りたくないなら好きにすればいい。ルークはそういうやつだ」

【リン】

「寂しくありません?」

ベイル女王はリンを見た。

【ベイル】

「寂しいぞ!」

即答だった。

リンが少し驚く。

【リン】

「そこは隠さないのですね」

【ベイル】

「隠して何になる!娘がふらふらどこぞの紅い旗についていっているのだ。寂しいに決まっている!」

【リン】

「では連れ戻せば?」

【ベイル】

「無理に連れ戻しても、また出ていく」

ベイル女王は盾を叩いた。

【ベイル】

「なら、強くなって戻ってくるのを待つ。それでも戻らないなら、いつか殴り合って話す!」

ガーネが頷く。

【ガーネ】

「ベイルらしい」

リンはくすりと笑った。

【リン】

「本当に、あなたは豪快ですねぇ」

【ベイル】

「褒めるな!」

【リン】

「今回は褒めています」

ベイル女王は高らかに笑った。

だがその笑いの奥に、母としての寂しさが隠れていることを、リンは見逃さなかった。

荒野。

紅い旗が、星明かりの下で揺れていた。

セイレンは岩の上に座り、赤い封蝋のついた手紙を開いていた。

それはテリア王国から各地へ流された、大会開催の通達の写しだった。

【セイレン】

「一週間後、リトルヴァルキリートーナメント再開」

彼女は小さく笑う。

【セイレン】

「動いたわね、母上」

少し離れた場所では、ルークが地面に寝転がり、空を見ていた。

【ルーク】

「大会?」

【セイレン】

「ええ」

【ルーク】

「出る?」

【セイレン】

「私たちはリトルヴァルキリーじゃないわ」

【ルーク】

「そっか」

ルークは少し考えた。

【ルーク】

「見る?」

【セイレン】

「ええ。見るわ」

セイレンの紅い瞳が細くなる。

【セイレン】

「トーマも来る。ノアも出る。テリアも、ベイルも、シェインも集まる」

【ルーク】

「いっぱい」

【セイレン】

「そう。いろんなものが一か所に集まる」

ルークはぼんやりと頷く。

【ルーク】

「楽しそう」

【セイレン】

「あなたの楽しそうは危ないのよ」

【ルーク】

「戦う?」

【セイレン】

「今はまだ」

ルークは少しだけ残念そうに見えた。

【ルーク】

「そっか」

セイレンは手紙を炎に投げ入れた。

紙が赤く燃え、灰になる。

【セイレン】

「でも、もし向こうがこちらを捕まえようとするなら」

紅い旗が風に鳴る。

【セイレン】

「その時は、遠慮はいらない」

ルークの目が、ほんの少しだけ開いた。

普段のぼんやりした光が消え、底の見えない戦闘者の目になる。

【ルーク】

「殺す?」

セイレンは炎を見つめたまま答える。

【セイレン】

「邪魔ならね」

ルークは短く頷いた。

【ルーク】

「うん」

その一言だけで、荒野の空気が重くなった。

セイレンは立ち上がり、紅い旗を手に取る。

【セイレン】

「大会は大会。ルールの中で遊ぶ子どもたちの場所」

彼女は遠く、三国の中央演習場の方角を見る。

【セイレン】

「でも、その外側に私たちがいることを忘れないで」

風が吹く。

紅い旗が夜に翻る。

その赤は、これから始まる大会の裏側に潜む、本物の死線の色だった。

一週間。

それは長いようで短い。

シェイン王国では、翌日から大会に向けた訓練が本格的に始まった。

ノアは魔法灯を十個並べ、魔力制御の練習を繰り返した。

最初は三つ目で割れていた水晶が、五つ、六つと光るようになっていく。

ミアは突撃を抑える訓練をした。

敵を見つけてもすぐに飛び出さず、ユナの合図を待つ。

それだけのことが、彼女にはとてつもなく難しかった。

ユナは二人の動きを繋ぐ役を磨いた。

ミアを止め、ノアを守り、地形を読み、勝ち筋を探す。

小さな肩に背負う役割は多いが、彼女は文句を言わなかった。

トーマはそれを見る。

ただ見ているだけではない。

記録する。

考える。

なぜ失敗したのか。

どうすれば届いたのか。

どこで判断が遅れたのか。

時にはロイドに質問し、時にはソルに意見を聞いた。

レナには、勢いで説明されすぎて半分分からないこともあった。

【レナ】

「つまり、敵が来たら、こう、ガッと行って、ビュッと避けて、ドンだ!」

【トーマ】

「分からない」

【レナ】

「なぜだ!」

【ユナ】

「分かる方が難しい」

ユナにそう言われ、レナは本気で落ち込んだ。

だが、その後で実際に動いて見せると、トーマには少し分かった。

レナの説明は雑だが、体の動きは正確だった。

言葉ではなく、動きで理解する。

それもまた訓練だった。

そして、七日目の朝。

シェイン王国の空は、雲一つなく晴れていた。

中央演習場へ向かう馬車の前に、ノア、ミア、ユナが並ぶ。

三人とも、シェイン王国のリトルヴァルキリー用の戦闘服を身につけていた。

青と銀を基調とした軽装。

動きやすく、魔力を通しやすい布地。

胸元にはシェイン王国の小さな紋章。

ミアは短槍を背負い、落ち着きなく足踏みしている。

【ミア】

「よし、勝つぞ!」

ユナは細剣と魔力糸用の小型具を確認している。

【ユナ】

「まずは勝ち筋を見てから」

ノアは杖を握り、深く息を吸った。

緊張している。

だが、逃げ出しそうな顔ではない。

トーマは三人の前に立つ。

【トーマ】

「頑張れ」

ミアが笑う。

【ミア】

「任せろ!」

ユナが頷く。

【ユナ】

「ちゃんと見てて」

ノアは少しだけ頬を赤くして言った。

【ノア】

「私も、頑張る」

【トーマ】

「ああ」

トーマは頷いた。

【トーマ】

「見てる」

ソルが馬車の横で言う。

【ソル】

「行くぞ」

ロイドが書類を確認し、レナが周囲を警戒する。

シェイン王国の一行は、中央演習場へ向けて出発した。

中断されたリトルヴァルキリートーナメント。

三国の子どもたちが競う、ルールある戦場。

だが、その空のどこかで。

紅い旗が、彼女らを待っていた。

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